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ICT ERA + ABC 2012 東北(前編)

2012年10月20日に仙台で行われた ICT ERA + ABC 2012 東北というカンファレンス(以下、ABCと略)で Hack For Japan として2つのセッションに協力致しました。このイベントはこれまで年2回東京で開催されてきた日本 Android の会主催によるもので、震災後の復興を考えるため、東北を盛り上げたいという想いから今回は東北での開催となりました。
通常なら Android Bazaar and Conference で ABC なのですが、IT による Earthquake Reconstruction Aid (震災復興支援)をテーマに掲げているために ICT ERA + ABC 2012 東北というタイトルになっています。

高校生トラック

ABCでは高校生/アカデミックトラックが用意されました。大人顔負けのプログラミングを行う高校生が最近は特に増えてきましたが、Androidアプリケーションの開発においても多くの高校生が活躍しています。
今回のABC高校生トラックには、7月末にHack For Japanもお手伝いした石巻IT Boot CampでAndroidのアプリケーション開発を学んだ石巻工業高校の生徒も登壇したほか、岐阜県立大垣商業高等学校や灘高校の生徒も発表を行いました。

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石巻IT Boot CampでCorona SDKを学び約2日半でAndroidのアプリケーション開発を経験した、石巻工業高校の生徒たちはその後も活動を続けており、アプリ甲子園にも進出しました。アプリ甲子園はスマートフォンアプリ開発の中高生のためのコンテストです。2年目となる今年は9月30日に決勝戦が行われました。石巻工業高校の生徒は残念ながら入賞がなりませんでしたが、他の参加者との交流なども通じて、大きな刺激を受けました。詳しくは、コンテストレポートをご覧ください。
今回のABCには、石巻工業高校のイベントとも重なったため、引率の先生1名と生徒2名での参加となりました。筆者が到着したときにはすでに会場入りしており、スライドの最終調整とリハーサルをしていました。高校生トラックの先頭バッターということもあるのでしょう。まだ本番には時間があるにもかかわらず、極度に緊張しており、サポートする側のこちらにもそれが伝わって緊張してしまいました。
彼らのセッションでは、Androidのアプリケーション開発に携わることになったきっかけから、IT Boot Campの振り返り、そして開発したアプリケーションの紹介、開発を通じて学んだことの紹介がありました。
もともと、授業でVisual BasicやC言語などの勉強はしたことがあったものの、本格的なアプリケーション開発はIT Boot Campが初めてだったという彼らですが、そのきっかけは前回のブログでも紹介した石巻 2.0のイトナブでした。イトナブの古山さんが卒業生であり、学校にもたびたび訪れていたことから、IT Boot Campが企画されましたが、彼らにとっては、それが大きなきっかけになったようです。ほかにも、ほかの学校からは羨むような、いわゆる「Mac部屋」と呼ばれるMac OS XとWindowsがデュアルブートするiMacが完備した教室があったことなどの恵まれた環境が用意されていたこともプラスに働いたようです。
アプリ甲子園での経験も彼らを一段と成長させました。彼ら自身、優秀な同世代に負けれらないという気持ちになったと話していました。また同時に、企画力とデザイン、発表時のプレゼンテーション能力の重要性に気づいたようです。実際、アプリ甲子園での優勝者のプレゼンテーションは素晴らしいものでした。デザインの重要性は、Corona SDKを使うならば、特に大事であることにも彼らは気づきました。Corona SDKだけではないですが、優秀なフレームワークやSDKを使うと、あらかじめ備わっている機能を使うだけで、完成度の高いアプリケーションは出来上がるのですが、同じフレームワークを使ったアプリケーションがどうしても似通ったものとなってしまいます。個性的なアプリケーションにするためには、デザインについてもっと気を配る必要があります。
また、IT Boot Campの前と後を、参加者のアンケートを元に披露してくれました。参加前には、Androidに対しての偏見があったと彼らも述べていますが、実際に開発者の視点を得られたことにより、視野が広がり、Androidに対しても、iOSに対しても見方が変わったようです。
最後に、IT Boot Campでチューターとして参加した者を代表して一言と言われて、筆者(及川)からも話しました。
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ITでの復興支援を目的として発足したHack For Japanが、スタッフなどが被災地を訪れるなどして、震災前に戻すよりも新しい街にすることが大事であると学び、そして、そのためには若い世代を育てることも重要であることを認識したことを伝えさせていただきました。その上で、以下の3つのお願いをさせていただきました。
まず、筆者たちのような開発者へのメッセージとして、後進を育てましょうと言わせていただきました。若い世代を育てることは健全に技術を発達させ、業界を発展させるためにも必要です。自分たちだけでなく、初心者である若い世代にも情報を積極的に共有していきましょう。
次に、筆者はこの立場でもあるのですが、企業(ベンダー)の方々へのメッセージも伝えさせていただきました。IT Boot Campが成功したのは、Corona SDKが無償で利用できたこととAndroid端末が生徒たちに無償供与されたことによる影響も大きいです。是非とも、若い世代のために必要なリソースの提供を考えて下さい。
最後に、主役である高校生に伝えました。彼らはセッションの中で、Facebook創業者であるMark Zuckerbergの「Done is better than perfect」という言葉を使っていました。私からも、是非この精神を維持し続けて欲しいと話し、さらに、最近知ったFabLabの考えである「Learn, Make and Share」、すなわち、学んだことを使ってすぐに作り、その学んで作ったことを共有することも考えて欲しいとお願いしました。これにより彼らの世界も広がり、成長を続けていけることでしょう。
高校生のセッションのサポートを行うために参加していましたが、彼らの話を聞き、彼らへのメッセージを伝えることで、またこちらが大きく学ばさせていただいたことになりました。
Hack For Japanスタッフ 及川卓也, 高橋憲一

7/14(土)に開催されるオープンソースカンファレンス仙台2012でHack For Japan ミニアイディアソンを行います

Hack For MIyagiスタッフの小泉です。

Hack For MIyagiイベントのご案内です。

7/14(土)に開催されるオープンソースカンファレンス仙台2012で震災復興のスマホアプリ企画を考えるミニアイディアソンを行います。
https://www.ospn.jp/osc2012-sendai/modules/eventrsv/?id=1&noform=1

このミニアイディアソンは昨年も行われたもので好評につき今年度のオープンソースカンファレンスでも行います。
昨年度は震災復興のアプリを考えるワークショップでしたが、今年は昨年よりもテーマをさらに絞ります。
被災地の産業復興を観光の点から考えて、観光に役立つスマホアプリを考えるワークショップです。

昨年の様子はこちらからご覧下さい。
http://www.ospn.jp/press/20110603osc2011-sendai-report.html

11:00から3F視聴覚ホール前オープンスペースで行います。
開催日程が近い中のご案内となりましたが、ご都合つく方は皆様是非ご参加ください!
https://www.ospn.jp/osc2012-sendai/modules/eventrsv/?id=1&noform=1

GLOCOM オープンデータ活用ハッカソン レポート

こんにちは。Hack For Japan スタッフの関です。
震災以降、Hack For Japan では被災地向けのハッカソンを中心に活動してきました。本ブログでご報告しているように、 Hack For Iwate での復興マッピング活動など、現地での活動も続けておりますが、最近では徐々に活動の幅を広げ、テクノロジーと社会的課題をハッカソンでつなぐことを行なっております。

オープンデータ活用ハッカソン

最近個人的にも興味があるのが、オープンデータです。6月2日に行った復旧・復興支援データベースAPIハッカソンで利用したAPIもその範疇だと思いますが、今回は、6月9日及び6月30日、7月1日の3日間をかけて、国際大学 GLOCOM で開催されたオープンデータ活用ハッカソンのオーガナイザーをさせていただきました。

ハッカソンの模様

場所・主催:国際大学GLOCOM
6月9日:アイデアソン
Togetterまとめ:http://togetter.com/li/317740
6月30日、7月1日:ハッカソン
Togetterまとめ:http://togetter.com/li/330409


アイデアソンの参加者は40名ほど。ハッカソンは30名ほどでした。


最終的に30名近くの方が7チームにわかれてプロトタイプの完成を目指したのですが、エンジニアだけでなく、市職員や議員、元県CIOの方、大学教授など多様なメンバーが集まって濃密な時間を過ごしました。

税金はどこへ行った?プロジェクト

http://spending.jp/

 私も「税金はどこへ行った」チームに参加し、手を動かしてきました。実際に開発したサイトはこちら。 http://spending.jp/あなたの年間収入を入力すると税額が表示され、その税金が1日あたりいくら、どの分野に利用されているかを表示します。 イギリスの Open Knowledge Foundation が開発した Where Does My Money Go? のソフトウェアをベースに開発していますが、データは横浜市財政局財政課が作成している平成24年度一般会計予算のデータをもとにしています。(なので横浜市税のみ対象です) 税額の計算方法は簡易的だし、表示の仕方ももっと工夫したいところでしたが、1日半で動くものができたという点では満足しています。まず「自分の税金がどう使われているのか?」ということがわかりやすく表示されることは、一般市民が政治のことを理解する第一歩に繋がるとも感じていますので、是非このプロジェクトは継続して育てていきたいなと思っています。 横浜以外のデータやエンジニアも募集しておりますので、ご興味ある方は是非プロジェクトチームまで御連絡ください(info@spending.jp)。 以下は発表時のUstreamアーカイブです。



プロジェクト一覧

他にも、以下のような興味深いプロジェクトが生まれました。(リンクはそれぞれの発表動画)

参加者のモチベーションも高く、いくつかのプロジェクトは、ハッカソン後も開発が続きそうです。
主催者や参加者のレポートも上がってきております。

今後も同様のテーマで定期的にイベントを行なっていくということです。Facebook グループで告知されるとのことですので、ご興味のある方は是非ご参加ください。
http://www.facebook.com/groups/397441130292931/

今後の取組みや課題

 Hack For Japan で活動を始めてから、「テクノロジーと社会的課題をつなぐ」をテーマに様々なハッカソンにチャレンジしてきましたが、まだまだ課題がたくさんあります。多様な人が集まり短期間で集中してアウトプットを出すハッカソンという形式はプロトタイプ作成においては非常に強力な仕掛けになりますが、そこからのサービス化には当然多くの困難を伴います。それを乗り切る為の枠組みはハッカソンは提供していないというのもあります。特にボランタリーで集まった人には、ハッカソン後の継続基盤が存在しないことが多いです。 ただハッカソンをオーガナイズするだけではなく、ハッカソン時に多様な人々に集まってもらうにはどうするか?ということや、適切なテーマ選び、ゴール設定、イベント終了後もプロジェクトが継続する為の仕掛け、社会にインパクトを与えるための舞台作りなど、考えなくてはいけないことがたくさんあります。 まだまだ試行錯誤の日々が続きますが、是非皆様のお力添えをいただければと思います。

