投稿者「Takuya Oikawa」のアーカイブ

Hack For Japanの軌跡 – Japan Innovation Leaders Summit 2011 8.6 satから

Japan Innovation Leaders Summit 2011 8.6 satというイベントでMIT石井裕教授 × Hack For Japanスペシャル対談の枠をいただきました。そこでの冒頭の発表「Hack For Japanの軌跡」をここで再現します(一部、スタッフの当時の想いを補足するために、オリジナルのブログやTwitterへのリンクを追加しています)。
Hack For Japanスタッフ代表として及川卓也が発表いたします。

3月11日。皆さんはどこにいましたか?

私は職場が六本木ヒルズにあるのですが、その26階で会議中でした。すぐに収まると思った地震が予想よりも長く続き、そしてさらに大きく。地震にはある程度慣れているつもりだったのですが、もしかしたらこのビルでさえ倒れるのではないかと不安が大きくなったころ、やっと揺れは収まりました。
窓から外を見ると、お台場のほうで火があがっているのが見えます。下にはビルから避難した人なのか、多くの人が歩いているのが見えます。

インターネットでいろいろな情報を集め始めると、津波、そして原発事故が発生したことがわかり、ますます不安が広がります。家族の安否確認もとれません。

やっと家族の無事が確認できた後も、「この先日本はどうなってしまうのだろう」という不安が収まりません。途中まで歩いたりして、ようやく翌日の早朝にたどり着いた家でも、よく寝れず、被災地にいる知人や今後のことなどに思いを馳せます。

しばらくして家族の事情で九州に行きました。九州でも、そしてその後訪れた関西でも募金を始めとした各種支援が行われていました。日本が、そして世界がやさしさに包まれていた、そのように感じました。

ここ九州では、余震に怯えることもありません。ガソリンスタンドでは並ばずにガソリンが購入出来ます。明日の天気を必要以上に心配することもありません。夜の暗闇に備える必要もなく、家には帰れば、当たり前のように家族がいます。

当たり前であることが当たり前のままであること。それを平和というのだと再認識しました。

でも、一方で、自分がこんな安全な場所でただ遠い被災地に思いを馳せるだけで良いのだろうか、そう思っていたのもこの頃です。

この感情を今でもうまく表現出来ないのですが、それは「罪悪感」のようでもあり、「無力感」でもありました。

「何かできないだろうか」

それがその時の漠然とした想いです。自分や家族、日本に対する不安を抱えながらも、自分などよりももっと深刻な状況にいる人たちのために何かできないか。

そんなことを考えていました。

Hack For Japanスタッフの1人、山崎富美さんは地震発生当時、米国オースティンにいました。SouthBySouth Westというイベントに参加していたのですが、安否確認のIMが届き始め、何かが日本で起きていることを知りました。東日本大震災でした。

彼女は言います。「その夜は眠れず、タイムラインにはりついて朝を迎えました。SXSWi 初日です。あれだけ楽しみにして来た SXSW なのに、全く心はここにない。でも、タイムラインを読んでいたところで自分は何の役にも立たない。津波の恐ろしい映像が次々と飛び込んでくる。被災者の方はもちろん、東京の皆さんも電車が止まって 3 時間かけて帰宅したりあるいは帰れなかったり、余震に怯えたり。そうした様子をツイートやメールやグループチャットで疑似体験しながら、一体自分はこんな安全なところで何をやっているのだろうという罪悪感に苛まされたり。何かしたいのに何もできずに見守るしかない無力感が途方もない物でした。」(SXSW Cares (For Japan) – Fumi’s Travelblog

仙台に奥さんの実家があり、自身も10数年ほど住んだことのあるスタッフの高橋憲一さんは何か被災地の支援をできないかを勤務先に提案するものの必ずしも賛同を得られず、忸怩たる思いを持っていました。(http://twitter.com/#!/ken1_taka/status/48003219569393664

なかなか想いは届きません。「頭を冷やすはずが、帰り道、幕張の液状化跡の上を歩きながらまた思いがフツフツと…向こうの地はこんなものではすまないと思うとまた…」(http://twitter.com/#!/ken1_taka/status/48032519068725248

スタッフだけでなく、その時の多くの人が考えていたこと。
それが「何かできないだろうか」という想いです。

一方、Google Person Finderのように、確実にITが人々を救っているニュースも聞こえてきました。

スタッフの岩切晃子さんはダウンした自治体のサーバーのミラーリングが有志の力で成し遂げられるのを見て、ITの力を感じました。「失ったものはたくさんあるけれど、ITの力にどれだけ救われたか、そして、人の心の美しさにどれだけ心がしみたか。私の周りでもこれだけ事例があるので、きっと、もっといろいろITで何とかしている人たちがたくさんいるんだと思います。ご尽力いただいている方々に感謝いたします。引き続き、どうぞよろしくお願いします!」(人の心が目にしみる – I have dreams - 夢は野山を駆け巡る 

