街をハックする! Hack For Town in Aizu開催レポート

2月15日、16日にHack For Japan主催によるHack For Town in Aizuが開催されました。今回はそのレポートをお届けします。Hack For Townとは、最先端テクノロジを用いて街中に設置された最先端ハードウェアをハックするという主旨のイベントで、将来的には最先端テクノロジを用いて新しい街を創造することを目指しています。その第一回目の場所が福島県会津若松市となりHack For Town in Aizuとして開催されました。
会津若松市には、会津若松駅からクルマで5分ほどのところに神明通りという商店街があります。今回はこの神明通りの各所にiBeaconデバイスを設置し、商店街という環境ならではのロケーションを活かしたHackathonに参加者たちがチャレンジしました。

商店街各所にある天井付近のポールに設置されたiBeaconデバイス

またiBeaconデバイス以外にもDrone、Oculus Rift、3Dプリンタ、Raspberry Pi、人感センサ・湿度センサ・温度センサなどを搭載した環境センサ(今回の協賛であるフリービット株式会社の提供)といったハードウェアに加え、市内企業が保有しているfabスペース、APIとしては会津若松に関するオープンデータなどが案内され、さまざまなハードウェアやデータを組み合わせた開発ができるような環境が用意されていました。

iBeaconデバイス
Raspberry Pi、3Dプリンタ、Droneなども
環境センサ

Hack For Town in Aizuの事前の情報についてはwikiを使ってまとめられており、参加者はこちらで概要をつかむことができるようになっています。

一日目。大雪の影響から開始を遅らせてのスタート

Hackathon当日。この日は雪害となる大雪で交通機関に影響が出ており、Hackathonの運営にも大きな支障をきたしました。そこで一日目の午前中に予定していた開始時間を遅らせてスタート。午前中は参加者の来場状況を見ながらHackathonを進めていくことを決定し、予定されていた参加者からのアイデアピッチを午後からとして、Hack For Japanスタッフであり、今回のイベントの提案者でもある佐々木からiBeaconについてのレクチャーがなされました。 次にHack For Japanスタッフの及川からHack For Townの説明があり、最後にフリービットの渡邉氏から環境センサについての説明がなされました。この環境センサは佐賀県唐津市と同社による「高齢者向け安心見守り・健康相談システム」の実証実験に使用されているものでもあるそうです。なおこの間、東京方面から向かっている参加者たちが郡山で足止めされているにもかかわらず、めげずにカフェに集まって自主的にHackathonを始めているという情報を受け、彼らに向けて急ごしらえの動画配信を行いました。

佐々木によるiBeaconデバイスのレクチャー

昼食では会津若松市役所のご好意によりソースカツ丼のクーポン券が配られました。会津若松はソースカツ丼が名物で、市内にはソースカツ丼を提供する店が複数あります。参加者はクーポン券を使って好みの店でソースカツ丼が食べらるという、地方ならではの楽しみが得られました。

午後から本格的にHackathonに入りました。参加者各々が考えているアイデアを披露し、興味のあるアイデアがあれば、そこに参加するチーム分けを行った後、開発が始まりました(この日のアイデアピッチについては、Fukushima Internet television Chのyoutubeにてご覧いただけます)。ここから二日目の夕方の成果発表までが開発の時間となります。この時点ではまだ郡山で足止めされている参加者たちもいるため、彼らにどんなプロジェクトがあるか把握できるようプロジェクトの概要を各参加者にシートに記入してもらいました。

一日目の夜には懇親会が開かれました。名物の馬刺しや、貝柱を出汁に人参・しいたけ・糸こんにゃくなどの入った汁物のこづゆと呼ばれる郷土料理を堪能しているところへ、ようやく郡山に足止めされていた参加者たちが到着! 

#hack4town 今着いた東京組、東京出てから24時間で到着とか、郡山でのトランジットに時間かかったとか、笑っているけど、本当にお疲れ様!!
— 及川卓也 / Takuya Oikawa (@takoratta) 2014, 2月 15

というツイートがあったくらいに困難な状況だったことから、遅れてやってきた参加者たちは、大きな拍手とともに迎えられたのでした。

二日目。地産の食材を使った蕎麦を堪能! そして各自の発表へ

二日目の午前中も前日から引き続いてのHackathonです。参加者たちはもくもくと開発に集中しています。この日の昼食は、地元の食材を使ったそばでした。わざわざこの日のために何日も前から仕込みをしており、参加者の想像を上回る手の込んだ蕎麦でした。 水蕎麦…水を注いで蕎麦の感触を味わう 高遠蕎麦…大根おろしと大根おろしのつゆ、蕎麦つゆを合わせて味わう 地鶏蕎麦…地鶏を煮込んだつゆで味わう といった3種類の蕎麦を用意されており、地元わさびをその場ですって、ニシン・しいたけ・薬用人参・クレソンのかき揚げ・野菜いろいろのミックスのかき揚げの天ぷらを好きにトッピングしていただける上、さらには会津若松のお米まで炊いてあるという、味も内容も素晴らしい昼食でした。

地産の食材を使った蕎麦。美味!