復旧 復興支援データベースAPI ハッカソン レポート

スタッフの鎌田(@4niruddha)です。


2012年6月2日、三菱総合研究所さんの会議室をお借りして、復旧・復興支援制度データベースAPI ハッカソンを実施いたしました。
みなさんはオープンガバメントという活動をご存知でしょうか。透明でオープンな政府の実現を目的とした取り組みのことで、近年ではオバマ大統領が就任直後に“一層開かれた政府”を目指すために「透明性」「市民参加」「官民連携」の3原則を表明し、行政の情報公開や市民の政策参加などを推し進めています。その中でもアメリカ政府が保有している様々なデータをインターネットを活用して可視化するサイト「Data.gov」の活動が世界中で注目を集めており、各国でも同様のサイトが立ち上がっています。

こうした動きを受けて、日本でも国や地方自治体が提供している被災者や被災地域の事業者向けの復旧・復興支援制度を提供するAPIが公開されています。今回の復旧・復興支援制度データベースAPI ハッカソンでは、このAPIを使って、どのようなアプリケーションやサービスが開発できるか議論し、実際に開発を進めることを目的としました。APIやサイトへの問題点や要望などがあれば、経済産業省にフィードバックすることも可能です。

国や地方自治体が提供する支援制度を受けるためには、いくつかの申請項目、書類等を用意する必要があり、通常は行政書士や税理士の方々の力を借りるのが一般的です。そのため、今回は被災地で働く行政書士、税理士の方にもお越しいただき被災地での申請状況等を伺いつつ進める形を取りました。

経済産業省からの説明

経産省の守谷さんより、今回の復旧・復興支援制度データベースの活動の主旨をご説明いただきました。

震災から1年以上経った今も、被災地に必要な情報の開示や集約が行われていない現状から、国や自治体が発信している情報を一元化しネット上で公開を始めたのが、そもそものきっかけだったそうです。先の震災で国や自治体が旧来のあり方から変わらなければならないという考えも更に強いものとなり、また、被災地の復興に向けてどのように情報を届けるのか第一課題としてあるので、今後の公共のあり方としても開発者の方達と連携を深める必要があると考えていたとのことで、諸外国の中でも日本は遅れた位置にあるのでオープンガバメントという活動は今後一層の推進をして行きたいとおっしゃっていました

次に今回の復旧・復興支援データベースの説明を同省の平本さんよりしていただきました。
去年の3月11日の震災時における緊急対応から、復興フェーズでの被災者支援制度と支援制度のフォローアップを一体として可視化していくためのデータベース化、および制度の見える化サイトの必要性が高まっているという背景があったとのことです
今現在、518件の支援制度が登録されいているが、そもそもは各省庁から被災者向けのハンドブックや自治体からの通達など支援制度の情報がバラバラに配布されており、それらは日本語で書かれているのだが、フォーマットが揃っていないことなどで、被災者自身によって有用な情報を探すことが難しい現状でした。こうした現状を踏まえ、国においてオープンガバメントを推進する部門に所属することから、情報が一元化されたサイトの立ち上げ、さらにはデータベースの情報をAPIから取得可能とし、公開たという経緯がありますしかし、課題はいくつも存在しているとも平本さんは指摘されています。各省や自治体によって支援制度の内容や構成にばらつきがあり、画一的なフォーマットから情報を入手することができていないという点です。現在はシンプルさと情報の正しさに重きをおいて情報の入手に努めていますが、今後は制度を登録するタイミングで分かりやすく登録してもらうようにして行きたいと考えているとのことでした

基本的な使われ方としては、被災者の方が相談窓口などにいらした際に、行政書士さんなどが窓口でDBを利用していただき適用可能な制度を探していただくという形で利用されています。ユーザーインターフェースに分かりにくいところがあるのは十分に理解しているので、今後はそうしたところの改善も図って行きたいと考えているそうです

このようなオープンガバメントに関するご意見、ご説明を頂きました。

参加者の自己紹介

そしてハッカソン恒例の参加者の自己紹介タイムですが、今回のハッカソンでは開発者の他にも様々な方々にご参加いただきました。オープンガバメントに興味があって参加された方、行政書士という立場で復旧・復興支援制度データベースを利用されている方、海外の被災者の方をサポートしている方、行政書士、税理士の方。全体の比率で言うと、開発者が6割、その他の行政書士や税理士などの方の参加が4割といった感じでした。
また、国が提供している良い支援制度が利用者に届きにくい、分かりにくい現状を改善するようユニバーサルメニューといった形で、被災者の方々に支援制度情報を分かりやすく届けるサイト復旧復興支援ナビ」を運営されているNPO団体アスコエさんや、今回の復旧・復興支援制度データベースサイトやAPIを開発された函館の株式会社マイスターさんもSkype経由で参加されました。

開発元の方が参加したことや、今回の開発者の多くがWEB系の経験をお持ちだったこともあり、既存のサイトに対する意見やAPIに対する意見など、復旧・復興支援制度サイトやAPIの改善について非常に建設的な議論ができたと思います。

被災地で働く税理士さんからのインプット

今回のハッカソンでも被災地の現状を共有し、アイデアに活かすという観点から、いわき市に在住で被災者の方に支援制度を案内している税理士、木幡仁一さんに現地の状況をお話いただきました。

被災直後の状況

福島第一原発から50kmほど離れた場所にお住まいで、4号機の話に関しては今現在も予断を許さないことから毎朝状況を確認されていて、被災直後は海から離れていたが自宅は全壊、事務所は無事といった状況だったとのことです。ちょうど3月11日は確定申告の締切ギリギリであったため、小名浜で申告の手伝いをされていたそうです。

震災直後は電話不通、メールも時々しか繋がらないし、ネットも光回線が2~3日不通の状態が続き、電子政府の一環でネット対応していたため、光回線が不通だと仕事が全くできなくなったそうで、こうした面でも我々インターネットが生業に不可欠な業種にとって、考慮しておくべき課題が明らかです。また、スタッフとお客様の無事の確認された後、原発の話が挙ったそうなのですが、当初、地元では深刻に受け止めれられていなかったとのことでした。しかし、事態が明るみになるにつれ、深刻な状況ということが分かり、14日の午前中に事務所の作業をとりやめ、バックアップを持って車のガソリンで逃げれるところまで逃げてくれと指示を出してスタッフに解散命令を出し、避難をしたのち17日に事務所再開のための準備に着手して、28日から事務所を再開されたそうです。

被災地での対応

震災直後の混乱時に金融機関からの引き落としなど、お金の運用面が被災地で事業を営むお客様の心に最も心配を与えていたとのこと。そこで各金融機関に震災時の緊急対応の状況を電話でヒアリングをして、その状況をホームページで掲載。確定申告直前での震災であったため、金融機関は融通が利いたが、リース会社など一部の所は問答無用で引き落としが行われる等、被災者の方々が知らなければならない情報も数多くあったそうです。その後も継続して金融機関の情報を発信することで被災者のサポートを行ってこられたとのことでした。

支援制度の現状

国や自治体の用意する支援制度はその種類も多種多様なだけでなく、対象となる支援先の定義も多種多様であるため、利用に際した判断が非常に難しいものとなっていて、支援制度自体も被災の状況が明らかになるにつれ、その内容に変更が加わったりもしたそうです。
例えば、支援制度の1つに、津波で流された家と家の境界となるコンクリートの基礎の部分を対象としたものがあったが、その支援制度ができた当初は家の基礎の部分は線引きの判断対象には含まれていなかったなど、支援制度も運用の実態の中で変わることもあれば、必要な手続きや中身が簡略化されたり、定められた期限が変わったりすることもままあるようです。
他にも支援制度の申し込み案内が細かすぎて、すべてを精査できる税理士さんのようなプロでないと、どの支援制度が良いのかといった判断がつかないものも多数あるのが現状とのことでした。

こうしたプロである税理士さんが仲介せずに個人で申請などを実施したケースで申請が不受理された場合などでは、その理由がクローズドなものになってしまい、知見が共有されずに支援制度の導入が被災者の間で進み辛くなってしまう等の問題も指摘されていました。
その後の質疑応答にて経産省の守谷さんから説明があり、復旧・復興支援データベースAPIで提供する国や自治体の支援制度は、データの正当性に重きを置いているため情報量が冗長になりがちで、仲介する人間が存在するという過程で作られているとのことから、将来的には直接利用者に届くデータも提供も視野に入れているとのことでした。

アイディアソンからハッカソン

さて、午後は国や被災地域からのシェアに基づき支援制度を被災者や被災地域の事業者の方々に向けて、より届けるために何ができるかという視点でアイディアソンを実施し、その流れでもの作りをできるところはハッカソンに移るというスタイルで進めました。チーム分けはアイデアがある人や、テーマを定めてそちらに賛同する人が集まるという形で実施し、以下のチームに別れて作業を開始しました。

中身検索ビジュアライズ

このプロジェクトは、これまでHack for Japanのハッカソンにも何度か参加してくださっている冴木さんが、復旧・復興支援データベースに登録された国や自治体の支援制度には様々なものがあり、これらを検索して利用するシステムに疑問を感じられ、それをきっかけに復旧・復興支援制度を視覚的に分かりやすくビジュライズ化しようとする発想のもと、今回のハッカソンに向けてプロトタイプを事前に作られていました。
一目で全体像が見渡せるデザインと制度間の関係性を明らかにするために、登録されている支援制度のデータを基にクラスタ分析を行い、他の支援制度との関係を樹形図に表すことでその関係性を可視化し、ディレクトリをたどることで求める支援制度にたどりつくようなUIを模索する中、現在登録されている支援制度のデータフィールドにおける「内容」フィールドは分かり難いものだが分類自体は細かくできたり、「対象者」フィールドは見ると対象者は分かりやすいが分類はし辛いなどの特徴を見ることができたそうです。これは支援制度のデータ登録時におけるフォーマットのバラツキであったり、支援制度自体のバラツキであったり、その原因は様々なものがあるかと思いますが、副産物としても復旧・復興支援制度データベースに対する課題提起という側面があった有意義な発表でした。

検索ノーマライズ

続いて、こちらも参加前にアイデアを暖めてくださった本間さんらによるもので、個人向け支援制度の検索を試していた際に「こども」だとヒットするが「子供」だとヒットしないなどの問題に気付かれた参加者の方が、漢字でも仮名でも検索にヒットしたり、完全一致だけでなく、曖昧一致などでも復旧・復興支援制度データベースの検索結果でヒットさせようという試みでした。発表では本文から仮名データを作成し、仮名検索の実現や類義語で自動検索をしたり、検索候補のツリー表示や、分かり難い検索画面のデザインの見直しなどの提案が行われました。検索ノーマライズチームはハッカソンから数日で第一弾をリリースし、現在も随時アップデートを行っています。(http://masap.sakura.ne.jp/hack_for_japan/search_normalize/