スタッフの関治之さんはsinsai.infoというクライシスマッピングサイトの立ち上げを行っていました。(http://twitter.com/#!/hal_sk/status/46224276386365440

サーバーはAmazonより提供を受けました。Twitterでの呼びかけに答えてくれたものです。

「@KenTamagawa OpenStreetMap メンバーで、ハイチなどでも活躍したUshahidiを使った災害情報集約用のサイト、http://sinsai.info を立ち上げています。サーバリソースが使えると大変助かります!」(http://twitter.com/#!/hal_sk/status/46382130577682432

開発者もTwitterで呼びかけると100回以上のリツィートされ、結果、数十人ものボランティアが集まります。

「sinsai.info のサーバ技術者のリソースが足りません!Ubuntu、EC2、Ushahidi に詳しい方、info@osmf.jp にご連絡いただけましたら幸いです」(http://twitter.com/#!/hal_sk/status/46759511154888704

次第に、sinsai.infoが使っているUshahidi本体やCrisis Commons経由でタフツ大学の学生など、海外からも多くの支援のメッセージが届き始めます。

Open Street Mapのクライシスマッピングではハイチ人が地図作成を行ってくれました。「日本人は、ハイチの時に地図を書いてくれた。今度は我々が助ける番だ。」(http://hot.openstreetmap.org/weblog/2011/03/haiti-osm-mapping-for-japan-and-libya/

このようにネットで広がるITによる支援を見て、「何かできないだろうか」という想いは「何かできるはずだ」という想いに変わっていきます。

このように想いが変化しつつある頃、所属企業、団体、組織の垣根を越える動きが芽生えます。それがHack For Japanです。

そのころ、私の勤務先では自社での支援だけでなく、外部の開発者にも被災地支援のアプリを開発してもらうことで支援を促進しようという話が出てきました。

私はすぐに思います。これは組織/団体を超えて集まるべきだと。

一気に短期間でモノを創り上げてしまう開発者合宿として定着しつつあるハッカソンを今こそ開催すべきであると。

すぐに知り合いの開発者などに声をかけはじめます。

Yahoo! JAPANさんには多くの知り合いがおり、開発者支援をやっている方ともお会いしているはずだったのですが、コンタクト情報が見つかりません。ゆっくりと探すよりも、聞いてしまったほうが早いとTwitterで呼びかけます。(http://twitter.com/takoratta/status/47643920460554241

これがYahoo! JAPANで開発者マーケティングをしていた、後にスタッフとなる冨樫俊和さんのところにリツィートされます。「あ、これ、俺だ」と、考えるより先に役員に1本のメールを送ります。何の団体かもどういうイベントかもわからない。どうしても慎重になる会社側に彼は言います。

「今やらないでいつやるんですか?」

地震の翌週、週末の三連休(3/19、20、21)が控えていました。やるなら今しかない。集まってきた賛同者に声をかけます。今週末に決行しようと思います。

最終的に決断したのは、米国オースティンから日本に戻ったばかりの山崎富美さんと電話で話した木曜日の夜。その時、彼女はまだ成田空港、私は福岡。数々のイベントを成し遂げてきた彼女がやれるというならばやれると思っていました。彼女が機中にいた間にスタッフで話し合ったこと、私の想い、すべて彼女に伝えました。

「やれますか?」

「やりましょう!」

あるスタッフの勤務する賛同企業では、アナウンス文などに社の名前を入れるのにも、本来ならば関係部署の承認が必要です。しかし、非常事態故に決まったフローもありません。

「あとで、僕が怒られておきます」

そう言って、アナウンスへ賛同企業として掲載することを許可してくれました。

後日、何の団体なのか、どういう主旨なのかなどの説明を求められたらしいのですが、こういう集まり自体がイレギュラー。対応できるレギュレーションがないのです。すべてを支えたのは、「何かできるはずだ」という想い。

原発事故、計画停電と東日本の状況の不透明さが増すため、当初はオンラインのみで開催予定だったハッカソンですが、西日本ならば会場に集まってできるはずと急遽、京都会場を用意しました。その後、福岡と岡山、徳島が加わって、4会場に。

多くの人に加わって欲しいとの想いから、いくつかのネットのサービスを用いて、オンラインで議論は進めました。すごい勢いでアイデアが書きこまれ、もはや整理も不可能になってきたころ、ちょうど海外に出張していた同僚が夜中のうちに議論を整理してくれました。また、このスライドのように議論を可視化してくれるサポーターも現れます。

