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石巻IT Boot Camp レポート

以前、本ブログでもお知らせしたように、7/27〜7/29まで石巻で行われた石巻ハッカソンにHack For Japanスタッフも参加してきました。

石巻ハッカソンはStartup WeekendとIT Boot Campの2つから構成されていましたが、このレポートでは地元高校生(石巻工業高校生)にスマートフォンアプリケーションの開発を習得してもらうIT Boot Campについて報告します。

Corona SDK

今回のIT Boot Campは、あまりプログラミング経験のない高校生にスマートフォン(AndroidおよびiOS)アプリケーションの開発を体験してもらうために行いましたが、授業で、基本的なプログラミングは習っているものの、Javaなどを習得している生徒はほとんどいない状況でしたので、Coronaを用いることにしました。
今回使用した、このCoronaとは、サンフランシスコのCorona Labs社が開発・販売している、Android/iOSをターゲットとしたマルチプラットフォームアプリケーション開発のためのフレームワーク及びSDKの名称です。Coronaは、OpenGLESのグラフィクス処理とLua言語によるスクリプティングにより、ゲームなどの2次元のアプリケーションの開発に適した構造を持っており、画面へのコンテンツ描写が処理の中心となるアプリケーションの開発に適したものとなっています。
このCoronaを用いるために、Corona Labs Inc.からは10個のライセンスを寄附いただき、講師としては、日本Coronaの会から山本直也さんと小野哲生さんに参加いただきました。また、会場には、講師の山本さんが執筆された「基礎から学ぶ CoronaSDK」や実際にアプリケーションを転送して試すためのNexus Sも寄贈されました。

初日

初日(7/27)は午後3時から開始でした。
今回の講師たちは会津若松(Hack For Japanスタッフの佐々木)や東京(Hack For Japanスタッフの及川)、静岡(日本コロナの会の山本さん)、そして兵庫(日本コロナの会の小野さん)から参加しています。IT Boot Campはもう1つのStartup Weekendとは会場もスケジュールも異なるのですが、最初は参加する約10名の生徒とともに、石巻ハッカソンとしてのキックオフに参加しました。IT Boot Campの参加者は、最初の挨拶などが終わったら、すぐに退席し、IT Boot Campの部屋に移動しましたが、通常のハッカソンの始まりを体験できたのは生徒にとっても大きな経験となったことでしょう。
IT Boot Campは、事前に今回のために用意されたWikiに書かれたステップにしたがって進められていきました。最初はCorona SDKのダウンロードからインストール、そして単純にAndroidに “Hello!” という文字を表示するまでのアプリケーションの開発を経験することで、開発プロセスの流れを学びます。
初日は、主に開発に親しんでもらうことを目的としました。画像やテキストを配置したアプリケーションを制作し、最後にイベントとの関連付けを行うアプリケーションとして、タップすると音が出るゲームの開発を行いました。
最後の課題を講師に確認してもらい、終了した生徒(最終的には全生徒となりました)にCoronaのTシャツを贈呈して終了となりました。

二日目

Hack For Japan スタッフの高橋はこの日から参加。講師は5人体制となり、生徒10人に対して5人の講師は、マンツーマンとまではいかないまでもかなり密なサポートができたのではないかと思います。

物理エンジン

午前は物理エンジンについての話から始まりました。Corona SDK の特徴の一つとして、高度な物理エンジンが組み込まれており、それを手軽に使うことができるということが挙げられます。重力の方向に応じてオブジェクトが落下していき壁や床で跳ね返る動作、オブジェクト同士がぶつかる時の当たり判定などは簡単に実現できます。やはり画面に表示したものに動きがつくと面白みが増してきます。生徒達もそれを感じてもらえたのではないかと思います。

Gumbo

午後からは「目指せ Angry Birds」という目標を掲げ、Gumbo というオーサリングツールを使うことを学びました。画面上にオブジェクトを配置して、実際に動きを確かめながらそれぞれの物理パラメータを調整していきます。ここでいろいろと実験することで、各自自分が作りたいアプリのアイデアを考え始めることができたようです。

アイデア

この日の最後には、3日目に各自オリジナルのアプリを作成するため、紙を使ってアイデアをまとめていきました。紙に画面のイメージを書いて考えたのが良かったようで、ゲーム系、音楽系、様々なアプリの構想が出てきました。ここでの講師の役目としては、実現不可能なものになっていないか、まずは何か動作するものを作って、そこから時間の範囲内で機能を拡張していくことができるように手順をアドバイスすること等がありました。

三日目

最終日となる三日目は、前日に考えたアイデアをアプリケーションとして制作する作業です。講師も休む暇なく、生徒の質問に答え、一緒に面白いゲームにするために考えます。この日は時間との戦いの日でもありました。

自由課題

実装を進めていく最中にも様々なアイデアが出てきます。例えば
「このジャンプボタンは1度押すと一定時間使えないようにしたいのですがどのようにすればできますか?」
「それならタイマー機能を使うといいよ」
といった具合に生徒と講師のやり取りが交わされて、どんどん仕上げられていきました。
講師の側もだんだんと熱が入っていき、詰まってる生徒を見つけると「何か上手くいっていないことはある?」と声をかけます。
「1回目は沢山のオブジェクトが画面に出るのに2回目以降は少ししか出ないんです。何が悪いのでしょう」
「(ソースコードを眺めて)んー、なるほど。繰り返し処理の最初の部分で配列をクリアする処理を入れると良いよ」
というやり取りもありました。
実は今回東京から講師として参加した二人のスタッフは事前に少し予習して来たとはいえ、Corona SDK は初心者と言って良い状態。しかしそこは開発の現場で長く培って来た経験を元に何とか講師を務めることができました。もちろん、Corona SDK の取っ付きやすさにも助けられました。
最終的に開発されたアプリケーションは次の9個になります(最終日は1名の欠席がいました)。
  • しゃちほことばし(分類:ゲーム)制作高3
    • このアプリケーションは左に配置されたダルマを飛ばすことで、右に配置したしゃちほこを落とすゲームです。間には上下に動いている障害物があり、それを避けるようタイミングを計ってボールを飛ばします。
  • jumping(分類:ゲーム)制作高3
    • 空中に配置されている箱の間を左右移動ボタンとジャンプボタンを駆使して飛び跳ねながら移動していくゲームです。パワーを使うジャンプボタンの使用に制限を加えることでゲーム性を高くしたのが工夫のポイントです。
  • ボールタッチ(分類:ゲーム)制作高3
    • 画面を埋め尽くさんばかりに大量に落ちてくるボールにタッチして、その数を競うゲームです。 
  • sound mission(分類:音楽)制作高3
    • ボールが跳ねてぶつかると音階を奏でる障害物が画面に複数配置されており、今回は「かえるのうた」が半自動で奏でられるようになっています。最後の要素は自分でうまく動かさないと音が出ないというゲーム性もあります。
  • Beginner Drummer(分類:音楽)制作高2
    • ドラムの基本パーツを画像とともに配置し、画像にタッチすることでドラムセットを演奏できるアプリケーションです。
  • scratch(分類:音楽)制作高2
    • DJが使うようなスクラッチ音源を画像とともに配置し、タッチすることで演奏できるアプリケーションです。録音した先生の声を元にしたサウンドも2つ用意してあります。その2つをタッチすると、「寝るなー」と「起きろー」と叫びます。
  • クイズゲーム(分類:パズル)制作高3
    • 簡単な計算の回答を1から9の数字の中から選ぶだけなのですが、その9つの数字が物理エンジンの原理を用いて、枠の中を動きまわります。動いている数字をタッチする難しさがこのパズルの面白いところです。オープニングもイージングを使った凝ったものになっています。
  • シーソーゲーム(分類:パズル)制作高3
    • シーソーの右側の籠にあるしゃちほこと釣り合うように、左側の籠に重りとなるものを入れていくゲームです。重りを置いた位置がシーソーの中心からどれだけ離れているかも関係するようになっています。
  • ドミノ(分類:パズル)制作高1
    • 自分で板を配置していき、ドミノ倒しを楽しむことができます。横スクロールして画面からはみ出した範囲を見ることもできるようになっています。

