月別アーカイブ: 2011年8月
Hack For Japan 第5回スタッフミーティング
【会場】
- 日時: 8月4日(木)19:00~
- 場所: Google 六本木オフィス
- ust: http://www.ustream.com/channel/takoratta
- • 出席者:吉岡、及川、高橋、岩切、松田(遠野スタッフ)、山崎、石野、笹島、佐伯、鎌田、関、冨樫、白石、川崎
- オブザーバー:ニッポン放送 鳥谷、清原
【アジェンダ】
7/23 アイデアソン・7/30 ハッカソン振り返り
- フォローアップ(以下、送ったメールから)
- サイト上でのイベント情報の更新(イベント終了の通知)→ とりあえずの処置は及川のほうでやっておきました。抜けやミスがある可能性があるので、石野さん、確認お願いします。本格的な情報の追加はおいおい > 石野さん、お願いします
- 発表資料などが届けば掲載します。[TODO]
- アンケートの集計 → 及川のほうで8/3までに行い、次回スタッフミーティング前までにシェアしておきます。
- 発表資料の整理 → 東京会場は及川のほうで取りまとめをしています。遠野もすべてまとまっており、ブログ掲載済です。他会場は?
- 仙台、会津のとりまとめを佐々木さん、小泉さんにお願いする。[TODO]
- 写真 → すでに集まってきているから大丈夫かな?
- ustのアーカイブ → 東京会場は石野さんにお願いできているのかな。他会場は?
- ブログ → どなたか!
- 東京会場のブログ(高橋さん;基本レポート、佐伯さん;補完+デザイナー目線)[TODO]
- 会津若松会場のブログ(佐々木さん?要確認)[TODO]
- 会場係から感想など(よしおか)
- 片付けをしない人が多かった。勉強会の作法としては、後片付けまで参加者に啓蒙していく必要がある。
- [仙台会場所感]
・アイディアソンは石井力重さんの進行が素晴らしかった
→アンケートにも出ていますね。頼んで本当に良かったです!
・ボランティア等技術者以外からの参加がにごく少数だった
→前回はかなりいたんですが。ボランティア団体に宣伝する前にアイディアソンは満員になってしまったので。アイディアソンはハッカソンより大きい箱を用意した方が良いかも知れません。・ハッカソンはチューターが大活躍
→今回学生の参加が多かったこともあり、プログラム初心者が多くアイディアをそもそもどう実現すればよいかわからないというチームも出ていました。チューターがそのあたりをうまく拾ってサポートしてくれていました。そのため、チューターがRuby、iPhone、TwitterAPIに偏ったのが悔やまれます。・プロジェクトの継続を促すためのFacebookグループが結構活発
→仙台の前回開催で生まれたPJは2つは東京中心へ移行、1つは企業が行う、残りは立ち消えとなっています。この反省からFacebookグループを作ってハッカソン当日から使うようにしてみました。うまく当たったのか結構活発に投稿されています。 - Hack for Japanのfacebookグループを作成。及川さん[TODO]
- アンケート結果のレビュー https://docs.google.com/a/google.com/spreadsheet/ccc?key=0AvnK59H5VA5RdHltQjBEMVdWTWU1WjBJOFdmUWppdmc#gid=0
- 意見あり、苦言あり
- 現地のものを首都圏で展開したい
- もっと幅広い人材に参加いただいたほうがよいのではないか?
- 被災地の現状を把握できていない参加者が多い
- Hack for Japan、必要なものの説明が足りなかった
- 会場間のコミュニケーションをもっと積極的に利用してもらう仕組みを用意できないか?
- 東京に拠点を用意するボランティア団体に参加してもらい現地の意見を聞けるのではないか?[検討事項]
- プロジェクト間の横のつながりや複数のプロジェクトに横断しての参加を促してはどうだろうか?
- ひとりの参加者の方はスタッフがフォローしよう
- SI、運用よりの参加者がいると助かる
- MLで聞いてみる[TODO]
- アイデアソン、ハッカソン以外の「~ソン」があってもいいのではないでしょうか?
- 各会場間の連携をスムーズにしたい。
- 東北の会場は東京向けにお話してくれているのではないか?