ダッシュボード

伊津野さん、久保さんによるダッシュボードチームでは、検索する行為自体の障壁を下げるために、面倒な検索作業をより簡単にするためのアイデアをたくさん発表していただけました。その中で実際にAPIを利用してみた際に気付いた課題等も共有していただけました。
まず、どのチームからも共通して出た意見として「被災者や被災地域の事業者にマッチする支援制度を探し出すのに一苦労する」という点で、復旧・復興支援制度データベースを利用する人にマッチしたおすすめであったり、支援の期限が迫っている支援制度を優先表示するなど、支援制度の検索結果に関する指摘がありました。また、検索結果をそのまま利用するためにファイルのダウンロード機能の実装や、カテゴリを選択した瞬間に支援情報を表示するなどの案がエンジニア目線でのUI改善案として提案されました。
また、APIを触った感想として、都道府県別や役所毎の支援制度の数をグラフ化しようとしたり、日付順で支援制度を表示しようなどと試みたが、そうした情報がフリーフォーマットのフィールドにばらついて登録されているため、そこから抽出するのが困難な構造になっていて、支援制度の詳細な情報に正しくたどり着くのが難しかったことから、登録時の入力フォーマットなどに対する建設的な意見が提案されました。さらにAPIが返すデータとしてJSONが必要と言った、Webエンジニアの目線での利用促進案が提案されました。

地理情報

嘉山さんらによるこのチームは被災者が制度を利用する時に地理情報を元に利便性を向上させることを目的として発表を行っていただきました。まず、支援制度は複雑な申請フローに加えて、たくさんの申請書類が発生しますが、それらの書類をどこで入手したらよいのかをいちいち探し出すのが申請者にとって負担になっているのではないか?といった仮定でアイデアをブラッシュアップされていました。
被災地域では津波や原発問題により、居住区が元の場所とは異なっている被災者の方も多く、また申請に必要な書類を入手できる役所も一カ所とは限らないことから、窓口での手続きの負担を下げるために、制度を選択すると手続きしたい人の現在位置の位置情報を元に、申請に必要な書類とその書類を取得できる役所などが表示され、それがTODOリストにでき、地図とも連携して表示するサービスのアイデアを提案していただきました。さらには近隣の手続きを相談できる税理士や司法書士の方のリストやその事務所への地図等とも連携することで、支援制度を利用する負担を大幅に軽減できるものです。ただし、これを実現するためには既存の復旧・復興支援データベースの情報では足りないものもあり、今後の改善案として、申請書類とその取得先の対応関係のデータや、申請書類の提出締切などの期間データの提供を復旧・復興支援データベースに求められていました。

プレゼンソン

峯さんと牟田さんによるこのチームは復旧・復興支援データベースに登録されている支援制度が複雑で、どういった条件で、どういった人が対象で、いついつまでに申請しなければならない等と言った情報が分かり難く表現されているため、これを誰でも分かるレベルまで噛み砕いてスライドにすることで、被災者の方が支援制度を知り、有効活用できるように支援するものとなりました。

当初はたくさんあるものの登録されている支援制度の大部分をスライド化する見込みは立っていましたが、実際に行政書士の方と組んで実施したところ、1支援制度あたり2人で1時間スライド化するのに時間がかかったそうで、想像以上に困難だということが分かりましたが、この活動は引き続き北鎌倉のワークスペースにてプレゼンソンという形で引き続き実施される予定です。

Facebookプッシュ

このチームは支援制度を必要としている被災者や被災地域の事業者向けにプッシュ通知で送ることができないかを検討したチームで、議論の中で被災地でFacebookを利用している人は少なかったが、震災時からTwitterを利用する被災地の方が増えたという情報を元にユーザーがTwitter上でOAuth連携を行うことで、登録された居住区に対する申請が追加された際にプッシュ通知でお知らせしてくれるというサービスのプロトタイプを開発し発表してくれました。



復旧復興支援ナビ

このチームは復旧・復興支援データベースで公開されているような支援制度をより分かりやすく、被災者の方が見つけることができるようにユニバーサルUIという方針のもと、データ提供しているNPO団体のアスコエさんが公開している復興支援ナビを改善するために、何ができるかという検討を行政書士さんや税理士さんを中心に議論されました。
議論の中で、こうしたサイト運営にかかる費用面の問題が大きく、そのことからサイトのマネタイズによった案が多く寄せられ、そこを起点にサイト改善、被災者へのよりよいデータ提供と言った形に議論が発展し、発表が行われました。




カレンダー

Hack for Japanのスタッフが多かったこのチームは、いくつもある国の支援制度でも締切などの期限があるところが可視化されていない点に着目し、カレンダーなどで分かりやすく表現するためのアイデアを発表していただきました。
まず、APIを経由してcronでGoogleカレンダーにデータをインポートし、制度開始、申請開始でエントリーと締切でエントリーを実施し、その結果をTwitterのbotで地域ハッシュタグ付きでTweetするなどの利用例をいくつか挙げてもらいました。しかし、その過程でAPIの課題であったり、登録されている支援制度のなかにフリーフォーマットで登録されているものが多く、「窓口にお問い合わせください」という形でシステムとして利用するには困難なものや、制度自体に依存関係が存在し、申請するには他の制度の申請が必要だったりするものがあり、単純にカレンダーに紐つけることが難しいものがあるため、よりシンプルな形での支援制度のあり方の指摘に繋がりました。

API機能追加

私も参加したこのチームでは公開された復旧・復興支援データベースAPIの問題点をインターネット企業に務めるメンバー全員で棚卸しして列挙し、このAPI自体がもっと利用されるためにはどうしたらよいかを議論し、参加されている経産省の方や開発に当たったマイスターの方々にお伝えすることで改善を促すことを実施しました。 まず、大きな問題として最初に指摘させていただいたのは、公開されているAPIの仕様がPDFやWORDで公開されており、WEBでの閲覧性を高めるためにHTML化を実施する要望を出させていただきました。先の震災でも政府から公表されるデータがことごとくPDFであったため、公開データを利用しようとするエンジニア達がわざわざOCRにかけてテキスト情報を抽出するといった手間をかけていたためです。
これに対し、チームメンバーの三部さんにより、その場でPDFのAPI仕様書をHTML化して公開をして、インターネット企業のスピード感を感じる一幕も有りました。
HTML版 ※6/2時点でHTML化したものにつき、仕様の閲覧は本サイトを推奨http://dmikurube.github.com/r-assistance-API/API-reference.html
その他もAPIのレスポンス構造からシステムのデータベース設計まで想像できるような形であり、APIのレスポンスとしては不自然な箇所やフリーフォーマットが多いため、その中に必要とする情報が埋もれてしまうことから、自然言語処理をかけることで特徴語などを抽出し、タグ化などを行うことで情報への到達性を高めるための工夫を提案しました。

支援制度登録のつぶやきbot

ハッカソン当日ではありませんが、後日、参加者である返町さんが、復旧復興支援制度が登録された翌日につぶやく非公式botをリリースしました(Twitterアカウントは@rrasbot)。searchSupportInformationsで、IDを拾ってきて、各IDからgetSupportInformationで詳細を拾うというものです。申請期間から、「もうすぐ開始です」、「開始されました」と言ったことをつぶやくことを目指したものでしたが、申請期間のフォーマットがまちまちなためデータベースに登録された日の翌日につぶやくようになっています。

このハッカソンを通じて

今回のハッカソンを通じて、復旧・復興支援データベースAPIを公開している経産省に対して、利用者側からの様々な意見を提示することができました。
すばらしい支援制度がいくつもある状況であるのに、それが求められている被災者や被災地域の事業者に届いていなければ意味がありません。その状況に問題意識を持ちオープンガバメントの概念で支援制度を集約してデータベース化しAPIとして公開した経産省、そしてそのAPIでハッカソンを実施し、そのAPIに求められる機能等を利用者の立場から改善案を提言したり、APIを利用したサービス案を出し合い実際に開発したりする今回の参加者の方々など、オープンガバメントの名の下に政府と共に国をより良くするための市民参加がうまく行えたハッカソンとなりました。
しかし、これはきっかけに過ぎず、この活動を通してより支援制度が利用者に対して提供しやすくならなければなりません。オープンガバメントの活動も我々の税金によってまかなわれているという点で、その効果が現れなければ、すばらしい試みだとしても継続していくのが困難になっていきます。当日のハッカソンに参加できなかった方も、このブログをご覧になった方々も、ぜひ復旧・復興支援データベースAPIを利用し、サービス開発をしていただき、課題や問題があれば政府に対して要望としてフィードバックをしていただければと思います。  



当日のUSTは以下からご覧頂けます。
http://www.ustream.tv/channel/hack4japan

Hack For Iwate Vol.4 – 復興していく三陸の店舗を記録しよう! –

Hack for Iwate メンバーの桝澤です。

2012年3月20日(祝日)岩手県釜石市にてHack for Iwate Vol.4 「復興していく三陸の店舗を記録しよう!ワークショップ」が開催されました。

今回のイベントは、2012年1月に開催したHack for Iwate Vol.3にて話題に登った「復興したショップを可視化したい」というお題に対し、OpenStreetMapFoundation古橋さんから「地図共有サービス:OpenStreetMap(以下OSM)を活用しては?」「必要であればOSMメンバーが現地で講習会を開催しますよ!」という提案があり実現に至りました。

Hack For Iwate 第3回アイデアソン

▼参加者は、岩手県、または三陸地域の方を優先

そこには「OpenStreetMapを学び、そして、ここで覚えたスキルを使って自分たちの手で復興していく三陸の店舗を記録して貰いたい」という願いが込められています。

▼Togetter

■2012年3月19日(月)前夜祭

岩手県釜石市にある「養老乃瀧釜石店」にて、前夜祭が開催されました。
参加者は、Hack for Japan/Iwateの岩切さん、そしてイベント講師であります古橋大地さん(@mapconcierge) と 関治之さん(@hal_sk)を始め、イベント参加者、更に釜石市の復興に携わるメンバーが20人以上(!)駆けつけました。

なお、予習ということで古橋さんから翌日の説明を頂きました!酔ってません、真剣です!

明日は頑張りましょう!

■2012年3月20日(祝日)

集合場所は釜石市大町にある「ジャズタウンホール」

釜石市大町は津波の浸水地域でしたが、タウンホールさんの店舗は2Fにあり、津波の直撃を避けることができました。(2011年8月に営業を再開しておられます。)
JAZZを聞きながら美味しいお酒とコーヒーを頂けて、更に優しいマスターが迎えてくれるという素敵なお店です。釜石にお越しの際は是非お立ち寄り下さい!

なお、ジャズタウンホールさんには、今回特別に場所の提供をいただきました。
ありがとうございます!

