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街をハックするHack For Town 2015 in Aizu開催

昨年に引き続き街をハックするイベント「Hack For Town」が会津若松市にて開催されました。今回のテーマは「オープンソースハード × オープンデータ」。ハッカソンだけでなく食べて、観る楽しみも堪能できるイベントでした。その詳細をご紹介します。

ハッカソン概要

2月21日、22日に会津若松市にてハードウェアをハックするHack For Town 2015 in Aizuが開催されました。今回のテーマは「オープンソースハード × オープンデータ」。オープンソースハードはFab蔵で開発されているセンサ・デバイス類やArduino、Raspberry Pi、その他SDKやAPIが公開されているオープンなハードウェアです。

またオープンデータは、会津若松市が運営しているデータ基盤「DATA for CITIZEN」に登録されている市のデータや社団法人リンクデータが運営している「LinkData」の会津若松市のデータなどの公開されているデータとなります。これらを組み合わせたアプリやwebサービスをつくるというのが今回の目標とされました。
説明資料

Fab蔵で開発されたハードウェアやデバイス

今回のハッカソンで利用されるハードウェアは、Fab蔵で自作した以下のようなハードウェアが提供されました。

  • 8Bit cube:フルカラーLEDのキューブ。
  • Smart Meter:コンセントの電力が図れるスマートメーター。
  • e-Health Platform:IEEE11073準拠 オープンソース医療センサー群。心電図や脈拍、血圧などが取れるのでヘルスケア分野でのサービスがつくれる。回路図などを公開している。
  • Physical Web Watch:Physical WebフォーマットのBeaconを腕時計にしたもの。beaconは通常、据え置きで使われるが、腕時計にすることでbeaconの電波を飛ばしながら歩ける。
  • Open LED Board:手作りのLED。
  • Aka Beacon Monster:450mの電波が飛ぶibeacon。
  • 自作ibeacon

Fab蔵はハッカソンの期間中、24時間解放されているので、例えばレーザーカッターを使ってハッカソンで開発するサービスに必要なものづくりまで手がけてしまうといったことも可能でした。

Fab蔵の外観と内観。新聞掲載の記事も。 #hack4town pic.twitter.com/FpYeujiBuu
— Hack For Japan (@hack4jp) 2015, 3月 22

そのほか、ibeaconが神明通り商店街を中心にしたFM会津やホテルのロビー、公共施設など会津若松市内の5カ所に常設されています(会津若松市のビーコン位置マップ)。これらibeaconの情報は会津若松市オープンデータ活用実証事業の一環として「DATA for CITIZEN」にて公開されていますので、常設のibeaconを利用したアプリやwebサービスの開発もできる環境が用意されています。

プロジェクトの発表

今回のハッカソンでは以下のようなプロジェクトが成果として発表されました。

「防水beacon開発とお祭り案内」

日光で行われる千人行列を想定したibeaconを使ったプロジェクト。遠方(450m圏内)から行列が近づいてくると「Aka Beacon Monster」が見学者に行列が近づいてきたことを案内し、行列が見学者に近いところまで来ると付近に設置されたLEDディスプレイに行列に関する文字情報が表示されるというもの。ibeaconは常設で外に置かれるため防水対策が必要という観点から、アクリルをつかった防水カバーもFab蔵で自作しました。

「Hack 2 Rhythm」

ibeaconへのチェックイン情報を元に音楽を生成。ドライブレコーダーのように動画も撮影し、観光しながら自動でPVが生成されるというプロジェクト(イメージ動画)。観光スポットにばらまいたibeaconにドラムやベース、ギターなどのパートを割り当ててibeaconにチェックインするごとに音が重なっていくというもの。歩くルートによって生成される音楽が変わるため、結果として会津若松市の観光スポットPVが数多く作られ、音を通じて新しい観光の付加価値を生み出し、会津若松市に注目を集めることを目標としています。
ソースレポジトリ

「Weather Report Box」

Fab蔵の自作ハードウェアである8bit Cubeをハック。会津若松市の天気(晴れ・曇り・雨・雪)をドット絵で表示させるというもの。今後は時間や気圧、気温なども加えて表示させていきたいとのことでした。
ソースレポジトリ ★発表資料