Startup Weekendの発表会にて、発表

最後に今回の Boot Camp の集大成として、大人達の成果発表に混ざって高校生達も自分たちの作ったアプリを紹介するためにプレゼンテーションを行いました。自分のアプリのアピールポイントを的確に説明することはもちろん、会場のウケを取る場面もあったりと、みんななかなか堂々としたものです。

今後

実質 2 日半という時間でここまでたどり着けたことは素晴らしい成果だと思います。
Hack For Japan では石巻2.0と協力して今後もこの高校生達をサポートしていきます。すでに、Facebookグループが作成されており、全国に分散する講師や先生の情報共有と議論のためだけでなく、参加した生徒もメンバーに加わって質疑応答などがされています。今後は、Google+ ハングアウトなどを使ってリアルタイムでフォローを行なっていくことも検討しています。また、詳細は未定ですが、高校生達が作成したアプリケーションをお披露目する機会も設けようと計画しています。

Hack For Japanスタッフ 及川卓也, 高橋憲一

第1回 石巻ハッカソンのお知らせ

この度、Hack For Japanでは、石巻2.0と共同で石巻ハッカソンを開催します。

石巻2.0にイトナブという「IT」+「営む」+「学ぶ」を合わせた造語を名前に持つ、石巻の将来を担う若者の職業訓練と雇用促進を行うプロジェクトがあります。このイトナブ主催で7/27(金)〜7/29(日)まで行われる第1回石巻ハッカソンは「Startup Weekend」と「Boot Camp」の2つのプログラムから構成されます。

Startup Weekend (主催:Startup Weekend Tokyo+イトナブ)は、起業を目指し、ビジネスモデルを競い合う「Startup Weekend」(本拠地:米国シアトル)をベースとして、石巻独自のStartup Weekendを展開します。

今回は「地域住民が抱える様々な問題について、ITを駆使して解決し、新たなビジネスモデルを構築する」ことを目標として、グループ単位で競い合います。

複数の参加者が問題を発表 それぞれの問題についてチームを結成 チーム毎に解決策を検討、プログラムを開発 解決策、プログラムのプロトタイプを発表 評価 という流れのイベントとなります。

Boot Campは、主に、石巻市及び近郊の高校生がソフトウェア開発の第一歩を踏み出すためのイベントです。既存のカリキュラムを用いて、3日間でAndroidアプリを制作します。Corona SDKを用いる予定です。協力:GClue(from会津)

どちらも会場は石巻工業高校です。

石巻工業高校
住所: 〒986-0851 宮城県石巻市貞山五丁目1番1号

Boot Campは地元の高校生が主役ですが、Hack For Japanスタッフがチューターとして協力します。

Startup Weekendへは地元以外からも開発者が参加可能です。7/27(金)午後2時に石巻工業高校に集まれる方を募集します。宿泊テントを用意しますので、後10名程度までならば、実費3千円程度でお泊りいただけます。それ以外の場合には、近隣の松島や東松島の宿泊施設をご自身で手配いただく形となります。
※テント利用は希望順となります。数に限りがありますのでお早めにご連絡ください。
夏休みに入った後ではありますが、是非とも奮ってのご参加をお願いします。なお、開始は金曜日からとなりますが、希望者は土曜日からの参加も可能です(*ただし、すでにグループ分けは終了した後から合流する形となりますので、その点はご承知おきください)。

申し込みはこちらから 終了しました。

Hack For Japanスタッフ 及川卓也
石巻2.0 古山隆幸(理事)「イトナブ」「セレブリティプロジェクト」「RE-FUTEBOLISTA」webプロデューサー


石巻2.0とは
ISHINOMAKI 2.0は東日本大震災を経験した石巻というまちを、震災前の状況に戻すのではなく、新しいまちへとバージョンアップさせるために2011年6月に設立されました。メンバーには地元の若い商店主やNPO職員をはじめ、建築家、まちづくり研究者、広告クリエイター、Webディレクター、学生など様々な職能を持つ専門家が集まっています。

震災後、ジャンルに縛られない多種多様なプロジェクトを実現させてきました。石巻に元からあるリソースを丁寧に拾い上げ、全国のありとあらゆる才能と結びつけて今までになかった新しいコミュニケーションを生み出しています。

ISHINOMAKI 2.0は常にオープンな集団です。石巻の内外の人々を巻き込みながら、すべての人がまちづくりの主役となるような仕組みをつくりだそうとしています。石巻のバージョンアップが、日本のバージョンアップのモデルになることを目指しています。
(「石巻2.0とは」から)

7/14(土)に開催されるオープンソースカンファレンス仙台2012でHack For Japan ミニアイディアソンを行います

Hack For MIyagiスタッフの小泉です。

Hack For MIyagiイベントのご案内です。

7/14(土)に開催されるオープンソースカンファレンス仙台2012で震災復興のスマホアプリ企画を考えるミニアイディアソンを行います。
https://www.ospn.jp/osc2012-sendai/modules/eventrsv/?id=1&noform=1

このミニアイディアソンは昨年も行われたもので好評につき今年度のオープンソースカンファレンスでも行います。
昨年度は震災復興のアプリを考えるワークショップでしたが、今年は昨年よりもテーマをさらに絞ります。
被災地の産業復興を観光の点から考えて、観光に役立つスマホアプリを考えるワークショップです。

昨年の様子はこちらからご覧下さい。
http://www.ospn.jp/press/20110603osc2011-sendai-report.html

11:00から3F視聴覚ホール前オープンスペースで行います。
開催日程が近い中のご案内となりましたが、ご都合つく方は皆様是非ご参加ください!
https://www.ospn.jp/osc2012-sendai/modules/eventrsv/?id=1&noform=1

GLOCOM オープンデータ活用ハッカソン レポート

こんにちは。Hack For Japan スタッフの関です。
震災以降、Hack For Japan では被災地向けのハッカソンを中心に活動してきました。本ブログでご報告しているように、 Hack For Iwate での復興マッピング活動など、現地での活動も続けておりますが、最近では徐々に活動の幅を広げ、テクノロジーと社会的課題をハッカソンでつなぐことを行なっております。

オープンデータ活用ハッカソン

最近個人的にも興味があるのが、オープンデータです。6月2日に行った復旧・復興支援データベースAPIハッカソンで利用したAPIもその範疇だと思いますが、今回は、6月9日及び6月30日、7月1日の3日間をかけて、国際大学 GLOCOM で開催されたオープンデータ活用ハッカソンのオーガナイザーをさせていただきました。

ハッカソンの模様

場所・主催:国際大学GLOCOM
6月9日:アイデアソン
Togetterまとめ:http://togetter.com/li/317740
6月30日、7月1日:ハッカソン
Togetterまとめ:http://togetter.com/li/330409


アイデアソンの参加者は40名ほど。ハッカソンは30名ほどでした。


最終的に30名近くの方が7チームにわかれてプロトタイプの完成を目指したのですが、エンジニアだけでなく、市職員や議員、元県CIOの方、大学教授など多様なメンバーが集まって濃密な時間を過ごしました。

税金はどこへ行った?プロジェクト

http://spending.jp/

 私も「税金はどこへ行った」チームに参加し、手を動かしてきました。実際に開発したサイトはこちら。 http://spending.jp/あなたの年間収入を入力すると税額が表示され、その税金が1日あたりいくら、どの分野に利用されているかを表示します。 イギリスの Open Knowledge Foundation が開発した Where Does My Money Go? のソフトウェアをベースに開発していますが、データは横浜市財政局財政課が作成している平成24年度一般会計予算のデータをもとにしています。(なので横浜市税のみ対象です) 税額の計算方法は簡易的だし、表示の仕方ももっと工夫したいところでしたが、1日半で動くものができたという点では満足しています。まず「自分の税金がどう使われているのか?」ということがわかりやすく表示されることは、一般市民が政治のことを理解する第一歩に繋がるとも感じていますので、是非このプロジェクトは継続して育てていきたいなと思っています。 横浜以外のデータやエンジニアも募集しておりますので、ご興味ある方は是非プロジェクトチームまで御連絡ください(info@spending.jp)。 以下は発表時のUstreamアーカイブです。