さてワークショップがスタートします。

■ はじめに

参加者は、当初定員を大きく上回る総勢43名。岩手県沿岸地域(釜石市、山田町、陸前高田市、大船渡市、久慈市)、盛岡市、一関市、東京、埼玉、そして広島からもご参加頂きました。

■ 9:00-9:30 概要説明

講師の古橋さん、関さんから今日の段取りとOSMの基本的な説明。
資料

皆さんメモをとりながらも真剣に説明を聞きます。

▼古橋さん「作業の半分はフィールドワーク。OSMって実は肉体労働なんです。」

OSMで地図を作るには「足を使って情報を集めるフェーズ」「パソコンを使って地図を作るフェーズ」の2つのフェーズがあるそうです。
今回のワークショップは、その2つのフェーズを実践します。「午前は街を歩き情報収集!」「午後は収集した情報をOSMに入力してみよう!」という段取りとなります。

▼古橋さん「OpenStreetMapの釜石の地図は、誰が作ったと思いますか?」

2010年ハイチ地震に伴う津波後、このOSMを使い、世界中のマッパーがハイチの地図をものの数日で作り上げたそうです。今回の東日本大震災の際「日本人は、ハイチの時に地図を描いてくれた。今度は我々が助ける番だ」を合言葉に世界中の方が東北の地図を描き、震災後の釜石市の地図に至っては外国の方(国籍不明)が書いてくれたそうです。
*ワークショップ後、こちらの方にイベント後の釜石のマップを添えて、感謝のメッセージを送っております!

▼横浜サテライト会場でも絶賛作業中!

同日、横浜にサテライト会場が設けられ、このワークショップと同時進行で釜石市の地図を作成してくれているとのそうです。
(はじめはピンと来なかったのですが、ワークショップ前後の釜石の地図(OSM)をみて「なるほどこういうことか!」と実感しました。サテライト会場の皆様、本当にありがとうございました)

OpenStreetMapは「みんなで作る地図」

  • たとえるならば「Wiki地図」
  • 普通の地図は著作権に守られているので、複製・改変はNGですが、OSMは複製・改変可能、道路中心線も使える、商用利用可能など、とにかく便利!
  • OSMは地図データの入れ物。美しく描画するにはたくさんの情報(とHack)が必要!
  • 紙データも使えます!(但し、利用許諾をとりましょう!)


▼陸前高田市・新店舗マッププロジェクト 通称「金太郎マップ」

説明の中で「陸前高田市・新店舗マッププロジェクト」(通称「金太郎マップ」)を実際にOSMに登録した例が挙げられ「地域にあるローカルマップをOSMに集約することのメリット」について説明がありました。
なお、金太郎マップとは「陸前高田市の仮設店舗がどこで営業しているのか分かる地図が欲しい」と陸前高田市商工会議所より神奈川県へ依頼があり作成されたもので、現在も陸前高田市で活用されているマップです。

記載内容は店舗の営業時間、ATM利用可能時間まで詳細多岐に渡ります。更に手書きベースということもあって「ぱっと見の親しみやすさ」が印象的なマップです。ゆえに現地の高齢者を含む幅広い年齢層に受け入れられているのでは?とも感じます。

被災地には金太郎マップを始めとした「ローカル地図」が存在すると想いますが、こういった「ローカル地図」をOSMに展開(登録)していくことは、被災地の方に利用されるだけでなく「被災地以外の方が現地の情報を仕入れる手段」となりえると感じました。


▼街を歩いて情報を集めよう!(どんな情報をあつめるの?)

基本的にはGPSロガーを持って街を歩き、街の状況をメモしていくという手順です。段差がある、人が通れる道、そういった現地でしか知りえない細かい情報も大切です。
なお、今回は「復興していく店舗を記録」というテーマがありますので、お店を見つけたら以下の情報をメモしておきます。

  1. お店の名前(ふりがな)
  2. ジャンル
  3. 営業時間
  4. 電話番号
  5. 再開時期(いつから再開したか)


■ 9:30-12:00 街歩き(お店の地点情報、移動軌跡を取得)

仮設店舗が集約しているエリア、津波の被害を受けた商店街エリアの2グループに別れて行動します。

  • 釜石駅周辺チーム(関さんチーム)(仮設店舗が集約しているエリア)
  • 青葉通りチーム(古橋さんチーム)(津波の被害を受けた商店街エリア)

古橋さんよりGPSロガーの操作説明を受けてスタートです!

GPS:GARMIN

釜石市在中、または釜石市出身のメンバーが中心となって各地区の担当割を行いました。

この日は、新日鉄釜石製鐵所の煙も流されるほどの強く冷たい風が吹き荒れた日でした。生粋の東北人である私でも寒さに震えるほどでしたので、関東からいらした方にとっては更に辛い天候だったかと思います。

営業されているお店を訪問。趣旨の説明と了解を頂き、営業時間等のヒアリングを行います。
*なお、こちらのお店は津波により元の場所での営業が出来なくなったため、別の場所で営業を再開したお店です。

沿岸地域からワークショップに参加された方の中には、もう一度お店を再建させたい!という同じ境遇の方も多数いらっしゃいました。ヒアリング中に「大変ですが、いっしょに頑張りましょう」と交わされる言葉に非常に深い想いを感じました。

こちら釜石駅近くの鈴子仮設商店街「釜石はまゆり飲食店街」

こういった立て看板も大事な情報のひとつです。

▼「現在、宿泊されるお客さんに街の案内が出来ない。早く作って欲しい!」ホテル関係者

ヒアリングを行ったホテル関係者からこういったお話しがありました。
釜石市では、現在も建物の取り壊しであったり、道路の整備作業が行われている為、ボランティアの方のみならず、他県から多くの工事関係者の方が市内のホテルを利用されています。
ニーズは確かにそこにあります。そう思わせられる一面でした。


■13:00-14:00 アームチェアマッピング(タウンホール・AOBAの箱)

午後は、午前中に集めた情報をOSMに入力していきます。
2チームそれぞれ「ジャズタウンホール」「KAMAISHIの箱AOBA*」に分かれ、古橋さん、関さんより説明を受けます。その後、取得したGBSデータ、またはメモをもとに、自分が歩いた道やお店をOSMに登録していきます。

*KAMAISHIの箱AOBAは、2012年4月1日「インターネットdeかだって」と名前を変え、市民の方が自由にインターネットに触れることが出来る場所となっています。

ちなみに「インターネットdeかだって」は、Hack for Iwate Vol.1 (2011年6月開催) にて「仮設住宅に暮らす人々が少しでも快適に暮らせるようなICTのあり方を検討しよう」と立ち上がったプロジェクト「仮設ネットカフェ」が、岩切さん、アットマークリアスNPOサポートセンターの鹿野さんを始めとするメンバーの活動により形となったものです!

Hack For Iwate 第1回遠野アイデアソン・ハッカソン(2011年6月)

釜石まるごと情報Web Cadatte(かだって)

「KAMAISHIの箱AOBA」入力方法について関さんから説明中。

■14:00-15:00 AOBA会場に移動して質疑応答と次回の話

「ジャズタウンホール」チームも「KAMAISHIの箱AOBA」に移動して、全員で質疑応答です。

参加者からの質問に答える関さん

▼入力に手間取る方もいましたが、これは「慣れ」でカバー

OSMへ登録は、大まかにレタリング(線を引く)、属性を「OSMに用意された各種タグ」に登録すると
いう作業になります。今回は入力用アプリとしてWebベースの「Potlatch 2」というOSM標準アプリを
使いましたが、殆どの参加者は初めて見るインターフェイスであり、更に「どのタグを使えば良いの?」
のという疑問が生まれ入力に手間取る場面が見受けられました。
但し、OSMの入力は「線を引いて、タグを登録していく」というシンプルな仕組みですので、こちらは使い続けることで解決するのでは?と感じました。(要は慣れの問題)

▼作業前と作業後のマップ

左が作業前、右が作業後の状態です。(横浜サテライト会場の作業含む)
「世界中の人が作っている」「直ぐに更新される」という点を実感しました。


■閉会:恒例?のじゃんけん大会

岩切さんから閉会のお言葉。そして、HackForJapan恒例?のじゃんけん大会。
勝ち残った3名の方に岩切さんから書籍のプレゼントです。おめでとうございます!

皆様、ご参加ありがとうございました!またお会いしましょう!

■余談

今回私は岩手県山田町(津波被害が甚大な地域)から参加された、漁師さん、幼稚園の先生、更にタクシー会社社長さんと言う幅広い職種の方々と同じチームでした。

「自分たちで自分たちの街の地図を作って、それを皆が使ってくれたら嬉しいし、自分の街のことだから自分たちでやりたい。だからもっとスキルを付けたい」

そのうちのお一人がおっしゃった言葉です。

1年たった街を自分の足で歩き、直接その街で生きる人達と接することで見えてくるものがある、もう一度何が出来るのかをよく考え、そして、次回もう必ず開催したいと思えた一幕でした。

なお、開催するにあたり、関東からおいでになりました講師の方々、HackForJapanの皆様、そして岩切さん、場所をご提供頂きました「ジャズタウンホール」さん、釜石市役所の皆様、アットマークリアスNPOサポートセンターさん、遠野まごころネットさんに心からの感謝を申し上げます。まことにありがとうございました。

Hack For Iwate メンバー桝澤信好

■掲載サイトまとめ

【WebRock】3/20 Hack For Japan 釜石OpenStreetMap勉強会レポート
【日経電子版】(4/2) 釜石で始動、万人参加型の電子復興地図

Hack For Japan 1年を迎えるにあたって

震災から1年を振り返って

本ブログエントリーは「Hack For Japanの今後に向けて」と「1年間の活動報告」の2部により構成されています。

震災2年目を迎えるにあたり、スタッフ一同で執筆したものです。是非ご一読ください。


Hack For Japanの今後に向けて

はじめに

震災復興を継続的に支援するためのIT開発を支えるコミュニティとして、昨年3月11日の震災直後にHack for Japanは発足しました。

Hack for Japanの運営を行っているスタッフはもちろんのこと、主旨に賛同いただいた参加者の方々にとっても、大震災における状況下でのコミュニティ活動ははじめての経験が多く、試行錯誤を繰り返し、戸惑う場面もありました。

そこで震災から1年を迎えるにあたり、スタッフで話し合った活動の振り返りやこれからを皆さんと共有するためにこのブログエントリーを作成いたしました。

Hack for Japanのこれからの活動を実りあるものにするために皆さんにもぜひご一読いただき、ご意見などある方はFacebookやメールでお知らせください。