3連休直前に声をかけたためか、京都会場への参加表明があまり良くありませんでした。急遽、私やほかスタッフのTechTalkを入れるなど、出来るだけ来てもらう工夫をします。スタッフにメールで呼びかけた文章が残っています。

「ブログ、Twitter、電話、街宣車、立て看板などなんでもかまいません。急ぎ周知および積極的な勧誘をお願いします。 」

その甲斐あって、結果としては会場が窮屈になるほどの多くの方に参加していただけました。

4会場で100人近い参加者を集め、多くのプロジェクトが発足しました。

ハッカソン終了後、スタッフへのメールでこう書いています。

「これで終わったわけではなく、むしろ始まりだと思っております」
震災復興には数年から10数年、さらにはもっと必要なことがわかり始めていました。一度のイベントで何かを成し遂げようとするのではなく、これをキックオフイベントのように位置づけ、継続して支援を行っていく。それがHack For Japanの活動目的となっていました。
今から見ると、この第1回ハッカソンは本当に始まりに過ぎませんでした。

ハッカソンは成功に終わったのですが、1つやらなければいけないことがありました。
それは被災地を訪問すること。

まだ混乱が続く中、被災地を訪れることは非難されることも覚悟していました。ですが、現地を訪れてみないとわからないこともあります。

「まだ早いと言われる可能性があることは覚悟しているが、とにかく現地に赴き、実際を肌で感じてみたい」(Hack For Japan~仙台、石巻を訪ねて – EnterpriseZine

訪問先からは「まだITの出番じゃない」と言われたこともあります。声を荒らげ、何しに来たんだと言わんばかりの剣幕だったところもあります。すべては覚悟の上です。

しかし話を聞いてみると、ITで解決できそうなところはいくつか見つかります。時期が来れば、ITが活躍できるはずだとの想いも強くなり、次のハッカソン開催への気持ちも強くなります。

第2回、第3回のハッカソンは被災地との連携が大きなテーマでした。第2回には、会津若松、仙台が加わり、第3回には遠野がさらに加わりました。

アイデアソンはIT技術者以外にも集まってもらい、震災復興のためのさまざまなアイデアを話し合います。被災地の状況を知るために、被災地の現状をストリーミングで東京などの会場に配信します。

スケッチブック、付箋紙、マジックペン、フリップチャートなどがアイデアソン用具です。非常にアナログな方法で議論は進められます。

ハッカソンではアイデアソンで話し合われたアイデアを実現するための開発が行われます。被災地ごとにニーズが異なるため、会場によって特色のあるものが開発されていきます。

右下にあるのは、会津若松会場で開発されているガイガーカウンターです。

アイデアソンとハッカソンは東日本を中心に行われていますが、毎回、会場を自分たちで調達してまでして参加してくれる西日本の有志がいます。遠く離れた西日本からでも何かをしようという多くの人が参加してくれています。

Hack For Japanというコミュニティ名にしているため、自分はハッカーじゃないから参加できないという声を聞きます。自分は開発者ではないので遠慮しているという人も聞きます。

今必要とされているのは支援しようとする意思です。開発者以外の人もアイデアソンでの議論、さらにはハッカソンでも利用者としての立場での意見提供、情報の収集などいくらでも手伝っていただくことがあります。

スタッフの山崎富美さんは言います。

「エンジニア・開発者以外の方も皆さんお力を貸して頂きたいと考えています。というのも、5月のハッカソンでは「コードが書ける人はいっぱいいるけど、もっと使ってもらうよいデザインにするためにも、デザイナーの人にもっと来てほしい」という声が参加者からあがっていました。また、新しいサービスが作れなくても、既存の様々な便利な IT サービスが充実してきている今、それらをご存知ない方にお知らせしたり、既存のサービスを使って問題を解決したりということができるという場面がとても増えてきています。」(Hack For Japan: 遠野に行きませんか? – Fumi’s Travelblog

「コードでつなぐ。想いと想い」

これがHack For Japanのキャッチコピーです。

40案ぐらいの中から選ばれたコピーです。“開発者の「何かしたい想い」と被災者の「切実な想い」をつなぐ場を訴求する”ということから考えたものですが、実際にHack for Japanで活動してみると、それだけではありませんでした。

Hack for Japanでは、開発者と被災地の方の想いはもちろんですが、開発者同士や開発者とデザイナーの想い、被災地の方同士の想い、被災地から遠い西日本の方の想い、ITとは無関係でも何かしたいと願っている人の想いなど、さまざまな状況にいる方の想いをコードでつないでいます。

ここにHack for Japanの姿があると感じており、このコピーは原案者であるスタッフの佐伯幸治さんの想像を超えてHack for Japanのありのままを表現しているものになっています。