- 東北の会場で必要なものの要件を詰めて、アイデアができてから東京の参加者に開発を依頼するオフショア的なスタイルを検討[TODO]
- 自己満足になっていないか?
- 生の声をもっととれるようにする必要があるのではないか?
- 東京会場の参加者を被災地に視察に行ってもらえる仕組みを準備できれば。
- 宮城でも仙台以外の場所でも開催を検討する[TODO]
- 新しくなったプロジェクト一覧ページに合わせて、プロジェクト運営方法にも多少の修正が加わりそう。意識合わせをしておきたい(白石)
- ハッカソンにてアップデート
- 一覧サイトの運営をどうするか?
- データ元のテンプレートに適宜変更を加えていく必要がある
- 問い合わせ先の用意
- 月一回の更新リマインダーを投げる仕様を検討中
- 終了ステータスのプロジェクトにはリマインダーを投げないような仕様にしたい
- メアドの掲載を避けたい人もいるので、Twitterアカウントではどうか?
- Hack for JapanのアカウントでフォローしてH4Jアカウントから連絡をとる
- 連絡先の掲載などを避けたい参加者がいた場合は個別対応でとりあえず現状対応していく
- メンバー募集中ステータスの用意
- 状態の管理に関しては、終了のものをアーカイブに寄せてショーケースからは非掲載にしていく
- アクティブなものをショーケースで掲載していく。非アクティブなものは掲載しないのシンプルな形にする。
- 非アクティブでアーカイブに寄せたあとに参加者から復活してくださいの意見が寄せられれば、アクティブに直す。
- 人材募集は欲しい職能もわかるようにすると良い。
- 一般の人が見ていないというスタンスで開発者に向けたサイトとして特化したほうが、サービスの誕生を促しやすいのでその方向に方針変換しました。
- Google Moderatorでのアイデア投稿の今後
- 遠野まごころネットの現状報告、フィードバック(いわきりさん)
- リニューアルに関して神奈川の参加者もジョインして実施中
- 仮設住宅にネットカフェを設置活動の実施中
- カフェに設置する機器は準備中(無線、PCを準備中)
- 要望などを受けてアップデートしていく予定
- 関さんのブログ
- 雇用が生まれるモデルケースを共有するなどを考えよう
- Tシャツプロジェクト
- まだコードTシャツが欲しい参加者が居る
- 初回受注生産限定で作ったもの。(石野)
- 復刻版として1年後に販売するとか
- 他デザインに関しても岩切さんの業者の仕組みを見て判断する。
- Tシャツの販売では注文・入金の確認、メールなどの運用面の負荷がある
- 被災地で請け負える業者の方を現在確認中、検討結果をPJに連絡します [TODO](岩切)
- レベニューシェアで2割程度を義援金として運用するなどの案を検討しています
- 次回の開催はどのようにやりますか?
- ハッカソン以外にできることについて、時間があればブレインストーミングしてみたいです(関)
- (ゆるいですが)『継続性』をしっかり考えていきたい(川崎)
- (継続性1)プロジェクトが発生する状況を持続させるために
- 複数拠点同時開催である必要はあるか?
- キャラバン的に全国回っても良いかも。
- 参加動機には「○○のエバンジェリストに会いたい」というところもある。
- 無理に同時開催はしないで、各会場で実施時期をずらしていく
- 有名な人の参加は東北の会場では喜ばれる
- 沿岸部の人はイベントの実施自体でも喜ばれ、活発な展開になる
- 内陸部の人はIT情報の入手などの目的も含まれるので、エヴァンジェリストの参加などが喜ばれ、参加を促す形になる
- 同時開催をしない形でエヴァンジェリストを集結させて開催など
- 小泉さんに企画を検討してもらう[TODO]
- Hack For Japan Tech Talkといった感じのイベントは出来ないか?
上記の「エバンジェリストに会いたい」に通じますね。また、ハッカソンで○○のAPIが使えるとなっていても、たとえチューターがいてもすぐにその場で使えるとはならないものです。そこでHack For Japanで利用できるAPIの解説やハンズオンがあるイベントなどいかがでしょう?
- (継続性2)始まったプロジェクトが続くために
- Power Apps Japan、MA7 などのコンテストで、モチベーションアップ?