プロジェクト一覧

他にも、以下のような興味深いプロジェクトが生まれました。(リンクはそれぞれの発表動画)

参加者のモチベーションも高く、いくつかのプロジェクトは、ハッカソン後も開発が続きそうです。
主催者や参加者のレポートも上がってきております。

今後も同様のテーマで定期的にイベントを行なっていくということです。Facebook グループで告知されるとのことですので、ご興味のある方は是非ご参加ください。
http://www.facebook.com/groups/397441130292931/

今後の取組みや課題

 Hack For Japan で活動を始めてから、「テクノロジーと社会的課題をつなぐ」をテーマに様々なハッカソンにチャレンジしてきましたが、まだまだ課題がたくさんあります。多様な人が集まり短期間で集中してアウトプットを出すハッカソンという形式はプロトタイプ作成においては非常に強力な仕掛けになりますが、そこからのサービス化には当然多くの困難を伴います。それを乗り切る為の枠組みはハッカソンは提供していないというのもあります。特にボランタリーで集まった人には、ハッカソン後の継続基盤が存在しないことが多いです。 ただハッカソンをオーガナイズするだけではなく、ハッカソン時に多様な人々に集まってもらうにはどうするか?ということや、適切なテーマ選び、ゴール設定、イベント終了後もプロジェクトが継続する為の仕掛け、社会にインパクトを与えるための舞台作りなど、考えなくてはいけないことがたくさんあります。 まだまだ試行錯誤の日々が続きますが、是非皆様のお力添えをいただければと思います。

復旧 復興支援データベースAPI ハッカソン レポート

スタッフの鎌田(@4niruddha)です。


2012年6月2日、三菱総合研究所さんの会議室をお借りして、復旧・復興支援制度データベースAPI ハッカソンを実施いたしました。
みなさんはオープンガバメントという活動をご存知でしょうか。透明でオープンな政府の実現を目的とした取り組みのことで、近年ではオバマ大統領が就任直後に“一層開かれた政府”を目指すために「透明性」「市民参加」「官民連携」の3原則を表明し、行政の情報公開や市民の政策参加などを推し進めています。その中でもアメリカ政府が保有している様々なデータをインターネットを活用して可視化するサイト「Data.gov」の活動が世界中で注目を集めており、各国でも同様のサイトが立ち上がっています。

こうした動きを受けて、日本でも国や地方自治体が提供している被災者や被災地域の事業者向けの復旧・復興支援制度を提供するAPIが公開されています。今回の復旧・復興支援制度データベースAPI ハッカソンでは、このAPIを使って、どのようなアプリケーションやサービスが開発できるか議論し、実際に開発を進めることを目的としました。APIやサイトへの問題点や要望などがあれば、経済産業省にフィードバックすることも可能です。

国や地方自治体が提供する支援制度を受けるためには、いくつかの申請項目、書類等を用意する必要があり、通常は行政書士や税理士の方々の力を借りるのが一般的です。そのため、今回は被災地で働く行政書士、税理士の方にもお越しいただき被災地での申請状況等を伺いつつ進める形を取りました。

経済産業省からの説明

経産省の守谷さんより、今回の復旧・復興支援制度データベースの活動の主旨をご説明いただきました。

震災から1年以上経った今も、被災地に必要な情報の開示や集約が行われていない現状から、国や自治体が発信している情報を一元化しネット上で公開を始めたのが、そもそものきっかけだったそうです。先の震災で国や自治体が旧来のあり方から変わらなければならないという考えも更に強いものとなり、また、被災地の復興に向けてどのように情報を届けるのか第一課題としてあるので、今後の公共のあり方としても開発者の方達と連携を深める必要があると考えていたとのことで、諸外国の中でも日本は遅れた位置にあるのでオープンガバメントという活動は今後一層の推進をして行きたいとおっしゃっていました

次に今回の復旧・復興支援データベースの説明を同省の平本さんよりしていただきました。
去年の3月11日の震災時における緊急対応から、復興フェーズでの被災者支援制度と支援制度のフォローアップを一体として可視化していくためのデータベース化、および制度の見える化サイトの必要性が高まっているという背景があったとのことです
今現在、518件の支援制度が登録されいているが、そもそもは各省庁から被災者向けのハンドブックや自治体からの通達など支援制度の情報がバラバラに配布されており、それらは日本語で書かれているのだが、フォーマットが揃っていないことなどで、被災者自身によって有用な情報を探すことが難しい現状でした。こうした現状を踏まえ、国においてオープンガバメントを推進する部門に所属することから、情報が一元化されたサイトの立ち上げ、さらにはデータベースの情報をAPIから取得可能とし、公開たという経緯がありますしかし、課題はいくつも存在しているとも平本さんは指摘されています。各省や自治体によって支援制度の内容や構成にばらつきがあり、画一的なフォーマットから情報を入手することができていないという点です。現在はシンプルさと情報の正しさに重きをおいて情報の入手に努めていますが、今後は制度を登録するタイミングで分かりやすく登録してもらうようにして行きたいと考えているとのことでした

基本的な使われ方としては、被災者の方が相談窓口などにいらした際に、行政書士さんなどが窓口でDBを利用していただき適用可能な制度を探していただくという形で利用されています。ユーザーインターフェースに分かりにくいところがあるのは十分に理解しているので、今後はそうしたところの改善も図って行きたいと考えているそうです

このようなオープンガバメントに関するご意見、ご説明を頂きました。

参加者の自己紹介

そしてハッカソン恒例の参加者の自己紹介タイムですが、今回のハッカソンでは開発者の他にも様々な方々にご参加いただきました。オープンガバメントに興味があって参加された方、行政書士という立場で復旧・復興支援制度データベースを利用されている方、海外の被災者の方をサポートしている方、行政書士、税理士の方。全体の比率で言うと、開発者が6割、その他の行政書士や税理士などの方の参加が4割といった感じでした。
また、国が提供している良い支援制度が利用者に届きにくい、分かりにくい現状を改善するようユニバーサルメニューといった形で、被災者の方々に支援制度情報を分かりやすく届けるサイト復旧復興支援ナビ」を運営されているNPO団体アスコエさんや、今回の復旧・復興支援制度データベースサイトやAPIを開発された函館の株式会社マイスターさんもSkype経由で参加されました。

開発元の方が参加したことや、今回の開発者の多くがWEB系の経験をお持ちだったこともあり、既存のサイトに対する意見やAPIに対する意見など、復旧・復興支援制度サイトやAPIの改善について非常に建設的な議論ができたと思います。

被災地で働く税理士さんからのインプット

今回のハッカソンでも被災地の現状を共有し、アイデアに活かすという観点から、いわき市に在住で被災者の方に支援制度を案内している税理士、木幡仁一さんに現地の状況をお話いただきました。

被災直後の状況

福島第一原発から50kmほど離れた場所にお住まいで、4号機の話に関しては今現在も予断を許さないことから毎朝状況を確認されていて、被災直後は海から離れていたが自宅は全壊、事務所は無事といった状況だったとのことです。ちょうど3月11日は確定申告の締切ギリギリであったため、小名浜で申告の手伝いをされていたそうです。