記憶は風化していきます。ですから想うことはこれからますます大切になります。その想いをつなぎ続けることがHack for Japanなのだと実感しています。

ありがとうございました。

プロジェクト紹介

「Hack For Japanの軌跡」のプレゼンテーションの後、Hack For Japanで活動中のプロジェクトとして以下の3つを紹介しました。

MIT石井裕教授からのメッセージ

Japan Innovation Leaders Summit 2011 8.6 satではMIT石井裕教授が基調講演を行われ、我々のセッションにもパネルとして登壇いただきました。

イベントの懇親会の席で石井教授から非常に心動かされるメッセージをHack For Japanにいただけました。石井教授からメールでその要旨を送っていただけましたので、ここに掲載します。

本日(8月6日)、リクルート社Tech総研のイベントにお招きいただき、311震災から学んだことを皆様と共有させていただく機会を賜り、御礼申しあげます。5月21日の TEDxTokyo での私の311講演「The Last Farewell」をきっかけに、Hack for Japan の皆様と知り合うことができ、さらに今回のイベントを「ハック」して、 H4Jの特別セッションをその真ん中に作り、震災に応えて立ち上がった技術者たちの熱い想いを皆様と共有できたこと、そしてその場に私が居合わせる事ができたこと、とても幸せに思います。

何故プログラムを書くのか、何故電気回路を作るのか、何のためにモノを作るのか、誰のために作るのか、何のために生きているのか、何故僕らはこの社会に存在しているのか、その答えを、風@福島原発、オープンガイガー、そして写真修復の3つのH4J プロジェクトの技術者たちが、今日鮮やかに「人間」の言葉で語ってくれました。そして彼らが活動するオープンな知的協創の場、Hack for Japan を創り育てた及川さんが、その想いを熱く語ってくれました。「何かできるはずだ」、「今やらなくていつやるんだ」、「やりましょう!」彼が紹介してくれたH4Jメンバーの言葉に込められた想い。そして、「アンインストールされ、誰もそのアプリを必要としない日がくることを祈る」という「風@福島原発」の開発者の想いの深さ。

人はお金や名声だけのために生きているのではありません。私たち技術者は、技術者だからこそできることを通じて、社会に貢献し、自分の生きていることの証を,自己の存在証明を求める旅をしているのだと思います。志と情熱さえあれば、H4Jのようなオープンなコラボレーションを通して、その志に共鳴する仲間を集め、個人では不可能だったとてつもない貢献をものすごいスピードでなし得る今日、こうして皆様にお目にかかり、感動を共有できたことに、心から感謝申しあげます。

石井 裕

会津工業高校のハッカーへ
会場に来れなかった会津工業高校のハッカーへメッセージを送る石井教授

終わりに

今回のイベントで発表したスタッフの想いは本当にごく一部です。このブログを読まれている皆さんも同じような想いだったことを思い出されたことと思います。この想いを忘れずに、また、石井裕教授の言葉を糧として、これからも活動を続けたいと思います。

Hack For Japanに賛同し、進めていただいているプロジェクトはここで紹介した3つ以外にも多くあります。刻々と変わる被災地の状況にあわせて新しいプロジェクトも必要になってきます。遅すぎることはありません。継続した復興支援のために、いつからでもどんな形でも是非ともHack For Japanへの応援と積極的な参加、お願いいたします。

Hack For Japanスタッフ 及川卓也

P.S. このプレゼンテーションの舞台裏を書いたブログもあわせてお読みください。
Hack For Japanの軌跡 – Japan Innovation Leaders Summit 2011 – Nothing ventured, nothing gained

第2回アイデアソン/ハッカソンのアンケート結果

第2回アイデアソン/ハッカソン参加者のアンケート結果を公開します。

最初に参加された日を質問しました。5/21(土)のアイデアソンのほうが多かったようです。開発者以外の方にも参加いただけた結果ではないかと思います。

参加日

参加会場は東京がもっとも多く、その次に仙台、そして福岡、会津若松、高松の順になっています。

参加会場

参加のきっかけはサイトやメーリングリストから知ったという人がもっとも多く、僅差でTwitter経由という結果になっています。知人・友人から誘われてという人も同じくらいの方いらっしゃいました。複数回答ありなので、Twitterで友人から誘われてという人などもいらっしゃったのかもしれません。

参加のきっかけ

Hack For Japanのメーリングリストに入っていらっしゃいますかという質問からは、まだ入っていらっしゃらなかった方も多くいらっしゃることがわかりました。

メーリングリストへの参加

メーリングリストへの参加はこちらから → http://groups.google.com/group/hack4japan/subscribe

Hack For Japanに賛同したプロジェクトに参加していますか?  という質問への回答はちょうど半々でした。今回のハッカソンから参加という人もいたようです。また、初日のアイデアソンだけに参加した人はプロジェクトへ参加していないという人が多かったようです。開発者ではない人にもアイデアソン以降もプロジェクトに参加してもらえるようにするのが課題です。