- 収入?(遠野モデルの共有)
- プロモーションの活動の場として利用してもらうことでモチベーションアップに使ってもらう
- コンテストの連携などで打ち上げ花火だけで終わらない形を考えておく必要がある
- Just GivingでHack for Japanとしての連携がとれれば収入とモチベーションを維持するアイデア
- 既にあるNPOに相乗りする形では?
- (継続性3)Hack For Japan 運営自体
- 運営自体はバジェット0でも概ね問題なく進行できている。すごい!
- 会社の出張にできない場合の地方会場への交通費を捻出する方法とか?仙台への交通費は「東北ITコミュニティ復興支援基金」からとかで。
- 日本版 Code for Americaみたいにして、Fellow 制度+寄付金を募る? http://codeforamerica.org/
- 企業のCSR活動で寄付金を募るのもあるが、その活動に関しても運営に大きくリソースがかかる。
- 小物の購入費、被災地での宿泊費が全てスタッフのお財布からという問題
- NPOではなく任意団体として会計報告をして運営していくなど検討
- 想定される運営費用をリストアップして棚卸しして今後の方針を検討する。及川さん [TODO]
- 次回
- 2011年9月5日 19:00~ 開催、場所未定
(文責)Hack for Japanスタッフ 鎌田篤慎
第3回アイデアソン・ハッカソン東京会場からのレポート – ハッカソン編
- 次のハッカソンまで実装する内容を決めた
- ランキングをするにはパラメータ評価が必要。
- +1 や「いいね」ボタン、「これ、ダジャレじゃない?」と通報するボタン
- スマートフォン向けの実装も計画
- 街で改善が必要な点を見つけたら写真を撮って位置情報付きで投稿する iPhone アプリの部分を実装。
- androidアプリとサーバーサイドの実装を進め、android アプリから崖の写真を位置情報付きで twitter にアップする仕組みまで出来た。
- このチームではハードウェアのハックを行った。
- ガイガーカウンターのパルスを出すユニットに LED 表示を組み合わせた。
- 熱中症対策で、温度センサーとマイコンを組み合わせたものを作ってみた。
- 無機質なスプレッドシートが見やすい一覧表示になり、ソート、条件抽出なども可能に。
- アップデートのリマインド機能もある。
- デザインを考え、画面遷移を整理した。
第3回アイデアソン・ハッカソン東京会場からのレポート – アイデアソン編
- 震災から時間が経ち、聞こえてくる声は「早く自立したい」というものが多くなっている。
- 仮設住宅で生活する方々の場合、様々な地区から移住している場所ではコミュニティの確立が課題。
- 資料はこちら
- 復興とは震災前に戻るだけでなく、自然との調和を考えていくというのがあってもいいだろう。
- 被災者の方で運営するお店を作り、現地雇用を増やす。
- すぐに冬がやってくる。今後、灯油など暖房費をサポートすることも必要になってくる。
- 資料はこちら
- ハード面とソフト面というボランティア活動の2つの面について
- IT技術も復興への原動力の一部
- 発表資料はこちら
- メンバー募集中!Servlet/GAEをご存知の方、Silverlight やHTML5でUIが作れる方、デザイナーの方に来て頂きたい。
- より使いやすい、親しみやすいUIを考えている。ハートのアイコンを真ん中に置き、2段階リンク。twitter IDでの連携。
- 発表資料はこちら
- ガイガーカウンターからのデータ分析について話し合った。
- Botを作る、シーベルトに変換する
- この場所をガイガーカウンターで測ってという要望に応えるマッチングなどの案も出た。
- ガイガーカウンターの見せ方のアイデア、放射線スカウター、等高線のような表示。
- 「ダジャレで被災地の方々に笑顔を届ける」というコンセプト、好意的に考えてくれる人ばかりではないのでブラッシュアップが必要かと思い、いろいろ考えてきたとのこと。
- 今後、笑いで人を集めてアクセスを流す先として、うらと海の子再生プロジェクトに代表される一口オーナー制度のように「支援形寄付」を考えたい。
- いかにして思わず衝動買いしたくなってしまう心理になってもらうか、ダジャレクラウドは真面目に面白く「笑う」というポジティブな感情を発展させていきたい
- ソーシャルボタンを使って集めたパラメータで、一つ一つのダジャレを真面目に分析する。属性情報でどんな年代にヒットするダジャレかということも得られるようにしたい。
- 発表資料はこちら
- 様々なサイトにある情報が最新なのかどうか、見やすくするためのツールを作りたい。
- Access Needs 表を使っている所と連携してデータをWebに表示できるようにする。
- 個人が参加意向を示せる仕組みもあると良いかも。
- 少しfunな要素として、めっちゃ来て欲しいメーター、超行く気満々ボタン、行かないけど応援してるぞ、という3つのボタンをつける。
- 発表資料はこちら
- 原案は “hack earthquakes”
- 直ぐに支援に結びつく話しではないが、地震で被害を受けたくない、受けさせたくない研究者、Hack For Japan, エンドユーザを結ぶ仕組みを作りたい。
- 崖写真を集めて研究者に見てもらう。WebサービスとAndroidアプリを作成する。7/30実装完了という具体的な目標も!