活動全体で評価できる点と改善点

評価できる点

1000年に一度とも言われる大震災で、各自が「何ができるか」を真摯に考え、その想いがIT業界の企業の垣根を越えた活動へとつながっていきました。その結果、普段なら決して出会えない面々とチームを組んで開発を進めていくという、貴重な体験を得られた方もいらっしゃるでしょう。こうした開発者同士のつながりだけでなく、被災地での活動を通して、東京と被災地のITコミュニティをつなげられたのも評価できる点です。

またHackathonなどの活動に参加いただくことで、多くの方々にハッカー文化に触れる機会がもたらされました。この経験から“ハッカー文化を広く普及していく”というHack for Japanの将来へわたる展望を見いだすことができました。

Hack for Japanの存在は「開発者を中心としたコミュニティ」「名だたるIT企業の支援」といった点が注目され、マスメディアで記事として取り上げられ、開発者の復興支援を促すことで、風化防止の一助になった側面もあると思われます。

最後に微力ではあるもののTシャツ販売を通して、寄付金による支援が行えた点も記しておきます(※2011年7月~2012年1月までで237,554円を寄付しました。ありがとうございました)。

改善すべき点

プロジェクト実現を目指したマッチングにこだわりすぎていたという反省から、以下のような改善点が挙げられています。

  • 他のボランティア団体などとの連携を早期から考えるべきだった
  • Googleモデレータでのアイデア投稿は面白かったが、Hackathon/Ideathonとの連携が難しいと分かった時点でその見直しをかけるべきだった
  • マッチング=プロジェクト遂行のためのパイプラインというコンセプトにこだわりすぎず、コミュニティの役割を考えるべきだった

またHack for Japanがコミュニティの場としての機能を果たしていなかったという意見もあり、以下のような改善点が挙げられています。

  • 参加者への意識付けが弱く、高い意識を保ち続けられる方法が必要だった
  • 8月のJILS(Japan Innovation Leaders Summit)でのHack for Japanの活動紹介後、12月までのバスツアーまで東京の参加者たち向けの場が提供できずにいた。Hackathonにこだわらず場の提供をすべきだった
  • 何かプロジェクトを起ち上げたいという人に対して門戸を広げ、サポートできる場が必要だった
  • 後半はスタッフのミーティング内容を公開せずにいたため、スタッフと参加者との間での意思疎通が図られなかったことがあった
  • 参加者各自がより交流でき、またプロジェクト同士の交流も図られるような場も必要だった
  • プロダクト完成まで導くために各プロジェクトの状況を把握しサポートする必要があった
  • スタッフが場の提供をして、希望者がそこに参加するという図式にこだわらず、参加者がより主体性を持って活動できるような運営方法が必要だった

Hackathonの評価できる点と改善点

被災地で役立つものを開発するという目的から、開発者たちをつなぎ、開発を形にしていく場であるHackathonは、Hack for Japanの中心となる活動の場でした。この活動で得られた評価できる点/改善すべき点を以下に記します。

評価できる点

  • 会場を確保して行うイベントのため人を集めやすい
  • 開催告知を通してメディアからの取材が入り、記事となることでさらに開発者の参加を促すことができた
  • さまざまな立場の人たちと議論や作業を進めることが可能だった
  • 被災地でも開催され、今後は各地で異なるニーズに合わせたHackathonが継続的に実施される見通しである

改善すべき点

<プロジェクト継続を促すサポート>

  • Hackathonを実施することにこだわりすぎたため、Hackathonが終わると開発が止まってしまう、もしくは尻すぼみになり立ち消えてしまうプロジェクトが見られた。どのように開発を進めていくか、いつまでに形にするかといったプロジェクトを継続するためのサポートが必要だった

<Hackathonの形態そのものを見直す>

  • ニーズを把握し切れていない/使うレベルまで達していない/短期間での成果にとらわれすぎてアイデアが練られていない/チームメンバーが不足していた/チーム編成を改善する機会が得られなかった/プロジェクトマネージャやデザイナなどが少数だった/被災された方の視点から意見する参加者が少数だった/といった点から、Hackathonの形態そのものを見直し改善する必要がある

継続すべきアクティビティ

Hack for Iwate、Hack for Miyagi、Hack for Fukushimaとして各地で独自の活動が行われていきます。
Hack for Iwateでは、「仮設住宅でのネットカフェ設置」「音楽スタジオ計画」「復興ショップマップ」など具体的に複数のプロジェクトが進行しており、Hack for MiyagiやHack for FukushimaでもHackathonやその他の活動が行われていく予定です。これら各地の活動に対して、東京や他の地方から開発で復興支援していきます。また他のボランティア団体との連携にも取り組んでいくため、こちらも東京での活動が予想されます。

今後の活動について

Hack for Japanでは復興支援活動だけでなく、これからの災害に備えた活動やハッカー文化を浸透させる活動など、復興支援に限らない活動も考えています。これらについて検討中の活動を以下に記します。

  • 今後の災害に備えるための活動
    • IT防災訓練
    • 災害支援ツールの開発
  • ハッカー文化(Hackathonなど)を浸透させる活動
    • Random Hacks of Kindness / Hackathonをパッケージ化
  • 若年層へのIT教育を支援する活動
  • 被災地のエンジニアと東京のエンジニアの交流促進
  • NPOやNGOと連携した海外への活動の発信
  • アーカイブ(記録)のための活動
    • アーカイブをテーマにしたHackathon
  • Hack for Japanの活動および実績の可視化

1年間の活動報告

2011年3月3/19-21 Hackathon (The Beginning)

  • 3/19-20 はオンライン(Wave)上にてIdeathon
  • 3/21 は京都、岡山、福岡、徳島、オンラインにてHackathon
  • オフライン会場の参加者数
    • 京都 62人、岡山 10人、福岡 7人、徳島 4人
  • オンライン上の参加者数
    • Google Moderator – 565 人の参加、258 個のアイデアと 5447 の投票
    • Google Wave – 1279 個のコメント
  • 開催報告ブログ

4月4/3 第1回スタッフミーティング にて1年間は活動を続けることなどを確認
4/7 被災地視察。被災地の現状を把握。現地のITコミュニティとのパイプが作られ、その後のHackathonの開催などにつながる。スタッフの及川卓也と山崎富美が最大の余震に遭遇。(及川のブログ山崎のブログEnterpriseZineの記事
4/24 Hack For Fukushima ミーティング

  • 会津若松市、会津大学にて開催
  • 福島県内だけでなく仙台、東京、他にも様々な地域から約40名の方が参加
  • 開催報告ブログ
5月5/21-22 Ideathon and Hackathon

  • 仙台、会津若松、東京、高松、福岡の5会場にて開催
  • 5会場合計で1日目に131名、2日目に87名の参加者
  • 東北の現地で初のHackathonで各会場をustで結んで連携
  • 開催報告ブログ
6月6月から7月にかけて、岩手、宮城の沿岸部を訪問

  • 岩手への訪問では後の遠野まごころネットでのHackathon実現につながる。
7月7/23-24 Ideathon and Hackathon

7/23, 30 Ideathon and Hackathon

8月8/6 Japan Innovation Leaders Summit リクルート主催のイベントで MIT 石井教授と共に登壇してこれまでの活動を紹介

9月9/27 プロジェクトディスカッション

  • 東京
  • 18名の参加者
  • 震災復興に役立つものか、プロジェクトを見直す機会を設けた。
10月10/15-16 Hack For Iwate 2

  • 遠野まごころネット
  • 15名程の参加者
  • 仮設ネットカフェの実現に的を絞ってアイデアソンを開催
  • 開催報告ブログ

12月12/11 Hack For Miyagi

  • 仙台
  • 17名の参加者
12/17-18 復興ボランティア情報交換会@石巻

2012年1月1/14-15 Hack For Iwate 3

  • 1日目は大槌町、2日目は釜石市
  • 12名程の参加者
  • 仮設ネットカフェと音楽スタジオの融合、Hack For Iwate の2012年の活動について
  • 開催報告ブログ

Hack For Iwate 第3回アイデアソン

こんにちは。
Hack For Japan Vol.3をオーガナイズした遠野まごころネット企画チームの高橋和氣です
今回は、「Hack For Iwateの新年会」を行いたいねと、Hack For Japan岩切さん、@リアスNPOサポートセンター(以下@リアス)鹿野さんと話をしていたことを受けて、日程調整し、1日目は大槌町、2日目は釜石市、それぞれ2011年末にオープンした仮設商店街のコミュニティスペースを使って、被災地には雇用を被災地以外には情報をテーマにアイデアソンを開催することにしました。

1月14日:音楽スタジオを作りたい!計画会議
被災した大槌北小学校のグラウンドに建設された仮設の「福幸きらり商店街」。
もともと地元にあったお店が中心となり、39店舗が入っています。駐車場込で東北最大級とのこと!



この中に、地元のNPO等の団体が集うコミュニティスペースができています。名付けて「きらり駅」。無料乗り合いタクシーの停留所で待合所も兼ねています。このブースは、遠野まごころネットのスタッフが常駐し運営しています。今後は、広く、大槌町のまちづくりを考えてゆく、様々な支援団体のコラボレーションの場になっていければと考えています。


今回の主題ですが、前回のHack For Iwate 2でも話題となりましたが、「仮設ネットカフェと音楽スタジオの融合はどうだろう?」ということの深堀が今回のメインテーマです。
http://blog.hack4.jp/2011/10/hack-for-iwate.html参照)
いわゆる「IT系」でない方々にも来ていただき、ブレインストーミングしました。

初めて参加された方々もいらっしゃったので、まずは、岩切さんより、

  • Hack For Japan
  • Hack For Iwate

http://www.slideshare.net/iwakiri/hack-for-iwate-vol3-20120115-11075387
(この議事録内の冒頭)の説明
それに加えて、Hack For Iwateのメンバーもリンクしている

の説明をしていただき、情報共有。
そして次にはじめての方々を中心に、自己紹介タイム

中でも、熱くスピーチ(30,40分ぐらいかかった???)してくださったのは、和Ringプロジェクト 代表の池ノ谷さん。
埼玉出身で、今回の震災を機に、各地でボランティア活動を行い、その中で、もともと東京で親しくなっていた釜石出身の青年の「地元のために頑張りたい」という想いを後押しすることもあり、和Ringというガレキで作ったキーホルダーをつくっています(詳細は公式サイトで)。
地元の方々と親しくなり、大槌町の役場近くに「この土地を使ってよいから!」と土地を確保、これから、瓦礫の廃材を使って、ここにガレキキーホルダーの工房をつくる予定です。
また、東京や世界でDJを行っていたり、野外パーティーイベントを主催していた経歴も持っています。池ノ谷さんと話す中で、作ろうとしている工房の隣に、地域の方々が集まれる「カフェバーを兼ねたライブハウス」をつくり、今後の「まちづくり」を考えられる拠点にしたいとのことです。