Hack For Japanプロジェクトへの参加

アイデアソン/ハッカソンに参加して良かったですか? という質問には100%の方から良かったと言っていただけました。かなり恣意的な質問だったかもしれません 😉

アイデアソン/ハッカソン参加しての感想

自由記述でいただいたコメントは総じて参加して楽しかったと言っていただけていましたが、運営サイドの準備不足や不手際を指摘される方もいらっしゃいました。多くの方に貴重な週末をつぶしてまで参加いただいていますので、今回の反省を活かし次回以降は出来るだけスムーズな運営が出来るようにしたいと思います。

また、時間が足りないという声もいただきました。Hack For Japanのハッカソンに限らず、常にハッカソンというのは時間が足りなくなるものなのですが、今回はアイデアソンで各地からの報告を多く入れたために時間が足りなくなった面もあったかと思います。次回は報告やTechTalkは別日程での開催(* 必ずしもアイデアソン/ハッカソンと連携する必要もないと思います)とし、アイデアソン/ハッカソンでは議論や開発にもっと時間を割り当てられるようにする予定です。

この他にも多くのコメントをいただきましたが、スタッフですべて目を通し、議論しました。次回以降の企画/運営に反映します。

次回は同じく東京、仙台、会津若松にて7/23(土):アイデアソン、7/30(土):ハッカソンの予定です。詳しくは決まり次第、お知らせします。お楽しみに。

Hack For Japan スタッフ 及川卓也

第2回ハッカソンの追加情報

今週末の 5/21 – 5/22 に開催されるハッカソンですが、いくつか追加情報がありますので、お知らせします。

世界6都市同時開催となりました!

すでにお知らせしている仙台、会津若松、東京に加えて、高松と福岡、そしてイギリスはロンドンの6都市での開催となりました。

各会場をネットで繋ぎ一体感を持たせ、会場を超えたプロジェクトを進めることも可能にしようと考えています。

5/21 アイデアソンのスケジュールを公開しました!

5/21 はアイデアソンという参加者の持っている情報や想いを共有し、プロジェクトのアイデアに結びつけようという場になります。今回、実際の被災地を会場としていることもあり、仙台、会津若松、東京からの生の声を他会場に配信することとしました。

東京会場からは、助け合いジャパン藤代裕之さんボランティア情報ステーションのAPIについて解説いただきます。(* 参照:Yahoo! Japan ディベロッパーネットワーク 災害ボランティア検索API

会津若松会場からは、会津若松市災害対策本部の目黒純さんより「会津若松市の状況」と株式会社明天の貝沼航さんより「避難者を地域で長く支える元気玉プロジェクト(会津つなプロ)の活動紹介とそこから見えた避難者の課題」をお話いただきます。会津若松市は福島県大熊町が役場機能ごと集団避難してきています。会津若松市自身は震災からはすっかり復興していますが、大熊町から避難されている方を含め、福島原発事故による災害は現在も続行中です。そのような状況を目黒さんから伺う予定です。また、Hack For Japan スタッフの高橋さんのレポートにあるように、元気玉プロジェクトは自立に向けた長期支援として「避難者の役割作り」をテーマに活動をしています。

仙台会場からは、トライポッドワークス株式会社の佐々木賢一さんに宮城県を中心とした沿岸部の被災状況とITが果たす役割についてお話いただきます。佐々木さんは震災直後より仙台の地より震災直後から積極的に情報発信をされており、先ごろ「仙台から日本を元気に!」という活動と「ITで日本を元気に!」という活動を立ち上げられました。佐々木さんの 東日本大震災現地レポートと「ITで日本を元気に!」の活動紹介のプレゼンテーションは一見の価値ありです。(* 参照:佐々木さんのブログ 仙台のITベンチャー日記

なお、仙台会場では同日に開催されるオープンソースカンファレンス2011仙台(OSC仙台)とも連携しております。OSC仙台会場内の東北デベロッパーズコミュニティブースをサテライト会場とし、同時にアイデアソンを行えるようにします。

本来のアイデアソンはアイデアを冒頭から議論し、チーム分けをしたら、開発するものについて早速議論をしていくという形になりますが、今回はその形式にこだわり過ぎることなく、この被災地を含む複数都市が震災復興について議論するという貴重な機会を活かすべく、柔軟に議論を進めようと考えております。したがって、開発者やデザイナーなど、ITに関わる人以外も是非ご参加ください。技術的に詳しく無いからという心配はまったく不要です。

すでに紹介した3つのプレゼンテーション以外にも、各会場ごとのプレゼンテーションやデモンストレーションなどが企画されています。

5/21(土)アイデアソンのスケジュール

そもそもアイデアソンってなんぞ?