- 発表資料はこちら
- 情報が公開されていてもpdfだったり、wordやexcelだったり….という問題を解消したい。CSV公開チェッカ等の仕組みを用意している。
- 真面目過ぎるPJなので、面白さのエッセンスを考えてくれる人を募集中!
- 情報を提供する人、アプリを使う人、両者の手間を増やさず減らす仕組みの提供。情報の提供者にも見る人にもメリットを。
- 可視化のために、時間軸、空間軸での共通化を計る。
- 発表資料はこちら
- 津波で沢山の車が流された。保険は津波には適用されない。
- 被災地に車を寄付する際のマッチングための効率的なスキームの仕組みを作りたい。
- アイデア発表時に使われたサイトはこちら
- 浦安の液状化の被害にあったという方から当初は「損害物件目安箱(仮)」というアイデアとして挙げられた。
- 道路に陥没がある等の危険を、市民は「よくして!」ボタンで報告をする、情報をみる、そして自治体がそれを治す。ボタンが押された回数が優先度の指標になる。
- 発表資料はこちら
- 現在3人でやっており、まだ完成していないので追加メンバー募集。法律等にも詳しい方がいると助かるとのこと。
- 出来るだけ簡単に入力出来るようにする。入力手段として携帯、PCに加えて任天堂DSも対応出来るようにしたい。被災地でのwebアクセスはDSからのものが意外と多いとのこと。
- 発表資料はこちら
Hack For Japanの軌跡 – Japan Innovation Leaders Summit 2011 8.6 satから
やっと家族の無事が確認できた後も、「この先日本はどうなってしまうのだろう」という不安が収まりません。途中まで歩いたりして、ようやく翌日の早朝にたどり着いた家でも、よく寝れず、被災地にいる知人や今後のことなどに思いを馳せます。
ここ九州では、余震に怯えることもありません。ガソリンスタンドでは並ばずにガソリンが購入出来ます。明日の天気を必要以上に心配することもありません。夜の暗闇に備える必要もなく、家には帰れば、当たり前のように家族がいます。
当たり前であることが当たり前のままであること。それを平和というのだと再認識しました。
でも、一方で、自分がこんな安全な場所でただ遠い被災地に思いを馳せるだけで良いのだろうか、そう思っていたのもこの頃です。
この感情を今でもうまく表現出来ないのですが、それは「罪悪感」のようでもあり、「無力感」でもありました。
それがその時の漠然とした想いです。自分や家族、日本に対する不安を抱えながらも、自分などよりももっと深刻な状況にいる人たちのために何かできないか。
そんなことを考えていました。
彼女は言います。「その夜は眠れず、タイムラインにはりついて朝を迎えました。SXSWi 初日です。あれだけ楽しみにして来た SXSW なのに、全く心はここにない。でも、タイムラインを読んでいたところで自分は何の役にも立たない。津波の恐ろしい映像が次々と飛び込んでくる。被災者の方はもちろん、東京の皆さんも電車が止まって 3 時間かけて帰宅したりあるいは帰れなかったり、余震に怯えたり。そうした様子をツイートやメールやグループチャットで疑似体験しながら、一体自分はこんな安全なところで何をやっているのだろうという罪悪感に苛まされたり。何かしたいのに何もできずに見守るしかない無力感が途方もない物でした。」(SXSW Cares (For Japan) – Fumi’s Travelblog)
なかなか想いは届きません。「頭を冷やすはずが、帰り道、幕張の液状化跡の上を歩きながらまた思いがフツフツと…向こうの地はこんなものではすまないと思うとまた…」(http://twitter.com/#!/ken1_taka/status/48032519068725248)
それが「何かできないだろうか」という想いです。
サーバーはAmazonより提供を受けました。Twitterでの呼びかけに答えてくれたものです。
「@KenTamagawa OpenStreetMap メンバーで、ハイチなどでも活躍したUshahidiを使った災害情報集約用のサイト、http://sinsai.info を立ち上げています。サーバリソースが使えると大変助かります!」(http://twitter.com/#!/hal_sk/status/46382130577682432)