震災直後は電話不通、メールも時々しか繋がらないし、ネットも光回線が2~3日不通の状態が続き、電子政府の一環でネット対応していたため、光回線が不通だと仕事が全くできなくなったそうで、こうした面でも我々インターネットが生業に不可欠な業種にとって、考慮しておくべき課題が明らかです。また、スタッフとお客様の無事の確認された後、原発の話が挙ったそうなのですが、当初、地元では深刻に受け止めれられていなかったとのことでした。しかし、事態が明るみになるにつれ、深刻な状況ということが分かり、14日の午前中に事務所の作業をとりやめ、バックアップを持って車のガソリンで逃げれるところまで逃げてくれと指示を出してスタッフに解散命令を出し、避難をしたのち17日に事務所再開のための準備に着手して、28日から事務所を再開されたそうです。

被災地での対応

震災直後の混乱時に金融機関からの引き落としなど、お金の運用面が被災地で事業を営むお客様の心に最も心配を与えていたとのこと。そこで各金融機関に震災時の緊急対応の状況を電話でヒアリングをして、その状況をホームページで掲載。確定申告直前での震災であったため、金融機関は融通が利いたが、リース会社など一部の所は問答無用で引き落としが行われる等、被災者の方々が知らなければならない情報も数多くあったそうです。その後も継続して金融機関の情報を発信することで被災者のサポートを行ってこられたとのことでした。

支援制度の現状

国や自治体の用意する支援制度はその種類も多種多様なだけでなく、対象となる支援先の定義も多種多様であるため、利用に際した判断が非常に難しいものとなっていて、支援制度自体も被災の状況が明らかになるにつれ、その内容に変更が加わったりもしたそうです。
例えば、支援制度の1つに、津波で流された家と家の境界となるコンクリートの基礎の部分を対象としたものがあったが、その支援制度ができた当初は家の基礎の部分は線引きの判断対象には含まれていなかったなど、支援制度も運用の実態の中で変わることもあれば、必要な手続きや中身が簡略化されたり、定められた期限が変わったりすることもままあるようです。
他にも支援制度の申し込み案内が細かすぎて、すべてを精査できる税理士さんのようなプロでないと、どの支援制度が良いのかといった判断がつかないものも多数あるのが現状とのことでした。

こうしたプロである税理士さんが仲介せずに個人で申請などを実施したケースで申請が不受理された場合などでは、その理由がクローズドなものになってしまい、知見が共有されずに支援制度の導入が被災者の間で進み辛くなってしまう等の問題も指摘されていました。
その後の質疑応答にて経産省の守谷さんから説明があり、復旧・復興支援データベースAPIで提供する国や自治体の支援制度は、データの正当性に重きを置いているため情報量が冗長になりがちで、仲介する人間が存在するという過程で作られているとのことから、将来的には直接利用者に届くデータも提供も視野に入れているとのことでした。

アイディアソンからハッカソン

さて、午後は国や被災地域からのシェアに基づき支援制度を被災者や被災地域の事業者の方々に向けて、より届けるために何ができるかという視点でアイディアソンを実施し、その流れでもの作りをできるところはハッカソンに移るというスタイルで進めました。チーム分けはアイデアがある人や、テーマを定めてそちらに賛同する人が集まるという形で実施し、以下のチームに別れて作業を開始しました。

中身検索ビジュアライズ

このプロジェクトは、これまでHack for Japanのハッカソンにも何度か参加してくださっている冴木さんが、復旧・復興支援データベースに登録された国や自治体の支援制度には様々なものがあり、これらを検索して利用するシステムに疑問を感じられ、それをきっかけに復旧・復興支援制度を視覚的に分かりやすくビジュライズ化しようとする発想のもと、今回のハッカソンに向けてプロトタイプを事前に作られていました。
一目で全体像が見渡せるデザインと制度間の関係性を明らかにするために、登録されている支援制度のデータを基にクラスタ分析を行い、他の支援制度との関係を樹形図に表すことでその関係性を可視化し、ディレクトリをたどることで求める支援制度にたどりつくようなUIを模索する中、現在登録されている支援制度のデータフィールドにおける「内容」フィールドは分かり難いものだが分類自体は細かくできたり、「対象者」フィールドは見ると対象者は分かりやすいが分類はし辛いなどの特徴を見ることができたそうです。これは支援制度のデータ登録時におけるフォーマットのバラツキであったり、支援制度自体のバラツキであったり、その原因は様々なものがあるかと思いますが、副産物としても復旧・復興支援制度データベースに対する課題提起という側面があった有意義な発表でした。

検索ノーマライズ

続いて、こちらも参加前にアイデアを暖めてくださった本間さんらによるもので、個人向け支援制度の検索を試していた際に「こども」だとヒットするが「子供」だとヒットしないなどの問題に気付かれた参加者の方が、漢字でも仮名でも検索にヒットしたり、完全一致だけでなく、曖昧一致などでも復旧・復興支援制度データベースの検索結果でヒットさせようという試みでした。発表では本文から仮名データを作成し、仮名検索の実現や類義語で自動検索をしたり、検索候補のツリー表示や、分かり難い検索画面のデザインの見直しなどの提案が行われました。検索ノーマライズチームはハッカソンから数日で第一弾をリリースし、現在も随時アップデートを行っています。(http://masap.sakura.ne.jp/hack_for_japan/search_normalize/



ダッシュボード

伊津野さん、久保さんによるダッシュボードチームでは、検索する行為自体の障壁を下げるために、面倒な検索作業をより簡単にするためのアイデアをたくさん発表していただけました。その中で実際にAPIを利用してみた際に気付いた課題等も共有していただけました。
まず、どのチームからも共通して出た意見として「被災者や被災地域の事業者にマッチする支援制度を探し出すのに一苦労する」という点で、復旧・復興支援制度データベースを利用する人にマッチしたおすすめであったり、支援の期限が迫っている支援制度を優先表示するなど、支援制度の検索結果に関する指摘がありました。また、検索結果をそのまま利用するためにファイルのダウンロード機能の実装や、カテゴリを選択した瞬間に支援情報を表示するなどの案がエンジニア目線でのUI改善案として提案されました。
また、APIを触った感想として、都道府県別や役所毎の支援制度の数をグラフ化しようとしたり、日付順で支援制度を表示しようなどと試みたが、そうした情報がフリーフォーマットのフィールドにばらついて登録されているため、そこから抽出するのが困難な構造になっていて、支援制度の詳細な情報に正しくたどり着くのが難しかったことから、登録時の入力フォーマットなどに対する建設的な意見が提案されました。さらにAPIが返すデータとしてJSONが必要と言った、Webエンジニアの目線での利用促進案が提案されました。

地理情報

嘉山さんらによるこのチームは被災者が制度を利用する時に地理情報を元に利便性を向上させることを目的として発表を行っていただきました。まず、支援制度は複雑な申請フローに加えて、たくさんの申請書類が発生しますが、それらの書類をどこで入手したらよいのかをいちいち探し出すのが申請者にとって負担になっているのではないか?といった仮定でアイデアをブラッシュアップされていました。
被災地域では津波や原発問題により、居住区が元の場所とは異なっている被災者の方も多く、また申請に必要な書類を入手できる役所も一カ所とは限らないことから、窓口での手続きの負担を下げるために、制度を選択すると手続きしたい人の現在位置の位置情報を元に、申請に必要な書類とその書類を取得できる役所などが表示され、それがTODOリストにでき、地図とも連携して表示するサービスのアイデアを提案していただきました。さらには近隣の手続きを相談できる税理士や司法書士の方のリストやその事務所への地図等とも連携することで、支援制度を利用する負担を大幅に軽減できるものです。ただし、これを実現するためには既存の復旧・復興支援データベースの情報では足りないものもあり、今後の改善案として、申請書類とその取得先の対応関係のデータや、申請書類の提出締切などの期間データの提供を復旧・復興支援データベースに求められていました。

プレゼンソン

峯さんと牟田さんによるこのチームは復旧・復興支援データベースに登録されている支援制度が複雑で、どういった条件で、どういった人が対象で、いついつまでに申請しなければならない等と言った情報が分かり難く表現されているため、これを誰でも分かるレベルまで噛み砕いてスライドにすることで、被災者の方が支援制度を知り、有効活用できるように支援するものとなりました。