昼食を済ませて参加者は発表に向けてラストスパート。いよいよ夕方の発表です。発表では室井 照平市長、会津大学 次期理事長兼学長 岡 嶐一氏、リモート参加でNTT ドコモ 執行役員&研究開発推進部部長 栄藤 稔氏、協賛いただいたアクセンチュア株式会社の中村 彰二郎氏を審査員として迎えました。以下にプロジェクトを簡単に紹介します。Fukushima Internet television Chで詳細の動画が見られますので、興味のある方はそちらもご覧ください。 サックマンのパックマン街中に設置したiBeaconをエサに見立てたAR版パックマン。ゲームとしても、スタンプラリーとしても活用できることを目指したもの。 Anko-KivyKivyというPythonで記述するNUIでフレームワークを作成。BLE, iBeaconをマルチプラットフォームで使えるようにする。 BoarDrone利用者の持っているAndroidでiBeaconの信号を受信すると、その場所にDroneが飛んできて案内をするというもの。 iMenu最寄りのiBeaconを検知してユーザーがいる店舗の情報を取得し、メニューを表示するシステム。 障害者のための障害物検知アプリ目の不自由な方に対して、例えば滑りやすい道や工事中で通れない道、段差のある道があった際に音声で通知してくれるアプリ。 消えたプリンセスを探せ!  神明通りの各所に設置されたiBeaconから情報を得て、神明通りに逃げ込んだキャラクターを探すアドベンチャーゲーム。 一緒に歩こうiBeaconの設置してある場所に行くと女性の音声が流れる。設定された速度で歩かないと声が遠ざかる。二次元キャラとリアルに歩く感覚を追求したアプリ。 会津クライシスGoogleストリートビューの神明通りを取り込んだDroneを使ったシューティングゲーム。向かってくるゾンビを打ち倒す。 トロッコ列車神明通りをトロッコが走る3DゲームをUnityを使ってめざした。 動物レストラン親子連れをターゲットに商店街に行くきっかけを作るためのアプリ。商店街に設置したiBeaconを果物のエサと見立てて、その果物を動物に見立てたiPhoneが食べるというもの。 ぴかりiBeacon のハード制御によって通信でLEDを光らせる。特定のiPhoneが近づいた時にiBeaconが光る他に、音声を流してしゃべっているように見せることもできる。 上記のようなプロジェクトが発表されました。今回は市長賞、Hack For Japan賞、会津ゲームLAB賞が用意されており、市長賞は「BoarDrone」、Hack For Japan賞は「障害者のための障害物検知アプリ」、会津ゲームLAB賞は「消えたプリンセスを探せ!」がそれぞれ受賞しました。 市長賞は「BoarDrone」は、まだまだ荒削りではあるもののイベントなどでDroneを使って何かやれそうな点、Hack For Japan賞の「障害者のための障害物検知アプリ」は、将来的な実用性が非常に高い点、会津ゲームLAB賞の「消えたプリンセスを探せ!」は、BLEの普及に欠かせないゲーミフィケーションを取り入れた完成度の高いアプリをつくった点が、それぞれ評価されました。表彰式の動画はこちらからご覧いただけます。 今回、街をハックするというはじめての試みで開催されたHack For Town in Aizuでしたが、数多くの方々の協力の下、運営がなされていました。前述の協賛の方々に加え、株式会社あくしゅの山崎泰宏氏や株式会社デザイニウムの前田 諭志、NPO法人福島インターネットテレビジョンの鷲山 英喜氏、Fandroid EAST JAPAN原 亮氏にも尽力いただきました。 また市役所の方々が運営のサポートに入ったこともお伝えしておきます。開催場所も市役所の会議室や会津若松市生涯学習総合センターを提供いただきました。さらに大雪の影響で行きも帰りも到着までがHackathonとなってしまった参加者の方々においても、感謝の意を申し上げます。

市役所にはHack for Town in Aizuの案内が

「日本には実際のフィールドでセンシング、IT機器、クラウド連携を試せる場所がない。アメリカのサウスバイサウスウエストのようなイベントが日本であってもいいんじゃないか。『会津若松に来れば二日間だけは街中を自由にハックできます』といったITの実証実験ができるような、そういった仕組みをつくるためにHack For Townを開催することにしました。地方も東京も同じですが、商店街に人が来ませんとか、お年寄りが増えていますとか、そういった根本の問題解決を解決するきっかけにもHack For Townはなるんじゃないか」 スタッフ佐々木のそんな想いからはじまったHack For Town。実行委員会も立ち上げる予定ですので、またイベントが開催されることと思います。次回のHack For Townで皆様にお会いできるのを楽しみにしています。参加された皆様、ご協力いただいた皆様、ありがとうございました!

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