開発者もTwitterで呼びかけると100回以上のリツィートされ、結果、数十人ものボランティアが集まります。
「sinsai.info のサーバ技術者のリソースが足りません!Ubuntu、EC2、Ushahidi に詳しい方、info@osmf.jp にご連絡いただけましたら幸いです」(http://twitter.com/#!/hal_sk/status/46759511154888704)
Open Street Mapのクライシスマッピングではハイチ人が地図作成を行ってくれました。「日本人は、ハイチの時に地図を書いてくれた。今度は我々が助ける番だ。」(http://hot.openstreetmap.org/weblog/2011/03/haiti-osm-mapping-for-japan-and-libya/)
そのころ、私の勤務先では自社での支援だけでなく、外部の開発者にも被災地支援のアプリを開発してもらうことで支援を促進しようという話が出てきました。
私はすぐに思います。これは組織/団体を超えて集まるべきだと。
一気に短期間でモノを創り上げてしまう開発者合宿として定着しつつあるハッカソンを今こそ開催すべきであると。
すぐに知り合いの開発者などに声をかけはじめます。
「今やらないでいつやるんですか?」
最終的に決断したのは、米国オースティンから日本に戻ったばかりの山崎富美さんと電話で話した木曜日の夜。その時、彼女はまだ成田空港、私は福岡。数々のイベントを成し遂げてきた彼女がやれるというならばやれると思っていました。彼女が機中にいた間にスタッフで話し合ったこと、私の想い、すべて彼女に伝えました。
「やれますか?」
「やりましょう!」
「あとで、僕が怒られておきます」
そう言って、アナウンスへ賛同企業として掲載することを許可してくれました。
後日、何の団体なのか、どういう主旨なのかなどの説明を求められたらしいのですが、こういう集まり自体がイレギュラー。対応できるレギュレーションがないのです。すべてを支えたのは、「何かできるはずだ」という想い。
多くの人に加わって欲しいとの想いから、いくつかのネットのサービスを用いて、オンラインで議論は進めました。すごい勢いでアイデアが書きこまれ、もはや整理も不可能になってきたころ、ちょうど海外に出張していた同僚が夜中のうちに議論を整理してくれました。また、このスライドのように議論を可視化してくれるサポーターも現れます。
「ブログ、Twitter、電話、街宣車、立て看板などなんでもかまいません。急ぎ周知および積極的な勧誘をお願いします。 」
4会場で100人近い参加者を集め、多くのプロジェクトが発足しました。
ハッカソン終了後、スタッフへのメールでこう書いています。
それは被災地を訪問すること。
まだ混乱が続く中、被災地を訪れることは非難されることも覚悟していました。ですが、現地を訪れてみないとわからないこともあります。
「まだ早いと言われる可能性があることは覚悟しているが、とにかく現地に赴き、実際を肌で感じてみたい」(Hack For Japan~仙台、石巻を訪ねて – EnterpriseZine)
訪問先からは「まだITの出番じゃない」と言われたこともあります。声を荒らげ、何しに来たんだと言わんばかりの剣幕だったところもあります。すべては覚悟の上です。
しかし話を聞いてみると、ITで解決できそうなところはいくつか見つかります。時期が来れば、ITが活躍できるはずだとの想いも強くなり、次のハッカソン開催への気持ちも強くなります。
スケッチブック、付箋紙、マジックペン、フリップチャートなどがアイデアソン用具です。非常にアナログな方法で議論は進められます。
右下にあるのは、会津若松会場で開発されているガイガーカウンターです。
今必要とされているのは支援しようとする意思です。開発者以外の人もアイデアソンでの議論、さらにはハッカソンでも利用者としての立場での意見提供、情報の収集などいくらでも手伝っていただくことがあります。
スタッフの山崎富美さんは言います。