当初はたくさんあるものの登録されている支援制度の大部分をスライド化する見込みは立っていましたが、実際に行政書士の方と組んで実施したところ、1支援制度あたり2人で1時間スライド化するのに時間がかかったそうで、想像以上に困難だということが分かりましたが、この活動は引き続き北鎌倉のワークスペースにてプレゼンソンという形で引き続き実施される予定です。

Facebookプッシュ

このチームは支援制度を必要としている被災者や被災地域の事業者向けにプッシュ通知で送ることができないかを検討したチームで、議論の中で被災地でFacebookを利用している人は少なかったが、震災時からTwitterを利用する被災地の方が増えたという情報を元にユーザーがTwitter上でOAuth連携を行うことで、登録された居住区に対する申請が追加された際にプッシュ通知でお知らせしてくれるというサービスのプロトタイプを開発し発表してくれました。



復旧復興支援ナビ

このチームは復旧・復興支援データベースで公開されているような支援制度をより分かりやすく、被災者の方が見つけることができるようにユニバーサルUIという方針のもと、データ提供しているNPO団体のアスコエさんが公開している復興支援ナビを改善するために、何ができるかという検討を行政書士さんや税理士さんを中心に議論されました。
議論の中で、こうしたサイト運営にかかる費用面の問題が大きく、そのことからサイトのマネタイズによった案が多く寄せられ、そこを起点にサイト改善、被災者へのよりよいデータ提供と言った形に議論が発展し、発表が行われました。




カレンダー

Hack for Japanのスタッフが多かったこのチームは、いくつもある国の支援制度でも締切などの期限があるところが可視化されていない点に着目し、カレンダーなどで分かりやすく表現するためのアイデアを発表していただきました。
まず、APIを経由してcronでGoogleカレンダーにデータをインポートし、制度開始、申請開始でエントリーと締切でエントリーを実施し、その結果をTwitterのbotで地域ハッシュタグ付きでTweetするなどの利用例をいくつか挙げてもらいました。しかし、その過程でAPIの課題であったり、登録されている支援制度のなかにフリーフォーマットで登録されているものが多く、「窓口にお問い合わせください」という形でシステムとして利用するには困難なものや、制度自体に依存関係が存在し、申請するには他の制度の申請が必要だったりするものがあり、単純にカレンダーに紐つけることが難しいものがあるため、よりシンプルな形での支援制度のあり方の指摘に繋がりました。

API機能追加

私も参加したこのチームでは公開された復旧・復興支援データベースAPIの問題点をインターネット企業に務めるメンバー全員で棚卸しして列挙し、このAPI自体がもっと利用されるためにはどうしたらよいかを議論し、参加されている経産省の方や開発に当たったマイスターの方々にお伝えすることで改善を促すことを実施しました。 まず、大きな問題として最初に指摘させていただいたのは、公開されているAPIの仕様がPDFやWORDで公開されており、WEBでの閲覧性を高めるためにHTML化を実施する要望を出させていただきました。先の震災でも政府から公表されるデータがことごとくPDFであったため、公開データを利用しようとするエンジニア達がわざわざOCRにかけてテキスト情報を抽出するといった手間をかけていたためです。
これに対し、チームメンバーの三部さんにより、その場でPDFのAPI仕様書をHTML化して公開をして、インターネット企業のスピード感を感じる一幕も有りました。
HTML版 ※6/2時点でHTML化したものにつき、仕様の閲覧は本サイトを推奨http://dmikurube.github.com/r-assistance-API/API-reference.html
その他もAPIのレスポンス構造からシステムのデータベース設計まで想像できるような形であり、APIのレスポンスとしては不自然な箇所やフリーフォーマットが多いため、その中に必要とする情報が埋もれてしまうことから、自然言語処理をかけることで特徴語などを抽出し、タグ化などを行うことで情報への到達性を高めるための工夫を提案しました。

支援制度登録のつぶやきbot

ハッカソン当日ではありませんが、後日、参加者である返町さんが、復旧復興支援制度が登録された翌日につぶやく非公式botをリリースしました(Twitterアカウントは@rrasbot)。searchSupportInformationsで、IDを拾ってきて、各IDからgetSupportInformationで詳細を拾うというものです。申請期間から、「もうすぐ開始です」、「開始されました」と言ったことをつぶやくことを目指したものでしたが、申請期間のフォーマットがまちまちなためデータベースに登録された日の翌日につぶやくようになっています。

このハッカソンを通じて

今回のハッカソンを通じて、復旧・復興支援データベースAPIを公開している経産省に対して、利用者側からの様々な意見を提示することができました。
すばらしい支援制度がいくつもある状況であるのに、それが求められている被災者や被災地域の事業者に届いていなければ意味がありません。その状況に問題意識を持ちオープンガバメントの概念で支援制度を集約してデータベース化しAPIとして公開した経産省、そしてそのAPIでハッカソンを実施し、そのAPIに求められる機能等を利用者の立場から改善案を提言したり、APIを利用したサービス案を出し合い実際に開発したりする今回の参加者の方々など、オープンガバメントの名の下に政府と共に国をより良くするための市民参加がうまく行えたハッカソンとなりました。
しかし、これはきっかけに過ぎず、この活動を通してより支援制度が利用者に対して提供しやすくならなければなりません。オープンガバメントの活動も我々の税金によってまかなわれているという点で、その効果が現れなければ、すばらしい試みだとしても継続していくのが困難になっていきます。当日のハッカソンに参加できなかった方も、このブログをご覧になった方々も、ぜひ復旧・復興支援データベースAPIを利用し、サービス開発をしていただき、課題や問題があれば政府に対して要望としてフィードバックをしていただければと思います。  



当日のUSTは以下からご覧頂けます。
http://www.ustream.tv/channel/hack4japan

復旧 復興支援データベースAPI ハッカソン開催のお知らせ

東日本大震災の復旧・復興のための各種支援制度が国や地方自治体から提供されています。その利用を促進するため、Web経由で検索するサイトが今年の1月から立ち上がっています。現在すでに、国および岩手・宮城・福島の3県の情報が登録されています。

復旧・復興支援制度データベース

さらに、2月からはRSSやAPIの提供も開始されており、一般のアプリケーションやサービスが利用することが可能となっています。

復旧・復興支援データベースAPI

このRSSやAPIを利用することで、きめ細かい検索を提供したり、制度の紹介を自動的に行わせることなどが可能なのですが、多くの開発者にこの存在を認知されているとは言いがたい状況です。

そこで、Hack For Japanとして、経済産業省および三菱総合研究所と共同で、このAPIのアイデアソン/ハッカソンを開催することといたしました。

このAPIを使って、どのようなアプリケーションやサービスが開発できるか議論し、また、実際に開発を進めることを目的としています。APIやサイトへの問題点や要望などがあれば、経済産業省にフィードバックすることも可能です。

開催要項

開催日時/場所

  • 6/2(土)10:00 – 17:00
  • 三菱総合研究所 会議室 / 東京都千代田区永田町二丁目10番3号(地図
  • 定員50名

対象者

  • 開発者: アプリケーション/サービスを開発する人
  • 利用者: 行政書士/税理士など
  • そのほか、興味ある人

当日のアジェンダ

10:00進め方の説明
10:15経産省からAPIの説明目的や想定利用ユーザーなど
10:45参加者の自己紹介
11:00税理士/行政書士からのインプット

  • (想定)利用シーン
  • 通常の業務
  • 被災地での活動
11:30質疑応答
12:00アイデアディスカッション / グループ分け(仮)

  • アイデアをすでに持つ人はそれを共有
  • グループ分けをして、グループごとに議論
12:30ランチ
13:30グループ分け / ハッカソン & アイデアソン

  • 議論を続けるか、開発できるところは開発を行う
  • アイデアディスカッションだけのグループを確保
16:00成果披露、質疑応答/フィードバック
17:00終了

