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Hack For Japan 3年目の活動目標「テクノロジーで社会的課題を解決する人のためのコミュニティー作り」

東日本大震災発生から立ち上がった Hack For Japan も、開始後2年が経過しました。我々は、以下の点を重視して3年目の活動を行なっていきます。
「テクノロジーで社会的課題を解決する人のためのコミュニティー作り」
具体的には、これまで Hack For Japan スタッフが主体として行なってきた、Hack For Japan 名義のハッカソンやワークショップを、Hack For Japan スタッフ以外のメンバーでも開催できるよう、オープンに活動していきます。
例えば、
・地域でのハッカソンやアイデアソン、ワークショップ、勉強会などの運営をお手伝いする
・地域でイベントや勉強会を運営するオーガナイザー間のコミュニティー作り
・ハッカソン運営のためのマニュアルやチェックリストなどのツールキット作成
・ハッカソン実施後の成果をまとめるためのサイト作成
など、社会的課題を解決するためのハッカソンを誰もが開催できるような仕組みを作っていこうと考えています。
これまで通り、自分たち自身でハッカソンやワークショップを開催していくことも行います。しかし、スタッフだけではない多くの人が繋がりハッカソンを実施していくことで、様々な地域でコミュニティーが出来上がることを目標として活動していきます。
2年目の活動
Hack For Japan の2年目は、震災復興では復興・復旧支援データベースAPI活用ハッカソンの実施や、現地での地図作りを行う復興マッピング活動、他にも未来に向けた取り組みとして被災地の高校生を対象にしたIT Bootcampなどを行いました。また、震災関連以外では、宇宙のデータを使った国際ハッカソン、「International Space Apps Challenge」 の日本地域のオーガナイズや、気象庁とのオープンデータハッカソン(GLOCOMのレポート記事)、国際的なオープンデータイベントである、International Open Data Day の東京地域のオーガナイズ(参加者のレポート記事)などをさせていただきました。
また、復興支援にITスキルを活かしたい方に対し、支援が欲しい人とのマッチングの機会を提供する、スキルマッチングの仕組みも開始しております。
最初のオープンデータ活用ハッカソンで生まれたプロジェクトの一つ、Spending.jp (税金の可視化サイト)は今では5都市に飛び火し、他の地域でも導入が進んでいます。

「ハッカソンは本当に有効だったのか」から始まった2年目の振り返り
Hack For Jpan 名義のハッカソンをスタッフ以外が行なっていくことになった理由をお伝えするには、まずはスタッフ間の振り返りミーティングの内容を共有する必要があります。Hack For Japan は当初から、1年毎に自分たちの活動を振り返り、活動を継続するか止めるかを検討することになっています。
振り返りミーティングは、スタッフの一人による「ハッカソンは震災復興に本当に有効だったのか」という問いかけから始まりました。ハッカソンは本来楽しいものであり、震災復興というテーマにハッカソンはふさわしくなかったという可能性はないか?という問いかけです。Hack For Japan ではハッカソンを中心に活動を行って来ましたが、残念ながら被災地で使われているものはあまりないと言わざるを得ない状況です。
しかしながら、中にはボランティアセンターのホームページリニューアルや、ハッカソンで生まれたアプリがその後も形を変えて使われているなどの成功事例もあります。そういった事例を分析してみると、「現地のニーズから生まれたものは役に立ったものが多い」というある意味当たり前の気付きが得られました。ユーザーの声が重要だということです。
また、デザイナーやディレクター、自治体関係者などの、エンジニア以外の参加者が少ないという問題もありました。技術的な面は検討できても、「実際にどう使われるか」といった面の深い検討や、ユーザーにどう届けるか、見せ方をどうするかといった点の検討が浅かったということもあったかもしれません。また、プロジェクトを客観的に評価し、助言を与えたりハッカソン実施後のプロジェクトの方向性に道筋をつけるための助言を行う存在(メンター)がいれば良かったかもしれません。
もう一つ不足していたのは、データです。例えば避難所の情報など多くのデータが、なかなか公開されていませんでした。ハッカソンという短時間では、既存のデータを組み合わせて役に立つ物を作ることが多いですが、そのために使えるデータが少なく苦労しました。
ユーザーの声、メンター、データを補完する
ユーザーの声、メンター、データ、その3つを補完することができれば、ハッカソンという手法そのものは変える必要はないのではないか。それが我々が見つけた仮説です。
データについては、これまで何度かオープンデータに関するハッカソンを行なっているように、これまでも色々と取り組んで来ました。これは引き続き行なっていきます。メンターについては、より多様な参加者を募ると共に、ハッカソン参加者のプロジェクトを継続して支援するような仕組みも考えたいと思います。
最後のユーザーの声についてですが、これは課題がある場所で開催することが一番だと考えました。
課題に対して真剣に、普段から取り組んでいる人がハッカソンの中心メンバーとして参画すること、これが必要だと思います。そのために、Hack For Japan のスタッフだけがハッカソンを企画するのではなく、誰もがハッカソンを開催できるような仕組みを考えたいと思っています。

そうした活動を通じて、Hack For Japanに参加する多くの人々の結びつきを作り、オープンデータを促進させ、次なる震災が起きた際にITによる復旧、復興支援活動が少しでも多くの効果をあげられるようにしたいと考えています。

今後の予定
2年目の活動ではオープンデータ関連のハッカソンなどにも活動の幅を広げて来ました。既に書いた通り、これからは誰でも社会的課題を解決するためのハッカソンを実施することができるような仕組みを作っていきます。まずは、近々ハッカソンを実施したい人のための具体的なガイドラインなどを公開していく予定です。
従来通りハッカソンやワークショップも実施しますが、宇宙データを使ったハッカソン、International Space Apps Challenge は既に募集を開始しています。(詳しくは http://tokyo.spaceappschallenge.org/ をご覧ください。)
復興マッピング活動は次回は石巻での開催を予定しています。(詳細は別途告知します)
引き続き、Hack For Japan をご支援いただけましたら幸いです。
Hack For Japan Staff 一同