「ibeaconとGPSによる旅提案」

「観光に来たもののどのスポットを見るか決めていない」、「見たいスポットはまわってしまったけれど、まだ時間があるので他のスポットを見たい」といった旅行者をターゲットとしたアプリ。現在地から行ける観光スポットを詳細に案内せず、あえて写真のみでレーダー表示させることで宝探しのような楽しみを入れ込んでいます。観光スポットの情報は「DATA for CITIZEN」から持ってきておりオープンデータを活用。写真投稿機能も想定されています。このプロジェクトを開発したのは仙台の方で「仙台の街中で開催されるジャズフェスに向けて使えるものに仕上げていきたい」と語っています。
ソースレポジトリ ★発表資料

「デジタルサバゲーで街をハックしよう!」

サバゲーによる新しいエクササイズを提供するプロジェクト。エンジニアの運動不足を改善したいというのが開発のきっかけ。発表では、Bluetoothで通信を飛ばすことで敵方へのアタリとする、段ボール製のBLEモジュールが搭載されたエアガンを模したものが披露されました。またアプリはGoogleマップを使って自分と敵の位置がibeaconを通過すると表示されるという使い方を想定しており、おおよその位置が把握できるように、一瞬だけマップで表示させることで運動を促すというのがエクササイズにつながっています。
ソースレポジトリ

「オープンストリートもぐら叩き」

防災学習GISゲームとして提案されたプロジェクト。災害が起きたときに、どこで起きているのか、どこに雛すべきか、場所が分からないと避難できないことから考えられたものです。発表ではオープンストリートマップを利用して会津若松市内のマップを読み込み、市内の公共施設で火災が発生したと想定して、マップ内の火を消していくというゲーム要素を盛り込んだ内容が発表されました。次々に起こる火災をゲーム感覚で消火していくうちに会津若松市内の土地勘が養われることを目標としています。

「Dynamic Trip」

事前に情報を調べることなく、突発的な旅の体験を提供するアプリとして提案されたプロジェクトです。例えば出張で東京に行ったときに、現在地に近い観光スポットを紹介することでちょっとした旅行を楽しめるようなサービスを想定。時間、位置情報、レコメンドされた現地イベントなどを掛け合わせて提供して、自分なりの予定外の旅をつくりだすというものです。
発表資料

「ファミコンで街をハック」

「古いデバイスをハックしてibeaconをつなげる」というプロジェクト。今回は思い出のデバイスとしてファミコンをハックしました。ファミコンをモバイル化してゲームで遊んでいる人間ごと台車で運び、街でibeacon情報を受信するという他とは一線を画す内容でした。ibeaconの情報を受け取りながらアイテムを集めるという自作のファミコンゲームも作成しました。

これらのプロジェクトから審査委員による審査が行われ、会津若松市長賞として「Hack 2 Rhythm」、ゴールドスポンサーとして協賛いただいた株式会社リクルートジョブズからタウンワーク賞として「オープンストリートもぐら叩き」、Fab蔵賞として「ファミコンで街をハック」、会津大学賞として「Weather Report Box」、Hack For Japan賞として「Dynamic Trip」がそれぞれ賞を受賞。賞品もいただきました。また残念ながら受賞できなかったチームも会津若松市産の野菜をいただき、結果としてすべてのチームが賞品を得ていました。

ハッカソン以外のイベントも!

今回のハッカソンでは昨年に引き続き「ソースカツ丼祭り」、「鶴ヶ城プロジェクションマッピング」の鑑賞、地産品のニシンなどを天ぷらにした「蕎麦祭り」といったイベントが用意されており、食べて、観る楽しみも体験できました。

ご協力への感謝

今回のハッカソンでも昨年に引き続き多くの方々の協力をいただき開催されています。まずはメンター・審査員として参加いただきましたエンジニアの安藤真衣子さん。安藤さんはMashup Awards 10にて「無人IoTラジオ Requestone (リクエストーン)」で最優秀賞を受賞されており、2日間に渡って各グループの具体的な実装部分やサービス内容についてアドバイスをいただきました。次に会津若松市役所の方々。事前準備から会場手配・設営、鶴ヶ城プロジェクションマッピング、ソースカツ丼・蕎麦祭りといったところでご協力いただきました。またご多忙の中、室井照平・会津若松市長、岡嶐一・会津大学学長には、審査員として参加いただきました。ありがとうございました。

最後に

テーマは都度変わっていきますが、街中に繰り出して試すというハッカソン形態は今後も続く予定です。次回はまだ未定ですが、機会がありましたらぜひ参加してみてください。またFab蔵では随時、ものづくりに関するイベントが開催されていますので、興味ある方はそちらもご参加ください。