この和Ringプロジェクトにご夫婦で参加されてる、佐々木秀樹さんも、前回のHack Forから引き続きご参加くださいました。秀樹さん自身も被災され、現在は紫波町在住、ご実家は、大槌町で一番大きい和野の仮設団地にお住まいです。NPO吉里吉里国のウェブサイトを手掛けてもいます。(吉里吉里国、復活の薪では、ログハウス造りを今後は展開。遠野まごころネットも一緒につくりあげてゆこうと思っています)

また、被災前からある地元大槌のNPO「ぐるっとおおつち」から、震災後にサポートメンバーとして入っている千田さんもいらっしゃいました。
ほぼ地元の方々で構成されている「ぐるっとおおつち」の震災後の活動は広いです。
まず、パーソナルサポート。仮設/在宅の生活に不自由されている方々に向けて、同行支援などを行い、今後は、家事の手伝いを通して、生活者のニーズを発掘し、後方支援に繋げてゆく活動を行ってゆく予定です(遠野まごころネットの生活支援チームが協働してゆく予定)。
それだけでなく、現在、「おおちゃん人形」という、被災された方々のための手仕事づくりをしています。この手仕事、今後は、地元の特産品を使った食材や、大槌ブランドを広める木工品など、新商品開発に着手しようとしています。
サポートメンバーとして入っている千田さんは、京都出身。「ぐるっとおおつち」では唯一の地域外メンバーです。今回のテーマ「音楽スタジオ」に絡めて、千田さんは、「大槌を世界に発信する音楽イベントを開催するのを考えてみたい」とおっしゃっています。

遠野まごころネットからは、今回が初めて、という「現地活動組」の面々も。

奈良寿昭さん⇒「フライパンダ」代表(兼、遠野まごころネットの大槌お茶っ子隊リーダー)
愛知県出身で、6月からの長期活動。夏場のハエ除去「フライバスターズ」をつくったり(思い返せば、避難所でのハエが物凄かったものです)、大槌町でのカフェ隊を編成、自身の巨大カステラ作りイベントもそうですが、様々なイベントをコーディネートし、自由な発想で様々なアイディアを創出しています。
地元の方々が集まって溜まり場となりコミュニティが生まれる「仮設音楽スタジオ」についての発案者です。

佐々木康太くん⇒(このとき)遠野まごころネット物資班リーダー、(現在)まごころネットの企画チームに移行中。元バンドマン(楽器何でもできます。そして、実家(遠野)には手作りでスタジオを作っちゃうほど熱い)、元システムエンジニア(Web系)、奈良さんとともに、「音楽スタジオ」計画にノリノリなヤツです。

■この日の主題:音楽スタジオをつくるためのブレスト!
このように、「ITで支援」という枠組みを飛び越えて、「大槌町で活動している支援者たち」を絡めて、スタジオをキーとして、どのようなものがニーズとしてあるのか、自由にブレインストーミングしました。

石巻のロックフェスのように募金や協賛を集め、また、そこで募った音楽機材をもとにして「音楽スタジオ」づくりに繋げる、というアイディアや、イベント時にUstreamで中継しながら募金を募ったり、気候的にちょうどいいかもしれないからプロも呼べる「本格的な収録スタジオ」を目指すのもいいかもしれない、、、などなど、様々なアイディアが出てきました。

ただし、地元に今必要なものは雇用なので、雇用を生むためには何ができるのか、という話になり、地元にはカラオケができるところがなく、内陸まで歌いに行っている状況なので、スタジオにこだわらず、まずは「音を存分に出せるたまり場づくり」から進めようと決めました。

【シナリオ】

  1. 簡易な環境で音を存分に出せる場所をつくる
  2. そこが「音楽好き」の溜まり場となる
  3. その溜まり場でワイワイする中で、音楽イベント開催案が浮上するのもいい
  4. 音楽イベント実施に合わせて将来プランを作る
  5. ライブハウス兼カフェバーをオープン

ステップ1【音を存分に出せる場づくり】について

  • カラオケルームのような感じ
  • 場所を確保し、コンテナを使い、フリーで使える楽器などを集める
  • そこを管理できる(常駐)地元の方を探し出すこと



こうした場づくりで、ITでサポートできること…として、「Ustreamで現場を配信し続け、日々の状況をお伝えしてゆく」だとか「FacebookやTwitterで情報を拡散させてゆく」といったことができるのではないか、と話し合い、この日は終了。
現地活動組で「地元の人たちを巻き込んでいきましょう」と準備を進めてゆきます。


その日の夜は…
釜石復興支援プロジェクトのキッチンカー屋台村で親睦会。
http://www.kamaishien.com
釜石の中学生たちの縄張り争いの話など、ローカルネタに花が咲き(笑)



1月15日:Hack For Iwateの2012年活動を考える!

2日目、場所を変えて、11月下旬に釜石の青葉通りにオープンした仮設商店街で開催しました。ちなみに、@リアスの鹿野さんの本業のお菓子屋さん「玉泉堂」もこの中にあります。





そして、この商店街の入り口におしゃれなコミュニティルームがあります。こちらの運営を任されているのが、@リアスNPOです。
名前は仮称「KAMAISHIの箱AOBA」。@リアスが震災前に地域コミュニティづくりの拠点をつくっていた“かだって”にちなんで、「Cadatte」となずけ地域コミュニティをつくっていければと鹿野さんは話していました。今回は、USTREAM中継も行いました。機材は、キバンインターナショナルさんからの提供とのことです。


ミキサー内蔵のスクーターで、音声入力4つ、映像入力4つ(一つはPCモニタ用)。
今はとても寒いので出張は難しそうですが、春から、「三陸の情報をお届けする」ために大活躍していきそうです。

昨日から引き続き参加している西条さんご夫婦
佳泰さん 
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/feature/morioka1325374309901_02/news/20120104-OYT8T00970.htm
震災を期に、故郷のために働きたいと、釜石に戻ってきて起業しました。後述していますが、釜石ラーメン発祥のお店「新華園」の3代目(継いでいないのですが、釜石の方々から、そう弄られていますw)。釜石で立ち上げたのは、ウェブ制作会社で、後には、地元雇用の創出も視野に入れています。
パートナーのさやかさんは、@リアスで展開する事業で、復興するお店のインターネットショッピングのプラットフォーム作りに参加してゆく予定です。
釜石復興の原動力になってゆくでしょう!

そして、盛岡から佐々木均さん(きんぞうさん)―前回から参加、釜石出身の桝澤さんにも来ていただきました。(そしてツイッターで参加してくださったSuzuryoさん)。
(紹介の扱い、薄くてスイマセンw 次回以降、ガンガン出番がありますし!)

この日の議題は、

  • 岩手県のデータセンター見学会
  • 三陸イベントカレンダーをつくる。
  • 三陸復興マップをつくる。
  • 今後のネットでの情報共有方法について

それぞれ、以下のような話になりました。

・岩手県のデータセンターツアー計画
今回の地震で、盛岡で震度6だったのですが、それでも全く問題なく運用できたデータセンターがあり、そこに預けていたところの業務にも支障は出なかったのですが、そのこと自体の報道はされていません。
陸前高田市役所のデータは、盛岡のSIerにバックアップ用のデータがあったため、復旧がスムーズだったこともあります。
今後の災害時への応用という意味でも、こうしたデータセンターの視察ツアーを実施し、岩手県内外のIT関係者に来てもらい、ワークショップを開くことに意義があるのではないか、と。
この話は、盛岡でお仕事をされている桝澤さん等に調整してもらい、今後、実現に向けて検討してゆこう、と話し合いました。

・三陸イベントカレンダーをつくりたい
被災地外にいて、わかりづらいのが「いつ、どこで、どのようなイベントが行われるか」ということ。被災地内でも情報共有ができておらず、イベントの日時が重なってしまうことも多々ありますし、イベント実行の1週間前とか、3日前に「告知」することも多々あります。
既存の「IT勉強会カレンダー」の運用例を参考にして、三陸のイベントを可視化する、「三陸FANイベントカレンダー」づくりに着手しよう、と。
これは、盛岡在住のきんぞうさんに作成してもらい、遠野まごころネット等々の団体が運用で協業することで、発展させてゆこうと話し合いました。

・復興したショップを可視化したい
こちらも被災地域内外問わず、見えづらいことなのですが、「どこで、どのような復興拠点が作られているのか」把握しづらいことがあります。例えば、被災前⇒仮設店舗⇒本店舗と、これからも店舗は移動することが
様々な団体や個人が、個別個別でマップは作っているものの、メンテされず止まっていることも多々あります。
三陸イベントカレンダーと絡めて、この可視化も行っていこうと考えていて、Hack For Iwateの第4回目はOpen Street Map Hackathon となりそうです。



・今後のネットでの情報共有について
Hack For Iwateの日々の情報共有は、Facebookで行っています。
「IT関係者」のみならず、現場活動している人達や、被災地にいなくても被災地を応援したい人達とも、コミュニケーションを取ってゆけるプラットフォームを作りたいよね、という話になり、

の3つを作ることに。



こうして、2012年の活動のために状況整理をして、今回話し合われなかったことも含めて、それぞれのプロジェクトを定期的に進捗確認してゆきましょう、として、今回のHack For Iwate、終了しました。

<進捗確認の担当>

  • 音楽スタジオ計画:高橋
  • 滝観洞リスタートプロジェクト:松田彩さん
  • 三陸イベントカレンダー&復興ショップマップ:岩切さん、きんぞうさん、西条さやかさん
  • データセンター見学会:桝澤さん

今回の議事録まとめ
http://www.slideshare.net/iwakiri/hack-for-iwate-vol3-20120115-11075387


余談ですが、1月15日の昼食は再開した中華の新華園で。
ここは、西条佳康さんのご親族のお店で、釜石ラーメン発祥の地です!
新華園に限らず、色んな地元のお店が再開しています。「行ってみたいなぁ」と考えている方、ぜひ、三陸おいしいものツアーを組みましょう☆


ではでは。
3月中旬には「オープンストリートマップ」のワークショップ、4月にはHack For Iwateの全体報告会などもワイワイと開催を考えています。岩手、いいところなので、皆さま、お誘いあわせの上、お越しください!