「エンジニア・開発者以外の方も皆さんお力を貸して頂きたいと考えています。というのも、5月のハッカソンでは「コードが書ける人はいっぱいいるけど、もっと使ってもらうよいデザインにするためにも、デザイナーの人にもっと来てほしい」という声が参加者からあがっていました。また、新しいサービスが作れなくても、既存の様々な便利な IT サービスが充実してきている今、それらをご存知ない方にお知らせしたり、既存のサービスを使って問題を解決したりということができるという場面がとても増えてきています。」(Hack For Japan: 遠野に行きませんか? – Fumi’s Travelblog)
これがHack For Japanのキャッチコピーです。
40案ぐらいの中から選ばれたコピーです。“開発者の「何かしたい想い」と被災者の「切実な想い」をつなぐ場を訴求する”ということから考えたものですが、実際にHack for Japanで活動してみると、それだけではありませんでした。
Hack for Japanでは、開発者と被災地の方の想いはもちろんですが、開発者同士や開発者とデザイナーの想い、被災地の方同士の想い、被災地から遠い西日本の方の想い、ITとは無関係でも何かしたいと願っている人の想いなど、さまざまな状況にいる方の想いをコードでつないでいます。
ここにHack for Japanの姿があると感じており、このコピーは原案者であるスタッフの佐伯幸治さんの想像を超えてHack for Japanのありのままを表現しているものになっています。
記憶は風化していきます。ですから想うことはこれからますます大切になります。その想いをつなぎ続けることがHack for Japanなのだと実感しています。
プロジェクト紹介
「Hack For Japanの軌跡」のプレゼンテーションの後、Hack For Japanで活動中のプロジェクトとして以下の3つを紹介しました。
- 風@福島原発 – 資料(PDF)4523KB 表示 ダウンロード
- Open Geiger Project – 資料(PDF)7866KB 表示 ダウンロード
- フォトサルベージの輪 – 資料(PPT)325KB 表示 ダウンロード
MIT石井裕教授からのメッセージ
Japan Innovation Leaders Summit 2011 8.6 satではMIT石井裕教授が基調講演を行われ、我々のセッションにもパネルとして登壇いただきました。
イベントの懇親会の席で石井教授から非常に心動かされるメッセージをHack For Japanにいただけました。石井教授からメールでその要旨を送っていただけましたので、ここに掲載します。
本日(8月6日)、リクルート社Tech総研のイベントにお招きいただき、311震災から学んだことを皆様と共有させていただく機会を賜り、御礼申しあげます。5月21日の TEDxTokyo での私の311講演「The Last Farewell」をきっかけに、Hack for Japan の皆様と知り合うことができ、さらに今回のイベントを「ハック」して、 H4Jの特別セッションをその真ん中に作り、震災に応えて立ち上がった技術者たちの熱い想いを皆様と共有できたこと、そしてその場に私が居合わせる事ができたこと、とても幸せに思います。
何故プログラムを書くのか、何故電気回路を作るのか、何のためにモノを作るのか、誰のために作るのか、何のために生きているのか、何故僕らはこの社会に存在しているのか、その答えを、風@福島原発、オープンガイガー、そして写真修復の3つのH4J プロジェクトの技術者たちが、今日鮮やかに「人間」の言葉で語ってくれました。そして彼らが活動するオープンな知的協創の場、Hack for Japan を創り育てた及川さんが、その想いを熱く語ってくれました。「何かできるはずだ」、「今やらなくていつやるんだ」、「やりましょう!」彼が紹介してくれたH4Jメンバーの言葉に込められた想い。そして、「アンインストールされ、誰もそのアプリを必要としない日がくることを祈る」という「風@福島原発」の開発者の想いの深さ。