アイデアソンとハッカソンの開催をお知らせしてから、そもそもアイデアソンってなんぞ? という声も聞こえてきています。

アイデアソンは「アイデア」と「マラソン」を結びつけて出来た造語で、開発の前にアイデアを参加者で議論するグループディスカッションのことを言います。

コンピューターソフトウェアの開発のアイデアだから、さぞかしデジタルな感じで議論が進むのかと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。もちろん、自分の手に馴染んだPCやデバイスを持ち込んで、議論の過程で出てきたもののプロトタイプなどを組み上げてしまう人もいますが、グループでのディスカッションなので、アナログなツールも良く使われます。大きめのスケッチブックかフリップチャート、付箋紙やホワイトボードなど。スケッチブックやフリップチャートは最後にアイデアをほかグループにプレゼンテーションする際にも用いられます。

今回も各会場に、このようなアナログなツールを用意する予定です。

以下のブログ記事などがアイデアソンの進め方を知る上で参考になるでしょう。

アイデアソンとハッカソンの片方にしか参加出来ないんだけど…

「大丈夫だ、問題ない」

アイデアソンでの議論を元に開発を進めていくことが理想ですが、今回はそれにこだわりません。極端な話、アイデアソンで震災復興についての一般的な議論をしに来ていただくだけでも構いません。何故ならば、通常のアイデアソン/ハッカソンではハッカソン終了時点で参加者にデモが出来ることがゴールとなりますが、今回はむしろそれがスタートであり、継続した復興支援をするための1つのきっかけになれば良いと考えているからです。

初日のアイデアソンで出た議論の結果を2日目のハッカソンの開始時に再度見直しますし、チーム分けも行います。初日に参加出来なかった人でアイデアの検討から行いたいという人は2日目のハッカソンの前半でそれを行っていただいても構いません。

繰り返しになりますが、形式にこだわり過ぎることなく、参加者の方々に震災復興に向けての有意義な時間を持っていただくことのためには柔軟に対応したいと考えております。

書籍プレゼントもあります!

Hack For Japan の活動に賛同いただいている日経BP社より「クラウド活用のためのAndroid業務アプリ開発入門」を5冊いただいております。

今回、これを 5/22 (日)の参加者に抽選で差し上げます。東京会場1冊、会津若松会場2冊、仙台会場2冊です。

これをきっかけに Android アプリケーションの開発を始めてみるのも良いかもしれません。会場には Android アプリケーションだけでなく、主要な技術についての相談が出来るチューターも揃えています(会場が分散しているためオンラインでの対応になるケースもあります)。

* 更新: 翔泳社より「10日でおぼえる Androidアプリ開発入門教室 Android SDK2.3対応」を1冊提供いただきました。会津若松会場にて5/22(日)に抽選会を行います。

* 更新2:技術評論社より「Software Design 2011年6月号」を9冊提供いただきました。各会場3冊ずつ、5/22(日)に抽選で贈呈します。第1特集が「冗長化・熱対策・自宅勤務 エンジニアがいますべきこと」という今にぴったりの内容です。

週末まであと数日となりました、是非奮ってご参加ください。

Hack For Japan サイトのイベントページへ

Hack For Japan スタッフ 及川卓也(今回は会津若松から参加)

第2回ハッカソンのお知らせ

5/21 および 5/22 に復興支援向けのサービスやアプリケーションを開発するためのアイデアソンおよびハッカソンを開催することになりましたので、お知らせします。

3/19-21 に行った第1回目では当時東日本の状況が不透明であったため、東京では開催せずにオンラインで行い、西日本の4会場で物理的に集まってのハッカソンを行いましたが、今回は東日本の東京、福島(会津若松)および宮城(仙台)で行います。もちろん参加は無料です。

まだ、詳細は各地で協力いただく方々と検討しているところもありますが、開催まで1ヶ月を切っていることもあり、まず開催の宣言だけさせていただこうと思います。

基本的には、5/21(土)にアイデアソン、そしてそこで出てきたアイデアを元に 5/22(日)に開発を行うというように考えています。

現在すでに決まっているのは以下になります。

参加対象者
【アイデアソン】
エンジニアもエンジニアではない方も参加できます。「何があれば人々の助けになるか」「何が必要か/欲しいか」などの要望や、すでに開発をした人からの「もうこんなものを作ったよ」という開発報告なども期待しています。開発者に限らず、復興を支援したいとお考えの方のご参加をお待ちしています。会場によっては、翌日のハッカソンのチーム分けまで行うことになるかもしれません。

