5月25、26日にHack For Japanスタッフである小泉さん主催による島でのHackathon「島ソン」が宮城県塩竈市の浦戸諸島にて開催されました。参加者は話題提供者として招いた地元の方々の話をうかがい、その話の中から何かしらのテーマを見つけて1泊2日で開発に取り組んでいきます。
※浦戸諸島へは2011年にスタッフが視察に訪れており、当時の記録はこちらの投稿にて読めます。
※浦戸諸島の雰囲気が知りたい方は、うらとラウンジのサイトにある浦戸諸島の美しい景色を収めた紹介ムービー「浦戸諸島の旅 夏編」をご覧ください。
さまざまなプログラムを通してアイデア出し
Hackathonは野々島にある市の出先機関の浦戸諸島開発総合センター(ブルーセンター)にて行われました。センターには宿泊ができる大広間があり、キッチンや体育館も備わっている施設で1泊2日のHackathonをするにはうってつけの場所でした。
が…電波の入りに少々難がありちょっとした工夫も必要となりました。
島ハッカソンではこれが必要。 #shimathon pic.twitter.com/4EXFOntjsY
— 及川卓也 / Takuya Oikawa (@takoratta) 2014, 5月 24
今回の島ソンでは、仙台はもちろんのこと、東京や福島、遠くは大阪に加え、近隣の石巻専修大学の学生も参加しました。参加者の誰もが浦戸諸島の現状について詳しいわけではないため、島の方の話をもとにいくつかのワークショップを織り交ぜてHackathonに取り組むというプログラムを運営スタッフの中西さんに構成いただきました。
Hackathon初日は、まず島の方の話を伺うことからスタート。浦戸諸島で漁師をされている方、石浜区長(浦戸諸島には自治区という枠組みで区長が存在するそうです)、海産物販売をされている方などから島の現状について話をしてもらいます。ここでは「後継者問題」、「震災で海の生態バランスが崩れ漁がしづらくなった」、「島の年齢層が高く保守的なところがある」、「島と本島の塩釜を行き来する汽船の本数が少なく、島に住みながら塩釜や仙台で働くことができない」、「救急で人が倒れても救急船が来るまでに1,2時間かかる」といった話がされました。
島の方から話を聞いた後、参加者同士で感想や疑問点を話し合い、さらに島の方への質問タイムを挟んで昼食へ。
午後からは話し合いたいテーマを各自が発表。漁業体験、島を利用した脱出ゲーム、浦戸諸島で採れる健康にいい海藻アカモクのPRなど、たくさんのテーマが提案されました。そこから似たテーマを出した者や連携できそうな者同士がチームを構成していくつかのグループ分けを行った後、それぞれのチームでマインドマップを使ってさらにテーマを関連キーワードで広げながら、掘り下げていきます。
マインドマップを行った後、自分がHackathonでやってみたいアイデアを各々が用紙に書き込みプレゼン。気に入ったアイデアに参加を募ってHackathonに取り組むグループ分けがなされました。
グループ分けの後は、通常のHackathonでは各グループの作業となりますが、今回は島の方に島内を案内いただいたことで、実際に島について知る貴重な機会を得られた後に開発に取り組めました。
7つのテーマで成果発表
2日目も午前中から開発に取り組みます。PCでの作業だけでなく、素材となるムービーや写真を撮りに行ったりするなど、現地にいながらにして開催されるHackathonならではのやり方にチャレンジしているチームも見られました。
午前中の開発を終え、午後から発表タイム。以下のようなテーマで集ったチームが成果を披露しました。
1:「ほら穴」
野々島に多数存在している「ほら穴」に着眼。廃墟マニアなどが存在していることから、ほら穴マニアもきっといるという、ほら穴を観光資源として活用するアイデア。実際のほら穴を使って撮影したPRムービー、旅行者と島の方がほら穴画像の投稿を通じて交流が図れるSNSサイトを提案しました。
2:「謎解きゲーム」
観光資源はあるのに訪れる人が少ないという課題を受けて、複数の島から成り立つ浦戸諸島そのものに注目。謎解きゲームを開催して、若い人に浦戸諸島を知ってもらうきっかけイベントとしてはどうかというアイデアを提案しました。
3:「写真」
島の紹介がされているガイドマップの情報量が少ない、見落とされているスポットが多いなどの課題があるので、それらを解決するアイデアを提案。住民の方から仕入れたネタを入れた解説付きのガイドアプリ、旅行者と島の方が写真を通じてSNSで交流できる写真アプリ、THETAを使った360度の風景スポットを見られるストリートビューを発表しました。
4:「レシピ」
「島の食材+マッシュアップ」という発想から「島っしゅ。」と名付けられたアプリを披露。思いついた食材を入れてスマホを振ると浦戸諸島で採れる食材と組み合わせたレシピが表示され、表示された浦戸諸島の食材が購入までできるようにサポートされています。
5:「養殖(育てる)」
島の方の「島の物産を身近なものとしていろいろな人に知ってほしい」という想いをもとに、養殖をイメージした育成ゲームを想定していたものを、ターゲットや内容のハードルの高さから方向を変えて、海産物が購入できる「海の子ネットオンラインショップ」を多くの人に広めていくアイデアを提案。おねだり機能を実装して、おねだりコメントがFacebookに投稿されるといった「一緒に食べよ」というサービスを発表しました。
6:「アカモク」
Facebookページ、Twitterボット、NAVERまとめ、萌えキャラといったツールを使って浦戸諸島で採れる海藻アカモクをPRするアイデアをそれぞれ実際に作成して披露。萌えキャラは「渚の妖精ぎばさちゃん(ギバサはアカモクの別名)」としてクラウドソーシングサービスにてイラストを募集しており、いくつかの案がすでに集まっています(ブログ公開時には終了している可能性があります)。
#shimathon ぎばさちゃん、のイラストをコンペに出しています!お知り合いのイラストレーターにもお声がけを! http://t.co/DkjbrZMHbB
— 小泉勝志郎 (@koi_zoom1) 2014, 5月 25
7:「新しい交流文化」
浦戸諸島について知らない人が多く、まずは興味を持ってもらうことから始めるために聖地化するというアイデアを提案。浦戸諸島をモチーフにしたIsland Girlsというキャラを考え、アドベンチャーゲーム、チャットといったキャラを使ったバーチャルなコミュニケーションを手始めに、浦戸諸島を訪れるとARデートができるプランを発表し、これらのイメージPVを作成しました。
上記7つのアイデアを発表して島ソンは終了となりました。今回の島ソンでは島の方に話題提供者となって参加いただくだけでなく、マインドマップ作成や島見学などに協力してもらったことで、一緒に取り組んでいくHackathonとなりました。
テーマによってはこれからもプロジェクトとして続けていくという話もありますので、また動きがあればブログやHack For JapanのFacebookで紹介します。
最後に今回のHackathonでも多くの方々に協力をいただきました。島の方や参加いただいた方はもちろんのこと、食事のサポート、事前準備に時間を割いてくださった方など、あらためて感謝いたします。
ありがとうございました!
当日の様子は参加された方のブログやNAVERまとめもご覧になってください!