Hack For Iwate メンバー高橋和氣(遠野まごころネット企画チーム)

「プロジェクト ディスカッション」開催のお知らせ

先日のHack for Japanブログ「これまでのHack For Japan、これからのHack For Japan – スタッフからの報告と提案」で書かれております「レビュー強化」のために、現在活動中のプロジェクトを見直すイベント「プロジェクト ディスカッション」を9月27日(火)に開催します。

詳細は以下をご覧ください。プロジェクトで活動中の方、Hack for Japanに賛同されている方などのご参加をお待ちしています。

<プロジェクト ディスカッションの目的>
震災から半年を機に、現状のプロジェクトが「震災復興に使われるものを開発しているプロジェクトなのか」を問い直すことが目的です。

ニーズやユーザー像などを明確にしてみる、プロジェクト参加者以外の人からの意見を聞いてみる、プロジェクトの問題点を洗い出し話し合ってみることなどを通して、被災者、被災地にとってのプロジェクトの価値を参加者一同で確認します。

結果として、みなさまの貴重な時間を割く善意ある活動を、より有効に被災者、被災地に向けたものとしていきたいと考えています。

<参加していただきたい方>
―現在Hack for Japanにてプロジェクトを進行中の方―
プロジェクトの現状についてお話しいただくことがこのイベントでは重要です。お忙しいとは存じますが、万障お繰り合わせの上、ご参加をお願いします。

―Hack for Japanの活動に賛同されている方、ボランティア団体、被災地の現状にお詳しい方―
進行中のプロジェクトについて、ぜひご意見など伺いたいと思います。またプロジェクトに関して「有益な情報を提供できるかもしれない」という方のご参加もお待ちしています。

<プロジェクト ディスカッションの内容>
現在以下のようなイメージを想定しています。

―プロジェクト ディスカッションの数日前まで―
別途、Google Docsを利用したプロジェクトシートを公開します。活動中のプロジェクトの参加者は、プロジェクトシートに記された項目に沿って、内容をご記入ください。

―プロジェクトシートは事前に目を通す―
プロジェクト ディスカッション参加者は、開催までにプロジェクトシートに目を通しておき、意見や質問をまとめておいていただければと思います。またプロジェクトシートに目を通した上で、プロジェクトに対して有意義な情報をお持ちの方は、当日、ぜひご発表ください。

―イベント当日―
プロジェクトシートに沿って、プロジェクトの代表者にプロジェクトについてお話しいただきます。発表時間は10分間の予定です。
その内容を受けて、イベント参加者は、プロジェクトシートも参考にしながら、プロジェクトについての意見・質問などを投げかけてください。ここではHack for Japanスタッフも参加します。

時間も限られているため、「課題をクリアにして、そのためのアクションを決めることのできた時点」をイベントのゴールにしたいと思います。イベント後も進捗を伺うために何かしらの方法を考えます。

※運営内容の変更・追加などのお知らせついては、随時、Hack for JapanのTwitterやFacebook、メーリングリストなどでご連絡します。

<プロジェクト ディスカッションの開催日時>

日時 9月27日(火) 18:30~21:00
場所 日本マイクロソフト 品川本社 31Fセミナールーム C/D
定員 60名

※参加者は人数を把握するためATNDにて参加表明をお願いします。
http://atnd.org/events/20224

※USTも予定決まり次第ご連絡します。

Hack For Japan 第5回スタッフミーティング

【会場】

  • 日時: 84日(木)19:00
  • 場所: Google 六本木オフィス
  • ust: http://www.ustream.com/channel/takoratta
  • 出席者:吉岡、及川、高橋、岩切、松田(遠野スタッフ)、山崎、石野、笹島、佐伯、鎌田、関、冨樫、白石、川崎
  • オブザーバー:ニッポン放送 鳥谷、清原

【アジェンダ】

7/23 アイデアソン・7/30 ハッカソン振り返り

  1. フォローアップ(以下、送ったメールから)
    • サイト上でのイベント情報の更新(イベント終了の通知)とりあえずの処置は及川のほうでやっておきました。抜けやミスがある可能性があるので、石野さん、確認お願いします。本格的な情報の追加はおいおい 石野さん、お願いします
    • 発表資料などが届けば掲載します。[TODO]
    • アンケートの集計及川のほうで8/3までに行い、次回スタッフミーティング前までにシェアしておきます。
    • 発表資料の整理東京会場は及川のほうで取りまとめをしています。遠野もすべてまとまっており、ブログ掲載済です。他会場は?
      • 仙台、会津のとりまとめを佐々木さん、小泉さんにお願いする。[TODO]
    • 写真すでに集まってきているから大丈夫かな?
    • ustのアーカイブ東京会場は石野さんにお願いできているのかな。他会場は?
    • ブログどなたか!
      • 東京会場のブログ(高橋さん;基本レポート、佐伯さん;補完+デザイナー目線)[TODO]
      • 会津若松会場のブログ(佐々木さん?要確認)[TODO]
    • 会場係から感想など(よしおか)
      • 片付けをしない人が多かった。勉強会の作法としては、後片付けまで参加者に啓蒙していく必要がある。
  1. [仙台会場所感]

    ・アイディアソンは石井力重さんの進行が素晴らしかった

     アンケートにも出ていますね。頼んで本当に良かったです!

    ・ボランティア等技術者以外からの参加がにごく少数だった

    前回はかなりいたんですが。ボランティア団体に宣伝する前にアイディアソンは満員になってしまったので。アイディアソンはハッカソンより大きい箱を用意した方が良いかも知れません。

    ・ハッカソンはチューターが大活躍

    今回学生の参加が多かったこともあり、プログラム初心者が多くアイディアをそもそもどう実現すればよいかわからないというチームも出ていました。チューターがそのあたりをうまく拾ってサポートしてくれていました。そのため、チューターがRubyiPhoneTwitterAPIに偏ったのが悔やまれます。

    ・プロジェクトの継続を促すためのFacebookグループが結構活発

    仙台の前回開催で生まれたPJ2つは東京中心へ移行、1つは企業が行う、残りは立ち消えとなっています。この反省からFacebookグループを作ってハッカソン当日から使うようにしてみました。うまく当たったのか結構活発に投稿されています。

      • Hack for Japanfacebookグループを作成。及川さん[TODO]
    • アンケート結果のレビュー https://docs.google.com/a/google.com/spreadsheet/ccc?key=0AvnK59H5VA5RdHltQjBEMVdWTWU1WjBJOFdmUWppdmc#gid=0
      • 意見あり、苦言あり
        1. 現地のものを首都圏で展開したい
        2. もっと幅広い人材に参加いただいたほうがよいのではないか?
        3. 被災地の現状を把握できていない参加者が多い
        4. Hack for Japan、必要なものの説明が足りなかった
        5. 会場間のコミュニケーションをもっと積極的に利用してもらう仕組みを用意できないか?
        6. 東京に拠点を用意するボランティア団体に参加してもらい現地の意見を聞けるのではないか?[検討事項]
        7. プロジェクト間の横のつながりや複数のプロジェクトに横断しての参加を促してはどうだろうか?
          • ひとりの参加者の方はスタッフがフォローしよう
          1. SI、運用よりの参加者がいると助かる
            • MLで聞いてみる[TODO]
            1. アイデアソン、ハッカソン以外の「~ソン」があってもいいのではないでしょうか?
            2. 各会場間の連携をスムーズにしたい。
              • 東北の会場は東京向けにお話してくれているのではないか?
              • 東北の会場で必要なものの要件を詰めて、アイデアができてから東京の参加者に開発を依頼するオフショア的なスタイルを検討[TODO]
              1. 自己満足になっていないか?
                • 生の声をもっととれるようにする必要があるのではないか?
                • 東京会場の参加者を被災地に視察に行ってもらえる仕組みを準備できれば。
                • 宮城でも仙台以外の場所でも開催を検討する[TODO]
          2. 新しくなったプロジェクト一覧ページに合わせて、プロジェクト運営方法にも多少の修正が加わりそう。意識合わせをしておきたい(白石)
            • ハッカソンにてアップデート
              1. 一覧サイトの運営をどうするか?
              2. データ元のテンプレートに適宜変更を加えていく必要がある
            • 問い合わせ先の用意
              1. 月一回の更新リマインダーを投げる仕様を検討中
              2. 終了ステータスのプロジェクトにはリマインダーを投げないような仕様にしたい
              3. メアドの掲載を避けたい人もいるので、Twitterアカウントではどうか?
              4. Hack for JapanのアカウントでフォローしてH4Jアカウントから連絡をとる
                • 連絡先の掲載などを避けたい参加者がいた場合は個別対応でとりあえず現状対応していく
                1. メンバー募集中ステータスの用意
                  1. 状態の管理に関しては、終了のものをアーカイブに寄せてショーケースからは非掲載にしていく
                    • アクティブなものをショーケースで掲載していく。非アクティブなものは掲載しないのシンプルな形にする。
                    • 非アクティブでアーカイブに寄せたあとに参加者から復活してくださいの意見が寄せられれば、アクティブに直す。
                  2. 人材募集は欲しい職能もわかるようにすると良い。
                  3. 一般の人が見ていないというスタンスで開発者に向けたサイトとして特化したほうが、サービスの誕生を促しやすいのでその方向に方針変換しました。
                2. Google Moderatorでのアイデア投稿の今後
            • 遠野まごころネットの現状報告、フィードバック(いわきりさん)
              • リニューアルに関して神奈川の参加者もジョインして実施中
              • 仮設住宅にネットカフェを設置活動の実施中
                1. カフェに設置する機器は準備中(無線、PCを準備中)
                2. 要望などを受けてアップデートしていく予定
              • 関さんのブログ
              • 雇用が生まれるモデルケースを共有するなどを考えよう
            • Tシャツプロジェクト
              • まだコードTシャツが欲しい参加者が居る
                1. 初回受注生産限定で作ったもの。(石野)
                2. 復刻版として1年後に販売するとか
                3. 他デザインに関しても岩切さんの業者の仕組みを見て判断する。
              • Tシャツの販売では注文・入金の確認、メールなどの運用面の負荷がある
                • 被災地で請け負える業者の方を現在確認中、検討結果をPJに連絡します [TODO](岩切)
                • レベニューシェアで2割程度を義援金として運用するなどの案を検討しています
              • 次回の開催はどのようにやりますか?
                • ハッカソン以外にできることについて、時間があればブレインストーミングしてみたいです(関)
                • (ゆるいですが)『継続性』をしっかり考えていきたい(川崎)
                  1. (継続性1)プロジェクトが発生する状況を持続させるために
                    1. 複数拠点同時開催である必要はあるか?
                    2. キャラバン的に全国回っても良いかも。
                    3. 参加動機には「○○のエバンジェリストに会いたい」というところもある。
                    4. 無理に同時開催はしないで、各会場で実施時期をずらしていく
                    5. 有名な人の参加は東北の会場では喜ばれる
                      1. 沿岸部の人はイベントの実施自体でも喜ばれ、活発な展開になる
                      2. 内陸部の人はIT情報の入手などの目的も含まれるので、エヴァンジェリストの参加などが喜ばれ、参加を促す形になる
                        • 同時開催をしない形でエヴァンジェリストを集結させて開催など
                      3. 小泉さんに企画を検討してもらう[TODO]
                    6. Hack For Japan Tech Talkといった感じのイベントは出来ないか?