参加登録

参加希望者はこちらのフォームから登録してください。
氏名、所属(任意)、メールアドレスおよび立場(開発者か利用者か)を登録お願いします。
皆様の奮っての参加をお待ちしております。参加に当たって質問などある方はinfo@hack4.jp までお問い合わせください。

Hack For Iwate Vol.4 – 復興していく三陸の店舗を記録しよう! –

Hack for Iwate メンバーの桝澤です。

2012年3月20日(祝日)岩手県釜石市にてHack for Iwate Vol.4 「復興していく三陸の店舗を記録しよう!ワークショップ」が開催されました。

今回のイベントは、2012年1月に開催したHack for Iwate Vol.3にて話題に登った「復興したショップを可視化したい」というお題に対し、OpenStreetMapFoundation古橋さんから「地図共有サービス:OpenStreetMap(以下OSM)を活用しては?」「必要であればOSMメンバーが現地で講習会を開催しますよ!」という提案があり実現に至りました。

Hack For Iwate 第3回アイデアソン

▼参加者は、岩手県、または三陸地域の方を優先

そこには「OpenStreetMapを学び、そして、ここで覚えたスキルを使って自分たちの手で復興していく三陸の店舗を記録して貰いたい」という願いが込められています。

▼Togetter

■2012年3月19日(月)前夜祭

岩手県釜石市にある「養老乃瀧釜石店」にて、前夜祭が開催されました。
参加者は、Hack for Japan/Iwateの岩切さん、そしてイベント講師であります古橋大地さん(@mapconcierge) と 関治之さん(@hal_sk)を始め、イベント参加者、更に釜石市の復興に携わるメンバーが20人以上(!)駆けつけました。

なお、予習ということで古橋さんから翌日の説明を頂きました!酔ってません、真剣です!

明日は頑張りましょう!

■2012年3月20日(祝日)

集合場所は釜石市大町にある「ジャズタウンホール」

釜石市大町は津波の浸水地域でしたが、タウンホールさんの店舗は2Fにあり、津波の直撃を避けることができました。(2011年8月に営業を再開しておられます。)
JAZZを聞きながら美味しいお酒とコーヒーを頂けて、更に優しいマスターが迎えてくれるという素敵なお店です。釜石にお越しの際は是非お立ち寄り下さい!

なお、ジャズタウンホールさんには、今回特別に場所の提供をいただきました。
ありがとうございます!

さてワークショップがスタートします。

■ はじめに

参加者は、当初定員を大きく上回る総勢43名。岩手県沿岸地域(釜石市、山田町、陸前高田市、大船渡市、久慈市)、盛岡市、一関市、東京、埼玉、そして広島からもご参加頂きました。

■ 9:00-9:30 概要説明

講師の古橋さん、関さんから今日の段取りとOSMの基本的な説明。
資料

皆さんメモをとりながらも真剣に説明を聞きます。

▼古橋さん「作業の半分はフィールドワーク。OSMって実は肉体労働なんです。」

OSMで地図を作るには「足を使って情報を集めるフェーズ」「パソコンを使って地図を作るフェーズ」の2つのフェーズがあるそうです。
今回のワークショップは、その2つのフェーズを実践します。「午前は街を歩き情報収集!」「午後は収集した情報をOSMに入力してみよう!」という段取りとなります。

▼古橋さん「OpenStreetMapの釜石の地図は、誰が作ったと思いますか?」

2010年ハイチ地震に伴う津波後、このOSMを使い、世界中のマッパーがハイチの地図をものの数日で作り上げたそうです。今回の東日本大震災の際「日本人は、ハイチの時に地図を描いてくれた。今度は我々が助ける番だ」を合言葉に世界中の方が東北の地図を描き、震災後の釜石市の地図に至っては外国の方(国籍不明)が書いてくれたそうです。
*ワークショップ後、こちらの方にイベント後の釜石のマップを添えて、感謝のメッセージを送っております!

▼横浜サテライト会場でも絶賛作業中!

同日、横浜にサテライト会場が設けられ、このワークショップと同時進行で釜石市の地図を作成してくれているとのそうです。
(はじめはピンと来なかったのですが、ワークショップ前後の釜石の地図(OSM)をみて「なるほどこういうことか!」と実感しました。サテライト会場の皆様、本当にありがとうございました)

OpenStreetMapは「みんなで作る地図」

  • たとえるならば「Wiki地図」
  • 普通の地図は著作権に守られているので、複製・改変はNGですが、OSMは複製・改変可能、道路中心線も使える、商用利用可能など、とにかく便利!
  • OSMは地図データの入れ物。美しく描画するにはたくさんの情報(とHack)が必要!
  • 紙データも使えます!(但し、利用許諾をとりましょう!)


▼陸前高田市・新店舗マッププロジェクト 通称「金太郎マップ」

説明の中で「陸前高田市・新店舗マッププロジェクト」(通称「金太郎マップ」)を実際にOSMに登録した例が挙げられ「地域にあるローカルマップをOSMに集約することのメリット」について説明がありました。
なお、金太郎マップとは「陸前高田市の仮設店舗がどこで営業しているのか分かる地図が欲しい」と陸前高田市商工会議所より神奈川県へ依頼があり作成されたもので、現在も陸前高田市で活用されているマップです。

記載内容は店舗の営業時間、ATM利用可能時間まで詳細多岐に渡ります。更に手書きベースということもあって「ぱっと見の親しみやすさ」が印象的なマップです。ゆえに現地の高齢者を含む幅広い年齢層に受け入れられているのでは?とも感じます。

被災地には金太郎マップを始めとした「ローカル地図」が存在すると想いますが、こういった「ローカル地図」をOSMに展開(登録)していくことは、被災地の方に利用されるだけでなく「被災地以外の方が現地の情報を仕入れる手段」となりえると感じました。


▼街を歩いて情報を集めよう!(どんな情報をあつめるの?)

基本的にはGPSロガーを持って街を歩き、街の状況をメモしていくという手順です。段差がある、人が通れる道、そういった現地でしか知りえない細かい情報も大切です。
なお、今回は「復興していく店舗を記録」というテーマがありますので、お店を見つけたら以下の情報をメモしておきます。

  1. お店の名前(ふりがな)
  2. ジャンル
  3. 営業時間
  4. 電話番号
  5. 再開時期(いつから再開したか)


■ 9:30-12:00 街歩き(お店の地点情報、移動軌跡を取得)

仮設店舗が集約しているエリア、津波の被害を受けた商店街エリアの2グループに別れて行動します。

  • 釜石駅周辺チーム(関さんチーム)(仮設店舗が集約しているエリア)
  • 青葉通りチーム(古橋さんチーム)(津波の被害を受けた商店街エリア)

古橋さんよりGPSロガーの操作説明を受けてスタートです!

GPS:GARMIN

釜石市在中、または釜石市出身のメンバーが中心となって各地区の担当割を行いました。

この日は、新日鉄釜石製鐵所の煙も流されるほどの強く冷たい風が吹き荒れた日でした。生粋の東北人である私でも寒さに震えるほどでしたので、関東からいらした方にとっては更に辛い天候だったかと思います。

営業されているお店を訪問。趣旨の説明と了解を頂き、営業時間等のヒアリングを行います。
*なお、こちらのお店は津波により元の場所での営業が出来なくなったため、別の場所で営業を再開したお店です。

沿岸地域からワークショップに参加された方の中には、もう一度お店を再建させたい!という同じ境遇の方も多数いらっしゃいました。ヒアリング中に「大変ですが、いっしょに頑張りましょう」と交わされる言葉に非常に深い想いを感じました。

こちら釜石駅近くの鈴子仮設商店街「釜石はまゆり飲食店街」

こういった立て看板も大事な情報のひとつです。

▼「現在、宿泊されるお客さんに街の案内が出来ない。早く作って欲しい!」ホテル関係者

ヒアリングを行ったホテル関係者からこういったお話しがありました。
釜石市では、現在も建物の取り壊しであったり、道路の整備作業が行われている為、ボランティアの方のみならず、他県から多くの工事関係者の方が市内のホテルを利用されています。
ニーズは確かにそこにあります。そう思わせられる一面でした。


■13:00-14:00 アームチェアマッピング(タウンホール・AOBAの箱)

午後は、午前中に集めた情報をOSMに入力していきます。
2チームそれぞれ「ジャズタウンホール」「KAMAISHIの箱AOBA*」に分かれ、古橋さん、関さんより説明を受けます。その後、取得したGBSデータ、またはメモをもとに、自分が歩いた道やお店をOSMに登録していきます。

*KAMAISHIの箱AOBAは、2012年4月1日「インターネットdeかだって」と名前を変え、市民の方が自由にインターネットに触れることが出来る場所となっています。

ちなみに「インターネットdeかだって」は、Hack for Iwate Vol.1 (2011年6月開催) にて「仮設住宅に暮らす人々が少しでも快適に暮らせるようなICTのあり方を検討しよう」と立ち上がったプロジェクト「仮設ネットカフェ」が、岩切さん、アットマークリアスNPOサポートセンターの鹿野さんを始めとするメンバーの活動により形となったものです!