【ハッカソン】
エンジニア、デザイナーなど開発を行う方。アイデアソンで出し合ったコンセプトを元に、短期間でサービスとしての一定水準に仕上げていきます。

会場別の案内
【仙台会場】
場所:

時間と内容:

  • 5/21(土)未定 : アイデアソン または 意見交換会
  • 5/22(日)10:00-18:00 ハッカソン(予定)

参加申し込み:後日開始

【会津若松会場】
場所:両日とも 会津大学産学イノベーションセンター

時間と内容:
5/21(土)10:00-18:00 アイデアソン
5/22(日)10:00-18:00 ハッカソン

参加申し込み:後日開始

【東京会場】
場所:両日とも 株式会社リクルート メディアテクノロジーラボ

時間と内容:
5/21(土)10:00-18:00 アイデアソン
5/22(日)10:00-18:00 ハッカソン

参加申し込み:後日開始

皆様、奮ってご参加ください。詳細は決まり次第お知らせします。

第1回 スタッフミーティング議事録

Hack For Japan 第1回スタッフミーティング:4/3 13:00~ @楽天2号館

出席者: 川崎、高橋、及川、関、鎌田、山崎、松尾、岩切、平野、原水、白石、北村(順不同)

ゴールおよびスコープ

どのくらいの期間を想定すべきか? ゴールやスコープは?

  • 結論
    • 期間: 長期の活動をゴールとするが、まずは1年。間に適宜見直しを行う。
    • 活動内容: 復興支援のための開発者コミュニティ
    • 開発者向けのコミュニティ/コミュニケーションインフラ
  • 議論内容
    • 3年くらいやりたい。(岩切)
    • これから1ヶ月後くらいから本格的にIT使われる機会が増える。(平野)
    • sinsai.infoでも同じ議論がある。短期的な議論と長期的な議論が必要。ボランティアの技術者が30~40名、モデレーター100名 。いつまでもは難しいが、すぐに止めるわけにはいかない。リソースをいつまで使っていきたいかというところ次第。(関)
    • 阪神大震災を体験した立場から言うと、1年くらいをマイルストーンとすると良い。来年の3月までをターゲットとするのはどうか? 求められるものがタイミングによって違ってくる。全然違う人達のスキルが要求されるようになる。半年後くらいにもう一度見直すと良い。復興状況に合わせて、現場の人達が動けるようなものを考えないといけない。(原水)
    • 同意する。ノウハウやプラットフォームは生き続ける形が良い。(関)
    • 1年は続けるというのをゴールにするのは良い。今でも出来ることはあるが、1ヶ月後、3ヶ月後、半年後などで適宜見直す。(及川)
    • 1年くらいは賛同企業の立場からは会社にも説明しやすいのではないか。ただし、ある程度の結果を求めるのならば、3年くらいは必要か。3年くらいを目処に1年目に見直しを入れるという形が良い。(鎌田)
    • 別の復興支援の議論では中長期をゴールにしたいと考えていた。現地のニーズをどうやって吸い上げるか。中長期をターゲットにするときには、間にNPOを立ち上げるくらいのことを考えても良いと考えていた。(白石)
    • iSPPという団体がある。(関)
    • いろいろな団体の活動が重複するのは良くない。皆がやっていくのを支えていく、補完出来るような役割で良いのではないか。(山崎)
    • Hack For Japanは被災者支援を行う開発者コミュニティのプラットフォームとして位置づけるように提案したい。提案資料。(山崎/及川)
    • 関わる人は将来的に入れ替わっても良い。(松尾)
    • 現地の人のビジネスに将来的には結びつくようになったら良い。(山崎)
    • 現地の企業が復興するためのITのスキルを提供出来ると良い。(松尾)
    • 東北でIT/CSスキルをあげるような活動をしても良いのでは? 1年より先の話だとは思うが。たとえば、開発者向けの勉強会などは今まで東北ではあまり開催されていなかった(GoogleやGTUGとしては)。これを機会にそのような活動を始めても良い。(原水/山崎/及川)
    • 東北と言っても、どこをイメージしているかで違う。復興の状況が違う。(平野)
    • 東北の出身者として話すと、ある程度、中心的になりうる都市をまずはターゲットにして良いと思う。まずは仙台など。(岩切)
    • コミュニケーションプラットフォームとしては現地の声をしっかり反映できるものにしたい。(関)
    • 現地のNPOをまとめる団体ができたようだが、こことのコンタクトを考えても良いと思う。(原水)
    • 現地に行った人や現地にいる人からの情報をシェア出来る場所が必要。今後、現地に行く人も増えるが、先方に何度も対応をお願いするなどは避けたほうが良い。また、手分けして違う地域に行くなどを工夫しても良い。Hack For Japanの活動とは離れるが、これについては別途考えたい。現地の情報などはmixiなどにも集まっているようだ。(山崎/及川/関/原水/岩切)
    • 災害支援はフェーズを2つに分けたほうが良い。災害支援と復興支援。(白石)
    • ゴールを位置づけると、開発者向けのコミュニティ/コミュニケーションインフラとして良いのでは?(及川)
    • わかりやすさを考えると、「ハッカソン」という言葉を使ったほうが良いのではないか?(白石)
    • 「ハッカソン」だと短期間というイメージもある。(山崎ほか)
    • 「開発者コミュニティ」と言ってしまうのはどうだろう?(及川)
    • 復興支援のための開発者コミュニティ で良い。(全員)
    • ITPro、すなわち開発者ではないがITを使っての復興支援を行う活動も対象にするか? (岩切)
    • 地方自治体のサイトのリニューアルなどの支援はあるが、これはボランティアベースでは難しいのでは?(松尾/及川)
    • ニーズが出てきたら検討することで良いだろう。(全員)
    • 将来のために、アーキテクチャを再利用可能にしておく。(原水)
    • ライセンスは考えておく必要がある。(関/及川)
      • アイデア – CC
      • プロジェクト – OpenかCloseか。Open Sourceならば、どのライセンスか。