                      上記の「エバンジェリストに会いたい」に通じますね。また、ハッカソンで○○APIが使えるとなっていても、たとえチューターがいてもすぐにその場で使えるとはならないものです。そこでHack For Japanで利用できるAPIの解説やハンズオンがあるイベントなどいかがでしょう?

                  2. (継続性2)始まったプロジェクトが続くために
                    1. Power Apps JapanMA7 などのコンテストで、モチベーションアップ?
                    2. 収入?(遠野モデルの共有)
                      • プロモーションの活動の場として利用してもらうことでモチベーションアップに使ってもらう
                      • コンテストの連携などで打ち上げ花火だけで終わらない形を考えておく必要がある
                      • Just GivingHack for Japanとしての連携がとれれば収入とモチベーションを維持するアイデア
                      • 既にあるNPOに相乗りする形では?
                  3. (継続性3)Hack For Japan 運営自体
                    1. 運営自体はバジェット0でも概ね問題なく進行できている。すごい!
                    2. 会社の出張にできない場合の地方会場への交通費を捻出する方法とか?仙台への交通費は「東北ITコミュニティ復興支援基金」からとかで。
                    3. 日本版 Code for Americaみたいにして、Fellow 制度+寄付金を募る? http://codeforamerica.org/
                      • 企業のCSR活動で寄付金を募るのもあるが、その活動に関しても運営に大きくリソースがかかる。
                      • 小物の購入費、被災地での宿泊費が全てスタッフのお財布からという問題
                      • NPOではなく任意団体として会計報告をして運営していくなど検討
                      • 想定される運営費用をリストアップして棚卸しして今後の方針を検討する。及川さん [TODO]
              • 次回
                • 2011年9月5日 19:00~ 開催、場所未定

              (文責)Hack for Japanスタッフ 鎌田篤慎

              Hack For Japan 塩竈市浦戸諸島視察レポート

              スタッフの鎌田です。

              2011年7月3日、前週のスタッフ関さんに引き続き、Hack For Japanメンバーでもあり仙台在住の小泉さん(@koi_zoom1)のコーディネートで、Hack For Japanメンバーと前日に行われたデブサミ東北の関係者で、津波被害の大きかった浦戸諸島の視察に行ってきました。Hack For Japanは震災直後から活動しておりますが、いつも課題として挙るのは被災地以外の地域から参加する開発者が被災地の様子、状況を知る術が限られている所にあります。今回の視察も前回の関さんによる取材に加え、被災地の状況を伝えることでアイデアソン、ハッカソンに参加する開発者の着想に繋げられればという思いと、ITの力を使って復興を促進させるための視座を手に入れるという目的を持って行ってまいりました。
              今回は浦戸諸島の中から、寒風沢(さぶさわ)島と桂島を回ってきました。小泉さんと一緒に浦戸諸島ご出身の土見大介さんに案内していただき、被災された方々のお話を聞く貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

              津波被害に見る塩竈と浦戸諸島の関係

              小学校で習うのでご存知の方も多いと思いますが、一般的に湾口が広く本土に近づくにつれて狭くなる構造の海岸を「リアス式海岸」と呼び、本土に近づくほど津波被害が大きくなりますが、塩竈と浦戸諸島はその逆に湾口が浦戸諸島により覆われ狭く、本土に近づくにつれ湾が大きくなる構造から、浦戸諸島は防波堤のような形で津波被害を受けてしまった影響で、その被害状況は非常に大きなものとなっています。それに対して塩竈のほうは他の地域と比較すると津波被害が少なかったようです。とはいえ、写真のような形で随所に津波の傷跡が残っています。このように東日本大震災の被災の状況は土地によって全く異なり、十把一絡げな対応が難しいところがあります。

              塩竈から浦戸諸島への航路

              塩竈から浦戸諸島にかけてはマリンゲート塩釜より市営の汽船が運行されています。マリンゲート塩釜も津波による被害の痕が見て取れますが、地元の人々に寄る復興バザーなどが催されており、復興への息吹が感じられました。マリンゲート塩釜より乗船すると、その航路の中ではカモメが船に寄り添う形で追いかけて来ます。乗客はその追いかけてくるカモメに餌を与えることなどができ、地元の観光局も紹介しないような穴場とのことです(小泉さん情報)。そして、より小さい船に乗り継いで行き寒風沢島に入ります。このことからも震災当時、浦戸諸島が孤立してしまう状況は想像に難くありません。

              寒風沢の被災状況

              傷跡も生々しい寒風沢島の漁港に到着すると、副区長の島津功さんに出迎えていただきました。一般的には町長さんの立場にある方を浦戸諸島では区長と呼ばれ、島民の方を束ねて各所と調整されています。寒風沢島は高齢化も進んでおり、震災直後の3月の寒さや介護問題が大変だったとのお話でした。そうした若者が非常に少ない環境でもあり、インターネットを活用した情報配信活動はおろか情報収集も非常に困難な状況ということをお話を伺って痛感しました。また、普通の携帯電話もキャリアによっては回線が安定しないのと、メールでのスムーズなコミュニケーションに関しても難しいという状況です。寒風沢島内の小学校が避難所として使われており、そこに併設する形で仮設住宅が設置されています。先日伺った時には避難所に14人程度の方がいらっしゃいました。震災後は最大200人ほどの人達がこの避難所に避難されていて、ライフラインは5月まで復旧されず、それまでの間は皆さんはテントでの共同生活が続いたそうです。水道管は本土から海を渡って引かれており、それが津波によって破壊されました。そして今も下水処理などに関しては復旧の見込みが立っていないようですが、バイオ処理のトイレなどの導入によってある程度の改善が見られているとのことでした。色々な所で言われていることですが、ライフラインとしてのプライオリティは水道、電気、ガス、電話などの復旧は比較的はやく進みますが、インターネットの回線の復旧などは遅く、さらにそれが島である場合はより遅れる傾向が分かります。我々の活動を直接このような場所で展開するためには、インフラ面の整備は必須でありますが、それらが困難である現状では別のアプローチでこうした土地の被災された方々への対応を検討する必要がありそうです。

              島津さんのお話によると、寒風沢は農業と漁業の兼業が主体の島であるところが、津波による防波堤の破壊により潮の満ち引きに対応することができず、海の水がそのまま田畑に流れ込む塩害により農業の実施がほぼ不可能になっており、かつ、第一種漁港(※地元の漁船を対象とした漁港)のために国から当てられる予算が少なく、着工から40年かけてようやく開港した漁港が今回の津波により使えないほどに破壊されてしまった状況でもあるため、国に対して支援を要請しているそうですが、様々な要因により未だに修復の目処がたたないとのことでした。被災された地域に残って生活することを望む人々に対して、ITの力でどういう支援ができるのか、考える必要があるように思います。

              桂島の被災状況

              寒風沢島の次に小舟で桂島へ入り、島の説明を土見さんにしていただきました。桂島は島の形状で人の通る道を中心に「凹」の構造であったために、両脇にぶつかる津波が通りに入ってきて、その部分の引き潮などの被害が大きかったようです。また、津波の被害を正面から受ける形になった砂浜側はコンテナが漂着しており、また、今も震災直後のような様子を保っているかのように流れ着いた家屋の瓦礫が今も全くの手付かずという状態でした。これは島という地理的構造上、港からの重機の搬入がままならないのと、瓦礫の搬出も同様の理由で困難な状況にあるからです。こうした物理的に復旧作業が困難な場合、ITの力は後方支援的に物理的な復旧活動を効率化する方向に向けたほうが結果として被災地の復旧を早めるかたちになる感触を持ちました。

              一通り桂島を回ったあとに、桂島の高台で浜辺が一望できるペンション鬼ヶ浜を営む鈴木芳明、美智子ご夫妻から、ご飯を出していただきつつ震災当時のお話を伺うことが出来ました。地震が起きてから、津波が到達するまでお二人の感触では1時間半から2時間くらいあったとのことで、一望できる浜辺の水が全て引いてしまってから、津波を遠目に目視できた直後はあっという間に津波が迫ってきたのだそうです。ここでもやはり津波によるライフラインの破壊が著しく、電気と共に本土から水道管で引いていた水も津波による影響で水道管が破壊され不通になったとのことでした。

              浦戸諸島視察の最後はHack for Japanメンバーの小泉さんの実弟でもあり、浦戸諸島で漁業も営んでいる小泉善雅さん(写真奥が小泉善雅さん、写真手前が小泉(@koi_zoom1)さん)から、活動されている「うらと海の子再生プロジェクト」のお話を伺うことが出来ました。こちらのプロジェクトは、インターネットを使って全国から浦戸で獲れる牡蠣や海苔などの一口オーナーを募り、そのオーナー料を被災の影響で破壊されたものの修繕にあてつつ、漁業の再興を目指した活動となっています。なお、浦戸四島の被害総額は約10億円にものぼり、国からの保証はその内の2/3程度。高齢化も激しい土地であるため漁業を辞める人が多く、再開に手を上げる人々は少なかったが、桂島の若手を中心に再建活動が始まったようです。なお、全国から寄せられた金額は1億7千万も超えていて、今後の継続展開を考える上で、その使途の透明化を直近の課題としているとのことでした。7月に社団法人化して組織体制を強化し課題解決に取り組んでいくとのことです。浦戸諸島のこのプロジェクトをモデルケースとして、他被災地の漁業関係者にも展開していく展望をお持ちでした。こうしたITを活用した事例はテンプレート化できる好例のように思います。ひとつの成功事例をモデルケースとし、インターネットによる購買サイトなどの提供などは漁業に限らず、他の分野でも応用ができる話でもあるので、CMSの提供やその運営を手伝うことでも十分に復興支援になり得る実感を持ちました。

              今回の視察では浦戸諸島という構造上の理由から、比較的に震災直後の状況に近い状態が保たれてしまっている点で、現在の復興フェーズの視点に加えて、復旧フェーズにおいて何が必要であるかを改めて考える契機にもなりました。インターネットが重要なインフラとして認知されていくよう、IT業界全体としても努力していく必要があります。

              7月23日アイデアソン、30日ハッカソン (仙台・会津若松・遠野・東京)

              もうすでに告知されておりますが、7月23日、30日(仙台・合図若松・東京・遠野(遠野は23、24日))にてアイデアソン、ハッカソンを実施いたします。また、先だってスタッフ関さんより案内がありましたとおり、遠野まごころネットさんのご協力を得て、7月23日、24日の二日間でアイデアソン、ハッカソンを実施いたします。遠野では初開催となります。

              なお、7月23日のアイデアソンでは各4会場をUSTでつないだ形で各地からの情報をシェアする形になります。ご参加できない場合でも、ぜひUSTをご覧になってください。USTの案内はHack for Japan公式Twitterアカウント(@hack4jp)よりお知らせいたします。また、お知り合いにもご参加いただけるよう、ぜひともご紹介ください。