Hack For Iwate 第1回遠野アイデアソン・ハッカソン(2011年6月)

釜石まるごと情報Web Cadatte(かだって)

「KAMAISHIの箱AOBA」入力方法について関さんから説明中。

■14:00-15:00 AOBA会場に移動して質疑応答と次回の話

「ジャズタウンホール」チームも「KAMAISHIの箱AOBA」に移動して、全員で質疑応答です。

参加者からの質問に答える関さん

▼入力に手間取る方もいましたが、これは「慣れ」でカバー

OSMへ登録は、大まかにレタリング(線を引く)、属性を「OSMに用意された各種タグ」に登録すると
いう作業になります。今回は入力用アプリとしてWebベースの「Potlatch 2」というOSM標準アプリを
使いましたが、殆どの参加者は初めて見るインターフェイスであり、更に「どのタグを使えば良いの?」
のという疑問が生まれ入力に手間取る場面が見受けられました。
但し、OSMの入力は「線を引いて、タグを登録していく」というシンプルな仕組みですので、こちらは使い続けることで解決するのでは?と感じました。(要は慣れの問題)

▼作業前と作業後のマップ

左が作業前、右が作業後の状態です。(横浜サテライト会場の作業含む)
「世界中の人が作っている」「直ぐに更新される」という点を実感しました。


■閉会:恒例?のじゃんけん大会

岩切さんから閉会のお言葉。そして、HackForJapan恒例?のじゃんけん大会。
勝ち残った3名の方に岩切さんから書籍のプレゼントです。おめでとうございます!

皆様、ご参加ありがとうございました!またお会いしましょう!

■余談

今回私は岩手県山田町(津波被害が甚大な地域)から参加された、漁師さん、幼稚園の先生、更にタクシー会社社長さんと言う幅広い職種の方々と同じチームでした。

「自分たちで自分たちの街の地図を作って、それを皆が使ってくれたら嬉しいし、自分の街のことだから自分たちでやりたい。だからもっとスキルを付けたい」

そのうちのお一人がおっしゃった言葉です。

1年たった街を自分の足で歩き、直接その街で生きる人達と接することで見えてくるものがある、もう一度何が出来るのかをよく考え、そして、次回もう必ず開催したいと思えた一幕でした。

なお、開催するにあたり、関東からおいでになりました講師の方々、HackForJapanの皆様、そして岩切さん、場所をご提供頂きました「ジャズタウンホール」さん、釜石市役所の皆様、アットマークリアスNPOサポートセンターさん、遠野まごころネットさんに心からの感謝を申し上げます。まことにありがとうございました。

Hack For Iwate メンバー桝澤信好

■掲載サイトまとめ

【WebRock】3/20 Hack For Japan 釜石OpenStreetMap勉強会レポート
【日経電子版】(4/2) 釜石で始動、万人参加型の電子復興地図

Hack For Japan 1年を迎えるにあたって

震災から1年を振り返って

本ブログエントリーは「Hack For Japanの今後に向けて」と「1年間の活動報告」の2部により構成されています。

震災2年目を迎えるにあたり、スタッフ一同で執筆したものです。是非ご一読ください。


Hack For Japanの今後に向けて

はじめに

震災復興を継続的に支援するためのIT開発を支えるコミュニティとして、昨年3月11日の震災直後にHack for Japanは発足しました。

Hack for Japanの運営を行っているスタッフはもちろんのこと、主旨に賛同いただいた参加者の方々にとっても、大震災における状況下でのコミュニティ活動ははじめての経験が多く、試行錯誤を繰り返し、戸惑う場面もありました。

そこで震災から1年を迎えるにあたり、スタッフで話し合った活動の振り返りやこれからを皆さんと共有するためにこのブログエントリーを作成いたしました。

Hack for Japanのこれからの活動を実りあるものにするために皆さんにもぜひご一読いただき、ご意見などある方はFacebookやメールでお知らせください。

活動全体で評価できる点と改善点

評価できる点

1000年に一度とも言われる大震災で、各自が「何ができるか」を真摯に考え、その想いがIT業界の企業の垣根を越えた活動へとつながっていきました。その結果、普段なら決して出会えない面々とチームを組んで開発を進めていくという、貴重な体験を得られた方もいらっしゃるでしょう。こうした開発者同士のつながりだけでなく、被災地での活動を通して、東京と被災地のITコミュニティをつなげられたのも評価できる点です。

またHackathonなどの活動に参加いただくことで、多くの方々にハッカー文化に触れる機会がもたらされました。この経験から“ハッカー文化を広く普及していく”というHack for Japanの将来へわたる展望を見いだすことができました。

Hack for Japanの存在は「開発者を中心としたコミュニティ」「名だたるIT企業の支援」といった点が注目され、マスメディアで記事として取り上げられ、開発者の復興支援を促すことで、風化防止の一助になった側面もあると思われます。

最後に微力ではあるもののTシャツ販売を通して、寄付金による支援が行えた点も記しておきます(※2011年7月~2012年1月までで237,554円を寄付しました。ありがとうございました)。

改善すべき点

プロジェクト実現を目指したマッチングにこだわりすぎていたという反省から、以下のような改善点が挙げられています。

  • 他のボランティア団体などとの連携を早期から考えるべきだった
  • Googleモデレータでのアイデア投稿は面白かったが、Hackathon/Ideathonとの連携が難しいと分かった時点でその見直しをかけるべきだった
  • マッチング=プロジェクト遂行のためのパイプラインというコンセプトにこだわりすぎず、コミュニティの役割を考えるべきだった

またHack for Japanがコミュニティの場としての機能を果たしていなかったという意見もあり、以下のような改善点が挙げられています。

  • 参加者への意識付けが弱く、高い意識を保ち続けられる方法が必要だった
  • 8月のJILS(Japan Innovation Leaders Summit)でのHack for Japanの活動紹介後、12月までのバスツアーまで東京の参加者たち向けの場が提供できずにいた。Hackathonにこだわらず場の提供をすべきだった
  • 何かプロジェクトを起ち上げたいという人に対して門戸を広げ、サポートできる場が必要だった
  • 後半はスタッフのミーティング内容を公開せずにいたため、スタッフと参加者との間での意思疎通が図られなかったことがあった
  • 参加者各自がより交流でき、またプロジェクト同士の交流も図られるような場も必要だった
  • プロダクト完成まで導くために各プロジェクトの状況を把握しサポートする必要があった
  • スタッフが場の提供をして、希望者がそこに参加するという図式にこだわらず、参加者がより主体性を持って活動できるような運営方法が必要だった

Hackathonの評価できる点と改善点

被災地で役立つものを開発するという目的から、開発者たちをつなぎ、開発を形にしていく場であるHackathonは、Hack for Japanの中心となる活動の場でした。この活動で得られた評価できる点/改善すべき点を以下に記します。