賛同者および運営者

賛同企業/団体および賛同者の定義と役割

  • 提案(及川)
  • 結論: 賛同者は企業、団体、個人の区別なく、活動に賛同いただける人全員とし、サイトにも記載する。利用する技術については、復興支援のための特別な対応をしているものか復興支援用に用意されたものだけを記載する。

運営者(いわゆる「中の人」)

  • 結論
    • スタッフと呼ぶ。
    • 活動方針の議論に積極的に関わる人および運営を実際行う人(サイトの更新やコミュニティのコミュニケーションの活性化や健全化のサポート、ツールの開発など)。
  • MLを再構成
    • スタッフ用と賛同者全員用。
    • スタッフ用に関しては、今回のミーティングに参加した人および現在の賛同企業/団体のMLに入っている人で希望する人。

運営について

メディア対応

  • 結論
    • メディアからコンタクトしてきた人が対応する。対応出来ない場合はスタッフのMLで相談する。
    • 広報担当として山崎が候補。別途検討する。
    • 賛同メディア用のMLを作る。プレスリリースの送り先とする。各自知り合いのメディアにあたる。
      • サイトリニューアル前にコンタクト先は確保しておく。
      • メールで案内する際のテンプレートは岩切が用意。

アイデア投稿のガイドライン

  • 一般の誰もが使えるアプリケーションを対象とする。行政などが使うことのみに特化したアプリケーションは対象外。
    被災地向けのアイデアは別Moderatorとする。
    • 被災地からの声は別とする → 人手で行う
  • 月ごとに新たにスタート
    • 月末に上にランク(トップ10?)しているものでまだプロジェクトがスタートしていないものは新しいModeratorに引き継ぐ。
  • mixiアプリとしてModeratorに投稿出来るものがあると良い。
  • 原水および松尾がリードする。

開発者へのインセンティブ

  • すぐに必要な状況ではない。
  • MashUp Award – 5月くらいから企画スタート + 8~12月。別途検討。

対外コミュニケーション

  • メディア向けは上で議論した通り。
  • 開発者向けにはサイトリニューアルに合わせて、各開発者コミュニティにリーチする。
  • テンプレートはサイトリニューアルに書くことになる目的などをそのまま使えるだろう。
  • Hack For Japanの活動に賛同/参加してくれている人とのコミュニケーション
    • ブログ
    • プロジェクト参加者がプロジェクトの紹介
    • 賛同各社/各団体が使える技術についての紹介
  • ML+掲示板としてGoogle Groups。(すでに作成済み。要アナウンス)
  • mixiコミュニティは一般への認知を高めるために用意する。

今後の予定

次回ミーティング

  • 5/15 @リクルート MTL
  • Skypeでリモートから参加可能
  • ustream
  • 議事録は公開(今回のものも)

次回ハッカソン

  • 5/Eごろ
  • リクルートホストで検討。

Hack For Japanブログの開始

Hack For Japanスタッフの及川です。

Hack For Japanの活動をお伝えするために、ブログをスタートしました。

Hack For Japanの活動に賛同するプロジェクトの紹介や賛同企業/団体から提供される新しいサービスやAPIなどの紹介、そしてHack For Japanからのアナウンスなどにこのブログを使っていきます。

まずは、ほかのブログなどで書かれている3/19-21に行ったアイデアソンおよびハッカソンのアナウンスと結果報告をまとめておきます。

アナウンス

 

結果
Hack For Japanスタッフ 及川