人はお金や名声だけのために生きているのではありません。私たち技術者は、技術者だからこそできることを通じて、社会に貢献し、自分の生きていることの証を,自己の存在証明を求める旅をしているのだと思います。志と情熱さえあれば、H4Jのようなオープンなコラボレーションを通して、その志に共鳴する仲間を集め、個人では不可能だったとてつもない貢献をものすごいスピードでなし得る今日、こうして皆様にお目にかかり、感動を共有できたことに、心から感謝申しあげます。
石井 裕
会場に来れなかった会津工業高校のハッカーへメッセージを送る石井教授 |
終わりに
今回のイベントで発表したスタッフの想いは本当にごく一部です。このブログを読まれている皆さんも同じような想いだったことを思い出されたことと思います。この想いを忘れずに、また、石井裕教授の言葉を糧として、これからも活動を続けたいと思います。
Hack For Japanに賛同し、進めていただいているプロジェクトはここで紹介した3つ以外にも多くあります。刻々と変わる被災地の状況にあわせて新しいプロジェクトも必要になってきます。遅すぎることはありません。継続した復興支援のために、いつからでもどんな形でも是非ともHack For Japanへの応援と積極的な参加、お願いいたします。
Hack For Japanスタッフ 及川卓也
P.S. このプレゼンテーションの舞台裏を書いたブログもあわせてお読みください。
Hack For Japanの軌跡 – Japan Innovation Leaders Summit 2011 – Nothing ventured, nothing gained
プロジェクト紹介:ハマナス先生〜花から学ぶ復興の形〜
先日の遠野会場アイデアソン/ハッカソンでスタッフを務めた関です。
花や植物の写真と発見した位置情報をDB化し、植物が自力で復活する記録から復興のあり方を考えようというのがこのプロジェクトです。
プロジェクト名の「ハマナス」の花は、鵜住居「宝来館」のドキュメントTV放送の最後の場面で、宝来館の女将が、3月末に海岸に芽を出し始めたハマナスを発見し、
「花だって、こんなに、一生懸命なんだ…」
と、つぶやくシーンを、思い出したのです。
ハマナスには、波にのまれ、ひどい状況になっても、その地にとどまり再生していく強さがあることを、あの放送で知りました。
ハマナスの花言葉のひとつに、「美しい悲しみ」があります。
ハマナスのこの花言葉、また花の生命力に、三陸沿岸一帯に住む日本人の持つ自然観、地域の力を連想するのは、私だけでしょうか。
ハマナスの花が咲くのは、盆の頃です。
ハマナスが、沿岸一帯に咲くたびに、そこに住む子どもたちは、1本、1本、花を数えます。
そのとき、かつてこの地に一緒に生きた仲間、強い地域の絆があったことを、思い出してもらいたいのです。
そして、その絆の大きさが、年々広がり、ITを通じて世界の人たちにも見えるようになってもらいたいのです。
この取組みが数年間にわたり継続し、「花の絆」が広がっていく様子は、何年たっても祈りを抱いてくじけない、この地を守る子供たちがいることを示しています。
ハマナスの英文名は「Japanese Rose」です。まるでこのプロジェクトを実施するために、命名されたと思いました。
このプロジェクトは、システムを作るというよりも、コンセプトを広く伝え学校関係者やNPO、研究者などのネットワークを作ることを目指すプロジェクトです。共感された皆様がおりましたら、友人、知人などにお伝えいただけましたら幸いです。
ホームページ作成など、プロジェクトに参加したい方ももちろん大歓迎です。
連絡先は、スライドの最後にかかれております。皆様のご声援をいただけましたら幸いです。
※宝来館は釜石市根浜海岸にある料理宿で、文中の女将は、自身も津波に流されそうになりながらも、宿泊していた旅行客や従業員全員を無事避難させました。その時の映像がテレビなどでも紹介され有名になった場所です。津波が去った後の孤立状態も、宿にあった食材やがれきの下のお米などを頼りに、道路が復旧するまでの孤立状態を皆で協力して乗り切ったそうです。早ければ10月復活を目指して活動中だとのことです。
http://houraikan.jp/
http://twitter.com/horaikan