評価できる点

  • 会場を確保して行うイベントのため人を集めやすい
  • 開催告知を通してメディアからの取材が入り、記事となることでさらに開発者の参加を促すことができた
  • さまざまな立場の人たちと議論や作業を進めることが可能だった
  • 被災地でも開催され、今後は各地で異なるニーズに合わせたHackathonが継続的に実施される見通しである

改善すべき点

<プロジェクト継続を促すサポート>

  • Hackathonを実施することにこだわりすぎたため、Hackathonが終わると開発が止まってしまう、もしくは尻すぼみになり立ち消えてしまうプロジェクトが見られた。どのように開発を進めていくか、いつまでに形にするかといったプロジェクトを継続するためのサポートが必要だった

<Hackathonの形態そのものを見直す>

  • ニーズを把握し切れていない/使うレベルまで達していない/短期間での成果にとらわれすぎてアイデアが練られていない/チームメンバーが不足していた/チーム編成を改善する機会が得られなかった/プロジェクトマネージャやデザイナなどが少数だった/被災された方の視点から意見する参加者が少数だった/といった点から、Hackathonの形態そのものを見直し改善する必要がある

継続すべきアクティビティ

Hack for Iwate、Hack for Miyagi、Hack for Fukushimaとして各地で独自の活動が行われていきます。
Hack for Iwateでは、「仮設住宅でのネットカフェ設置」「音楽スタジオ計画」「復興ショップマップ」など具体的に複数のプロジェクトが進行しており、Hack for MiyagiやHack for FukushimaでもHackathonやその他の活動が行われていく予定です。これら各地の活動に対して、東京や他の地方から開発で復興支援していきます。また他のボランティア団体との連携にも取り組んでいくため、こちらも東京での活動が予想されます。

今後の活動について

Hack for Japanでは復興支援活動だけでなく、これからの災害に備えた活動やハッカー文化を浸透させる活動など、復興支援に限らない活動も考えています。これらについて検討中の活動を以下に記します。

  • 今後の災害に備えるための活動
    • IT防災訓練
    • 災害支援ツールの開発
  • ハッカー文化(Hackathonなど)を浸透させる活動
    • Random Hacks of Kindness / Hackathonをパッケージ化
  • 若年層へのIT教育を支援する活動
  • 被災地のエンジニアと東京のエンジニアの交流促進
  • NPOやNGOと連携した海外への活動の発信
  • アーカイブ(記録)のための活動
    • アーカイブをテーマにしたHackathon
  • Hack for Japanの活動および実績の可視化

1年間の活動報告

2011年3月3/19-21 Hackathon (The Beginning)

  • 3/19-20 はオンライン(Wave)上にてIdeathon
  • 3/21 は京都、岡山、福岡、徳島、オンラインにてHackathon
  • オフライン会場の参加者数
    • 京都 62人、岡山 10人、福岡 7人、徳島 4人
  • オンライン上の参加者数
    • Google Moderator – 565 人の参加、258 個のアイデアと 5447 の投票
    • Google Wave – 1279 個のコメント
  • 開催報告ブログ

4月4/3 第1回スタッフミーティング にて1年間は活動を続けることなどを確認
4/7 被災地視察。被災地の現状を把握。現地のITコミュニティとのパイプが作られ、その後のHackathonの開催などにつながる。スタッフの及川卓也と山崎富美が最大の余震に遭遇。(及川のブログ山崎のブログEnterpriseZineの記事
4/24 Hack For Fukushima ミーティング

  • 会津若松市、会津大学にて開催
  • 福島県内だけでなく仙台、東京、他にも様々な地域から約40名の方が参加
  • 開催報告ブログ
5月5/21-22 Ideathon and Hackathon

  • 仙台、会津若松、東京、高松、福岡の5会場にて開催
  • 5会場合計で1日目に131名、2日目に87名の参加者
  • 東北の現地で初のHackathonで各会場をustで結んで連携
  • 開催報告ブログ
6月6月から7月にかけて、岩手、宮城の沿岸部を訪問

  • 岩手への訪問では後の遠野まごころネットでのHackathon実現につながる。
7月7/23-24 Ideathon and Hackathon

7/23, 30 Ideathon and Hackathon

8月8/6 Japan Innovation Leaders Summit リクルート主催のイベントで MIT 石井教授と共に登壇してこれまでの活動を紹介

9月9/27 プロジェクトディスカッション

  • 東京
  • 18名の参加者
  • 震災復興に役立つものか、プロジェクトを見直す機会を設けた。
10月10/15-16 Hack For Iwate 2

  • 遠野まごころネット
  • 15名程の参加者
  • 仮設ネットカフェの実現に的を絞ってアイデアソンを開催
  • 開催報告ブログ

12月12/11 Hack For Miyagi

  • 仙台
  • 17名の参加者
12/17-18 復興ボランティア情報交換会@石巻

2012年1月1/14-15 Hack For Iwate 3

  • 1日目は大槌町、2日目は釜石市
  • 12名程の参加者
  • 仮設ネットカフェと音楽スタジオの融合、Hack For Iwate の2012年の活動について
  • 開催報告ブログ

災害ボランティア意識アンケートの結果を公開しました

ピースボート災害ボランティアセンターと共同で2月16日から2月24日までの期間で行った災害ボランティア意識アンケートの結果を公開いたしました。

災害ボランティア意識アンケート 調査結果(ピースボート災害ボランティアセンター)

アンケートには、主にTwitterやFacebookなどを通じて合計1,016名の方からご協力をいただきました。

結果からは、災害ボランティアの情報収集でインターネットが大きな役割を果たしたこと(インターネットを通じて情報を得たという方がトップの39.50%。ほかにもTwitterが9.32%、Facebookが4.01%)、被災地でのボランティア活動の参加されなかった方でもインターネットを通じて支援を行った方が多かったこと(14.65%)、今後もインターネットなどを通じて現地に行かなくてもできるような支援を求めている方も多くいらっしゃること(11.62%)がわかりました。

ピースボート災害ボランティアセンターは、「これからの東北における復興支援やボランティア活動について」にあるようなさまざまな活動を通じて、継続して被災地を支援しています。Hack For Japanでは、ピースボート災害ボランティアセンターなどの震災復興支援団体の活動をITの側面からサポートするとともに、被災地とそれ以外の都市をインターネットのサービスで繋ぐなどして風化防止や今後の防災計画などを支援していく予定です。

アンケートにご協力いただきました方々、ありがとうございました。

災害ボランティア意識アンケートを行います

あと一月で東日本大震災から一年が経とうとしています。これまでに多くのボランティアが被災地での復旧および復興活動に参加してきました。私たちHack For Japanスタッフも何度も被災地に参り、現地でのさまざまな活動に従事されているボランティアともお話させていただく機会を得ました。まだ復興途中とはいえ、一年でここまでの状態になったのは、これらのボランティアの方々の存在が不可欠だったことは明らかです。

一方、各種報道でもご存知だと思いますが、時間の経過とともに、ボランティア参加者の減少に各支援団体、また被災地の人たちも悩んでいます。

そんな中、一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター(PBV)(http://pbv.or.jp/ )とHack For Japan(http://www.hack4.jp/ )は共同で災害ボランティア意識に関するアンケートを行うことにしました。このアンケートを通じて、今回ボランティアに参加しなかった人はどのような「きっかけ」があれば参加したか、参加した人はどのような「きっかけ」があったので再度参加したかを知りたいと考えています。
このアンケートの集計結果を基に、これからも東北における復興支援やボランティア活動を継続し、また今後こういった災害が起こった際のよりよい支援活動を行うための参考にさせていただきます。

アンケート結果は、ピースボート災害ボランティアセンター及びHack for Japanのwebサイトにて3月9日(金)以降に公開予定です。

本アンケートに対し、ご質問やご意見などありましたら、Hack For Japan(info@hack4.jp)までご連絡ください。

アンケートサイト:http://www.hack4.jp/RelatedInfo/pbv
期間:2月16日(木)〜 2月24日(金)